続・君につづく道

びぅむ

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第21部 嵐の前の温泉旅行 後編

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目が覚めた俺は、雪子の浴衣を羽織らせて、その上からくるむように抱きしめた。

雪子の存在が、どんどん大きくなっていく。不思議だな。雪子がいないと、だめな男になっちまったよ。情けないような。昔の俺が知ったら、さぞかしびっくりするだろうな。

一人の女に、ここまでのめり込むんだから。

俺はそう思うと、眠りながらも嬉しくて微笑んでしまった。




そうして、朝食を部屋で取り、チェックアウトをして旅館を出て車を走らせると、せっかくだから小樽の街を散策することにした。俺も、小樽は初めてだった。観光客も多いし、港町だから海鮮ものの定食屋も多い。

俺と雪子は手を繋ぎながら、小樽の街を観光して、のんびりと歩いていくと、ふと雪子が言い出した。

「理。ありがとう。私、もう大丈夫。一人で頑張れるから、今夜、東京に戻るわ。で、会社のこと、片付けてくる。ちゃんとしてくる。だから、理も今の仕事、投げ出さずに最後までやり切ってから、帰ってきて。私のこと、ちゃんと信じてて」

決意を込めた眼差しで雪子が言うと、俺はもう引き止めることはできない。

「今夜、帰るのか?」

「うん」

「エッチは足りた?」
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