続・君につづく道

びぅむ

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第23部 大人は余裕な顔で嫉妬する

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「滋…、雪…?どうした?」

胸が締め付けられて、息が苦しい。

「おっさんに話がある!一人か?」

「え?あぁ」

「お邪魔しやっす」

滋はそう言って靴を脱ぐと、まだ私の腕を掴んだままで部屋に上がり、私も慌てて靴を脱いだ。理の横を通り過ぎる時、なんだか怖くて理の顔を見られない。理も、何も言わなかった。まるで他人行儀みたいで、辛くなる。

ワンルームの部屋に入り、腰を下ろさずに滋は振り向いて、

「さっき雪子、ここに来たんだって。知ってた?」

と理に言うと、理は不思議そうな顔になって目を丸くした。

「え?さっき?いつ?」

「おっさん、裸で女と抱き合ってたって」

「あ?…あぁ!あれか!そうそう。ドアの音が聞こえた気はしてたんだよね。そうかそうか。雪子だったんだ」

いつもの口調で、普通に理は話している。それがまたズキンと胸が痛み、きつく目を閉じた。そういえば、平田さん、いない。さっきは確かにいたはずなのに。すると、滋はさらに理を睨みつけて前のめりになると、

「もっかい言うぞ。裸で!!女と!!抱き合ってた!!!」

声を大にして滋が私の手を離して理に詰め寄った。

「そんなもん、誤解だよ」

「は?誤解?!」

理は頭をかいて、あくびをした。
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