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第20部 嵐の前の温泉旅行 前編
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「あれ?スマホがないわ」
雪子は出かける支度をしてバッグを持った時、ふとポケットをあさって眉をひそめた。俺も腕時計をはめながら、振り向いて雪子を見た。
「え?どっかに忘れた?」
「でも…昼間理から電話が来た時は話してたし……あっ!…平田さんに奪われてそのままかも。ど、どうしよう」
雪子はズン…と肩を落として落ち込むと、俺は雪子の肩を抱き寄せて、
「何か重要な電話かかってくる用事は?」
と訊ねると、雪子は頭を横に振った。
「ないわ。あ、でも理と会えたこと、祐さんたちに報告してないから、心配してるかも。慌ただしくこっちに来たから」
「なるほど」
「祐さんたちが、私の会社の上司のこととか、コンプライアンスのこととか、松林さんに相談してくれるって言ってたから、何か分かったら連絡する、とも言ってたの」
雪子はそう言って俯くと、俺は雪子の頭を優しく撫でて、
「ちょっと、待ってろよ。すぐ戻るから」
と言って急いで部屋を出ていった。雪子を部屋に残しているが、心配はないだろう。俺の部屋は二階だが、階段で2つ上の階に駆け上がり、とある部屋のインターホンを押した。少しするとドアが開いて、上半身裸にスパッツを履いた一ノ瀬が出てきて俺を見て目を丸くした。
雪子は出かける支度をしてバッグを持った時、ふとポケットをあさって眉をひそめた。俺も腕時計をはめながら、振り向いて雪子を見た。
「え?どっかに忘れた?」
「でも…昼間理から電話が来た時は話してたし……あっ!…平田さんに奪われてそのままかも。ど、どうしよう」
雪子はズン…と肩を落として落ち込むと、俺は雪子の肩を抱き寄せて、
「何か重要な電話かかってくる用事は?」
と訊ねると、雪子は頭を横に振った。
「ないわ。あ、でも理と会えたこと、祐さんたちに報告してないから、心配してるかも。慌ただしくこっちに来たから」
「なるほど」
「祐さんたちが、私の会社の上司のこととか、コンプライアンスのこととか、松林さんに相談してくれるって言ってたから、何か分かったら連絡する、とも言ってたの」
雪子はそう言って俯くと、俺は雪子の頭を優しく撫でて、
「ちょっと、待ってろよ。すぐ戻るから」
と言って急いで部屋を出ていった。雪子を部屋に残しているが、心配はないだろう。俺の部屋は二階だが、階段で2つ上の階に駆け上がり、とある部屋のインターホンを押した。少しするとドアが開いて、上半身裸にスパッツを履いた一ノ瀬が出てきて俺を見て目を丸くした。
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