続・君につづく道

第20部 嵐の前の温泉旅行 前編

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旅館に到着してチェックインすると、そこに後ろから、

「坂井、雪子ちゃん」

と声をかけられて振り向くと、そこには榊原さんが奥さんのさゆりさんと浴衣姿で歩いていた。

ここでやっと初登場。

榊原さゆりさん。

榊原さんとは5歳年下で高校教師だが、現在妊娠中のため休職中。両親が札幌にいるので、こちらに異動してきた榊原さんは、こう見えて奥さん一筋なのだそうだ。明るくて優しいさゆりさんは、特別美人ではないが、大人の雰囲気が漂う女性だ。ショートカットで、ふっくらとしたお腹も目立ってきたので、お腹に手を当てながら微笑んで俺たちに歩み寄ってきた。

「まさか、この旅館勧めたのって」

俺が呆れながら言うと、雪子もキョトンとして俺を見て、

「さゆりさん。ここ、泊まってみたかったって言ってて。まさか今日ここに来てるとは思わなかったけど」

と雪子も言ってさゆりさんをみた。

「さゆり先生、お元気でしたか？いま、何ヶ月になりました？」

「7か月よ。つわりはとっくに治まったし、今はね、食欲がやばいの。でもお腹いっぱい食べれないし、ストレスが溜まる一方で、それでこの人、ここに連れてきてくれたの」

ニコニコと微笑んで、さゆりさんが言うと、隣で榊原さんも穏やかな笑みを浮かべてさゆりさんの肩を抱いた。