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第20部 嵐の前の温泉旅行 前編
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雪子は頭を横に振って微笑み、部屋に備え付けられている浴衣とタオルを持って部屋を出て行った。俺は雪子の背中を見送って、携帯電話の受話ボタンを押して耳に当てた。
『やっと出たな。坂井さん』
「悪い悪い。何度か電話もらってたな。滋からも」
『そうなんだよ。でも、無事に雪子ちゃんと会えたってことだろ?』
梶原祐からだ。祐は優しい声でためいきをついているのが、電話越しにもわかる。
「あぁ。全部聞いた。迷惑かけて悪かったな。最初かなり凹んでたけど、だいぶ元気になったよ。今小樽の温泉に来てる」
『良かった。それなら安心だよ。滋もすごく気にしてた。あ、さっき雪子ちゃんのケイタイに知らない男が出たぞ。なんかあった?』
「あぁ。こっちの同僚。きつく言っといた。困った奴らでさ。お前と滋からかかってきてたから、雪子が軽い女だとか勝手に言ってたよ。ははっ」
『なんだそれ。なんか、揚げ足取りたい人がいるのか?』
「さあね。まぁ、そんなことに屈しない俺たちだから、心配すんな。それより、あの件だろ。保険会社の」
『そうそう。松林さんが結構頑張ってくれて、新任の課長が異動してくる前の部署でのセクハラも発覚してね。
『やっと出たな。坂井さん』
「悪い悪い。何度か電話もらってたな。滋からも」
『そうなんだよ。でも、無事に雪子ちゃんと会えたってことだろ?』
梶原祐からだ。祐は優しい声でためいきをついているのが、電話越しにもわかる。
「あぁ。全部聞いた。迷惑かけて悪かったな。最初かなり凹んでたけど、だいぶ元気になったよ。今小樽の温泉に来てる」
『良かった。それなら安心だよ。滋もすごく気にしてた。あ、さっき雪子ちゃんのケイタイに知らない男が出たぞ。なんかあった?』
「あぁ。こっちの同僚。きつく言っといた。困った奴らでさ。お前と滋からかかってきてたから、雪子が軽い女だとか勝手に言ってたよ。ははっ」
『なんだそれ。なんか、揚げ足取りたい人がいるのか?』
「さあね。まぁ、そんなことに屈しない俺たちだから、心配すんな。それより、あの件だろ。保険会社の」
『そうそう。松林さんが結構頑張ってくれて、新任の課長が異動してくる前の部署でのセクハラも発覚してね。
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