続・君につづく道

びぅむ

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第21部 嵐の前の温泉旅行 後編

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俺が訊ねると、雪子はプッと吹き出して笑い、

「これ以上してたら、ほんとに帰れなくなっちゃう。本当は、私もずーっと一緒にいたいから。でもね、逃げ出したままじゃ、私、いやだもん。私の性格、わかってるでしょ?」

と言って微笑んで俺にしがみついた。

「負けず嫌いだもんな、お前は」

「うん」



雪子の荷物を取りに俺のマンションに寄り、その足で空港に向かうと、出発ロビーでやっぱり俺は寂しくて雪子を抱きしめてしまう。

「理。頑張れって言って。そしたら、私、頑張るから。次のステップに向かえるから」

「雪子。…頑張れ。それから、愛してる」

俺が雪子の耳元で言うと、雪子は涙ぐみながらも頷いて、俺の背中に腕を回してギュッと抱きしめてくれた。

「愛してる。誰よりも理のこと、愛してる」

そう雪子が言うと、俺は雪子の唇を唇で塞ぎ、雪子の涙でしょっぱいキスを味わった。

雪子は、強い子だ。だけど、本当は弱いところもある。
実は、泣き虫で。
照れ屋で。
それで、誰よりも大切な人だ。
雪子が頑張るって言うなら、俺は背中を押してやる。なにが何でも、助けてやる。挫けそうになったら、またこうしてここにくればいいんだ。

俺はいつでも、雪子の味方なんだからな。



そうして、雪子は東京へと帰っていった。
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