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第19部 真夏の北国 ③
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助手席にいる私の方まで聞こえてくる。私は少しだけ、笑った。そんな私を、一ノ瀬さんがチラッと横目で見て、
「へぇ。そんな風に笑うんだ」
と言うと、私はまた真顔に戻した。
「ここが、雪まつりの会場の場所なのねー」
また窓の外の景色に見える看板や、公園の名前、ビルにある看板などを声に出してみた。理に届くはず…。
「坂井さん。私、この人が本当に坂井さんに似合う人なのか、見定めてみますので」
何勝手に言ってんだろ、この人は。話が通じない。ストーカー気質がある人って、どうもみんな人の話を聞かない。
「知らないわよ。理怒らせると」
私が言うと、平田さんはまたギクッとして私を見つめている。振り向かなくても分かる。視線が痛い。
「それに。私もね。これ以上勝手なことすると、さすがに頭にくるんだけど」
私が少しだけ振り向いて平田さんを睨みつけると、平田さんは驚いてドアの隅へと身をよじった。今更怯えられても、遅いんだけどね。怖くなったのか、スマホのディスプレイをタップして、通話を切って座席に放り投げた。
「あなたたちと遊ぶためにここに来たんじゃないのよ。理に会いに来たの。貴重な時間を裂かれるのは、我慢ならないわ」
「へぇ。そんな風に笑うんだ」
と言うと、私はまた真顔に戻した。
「ここが、雪まつりの会場の場所なのねー」
また窓の外の景色に見える看板や、公園の名前、ビルにある看板などを声に出してみた。理に届くはず…。
「坂井さん。私、この人が本当に坂井さんに似合う人なのか、見定めてみますので」
何勝手に言ってんだろ、この人は。話が通じない。ストーカー気質がある人って、どうもみんな人の話を聞かない。
「知らないわよ。理怒らせると」
私が言うと、平田さんはまたギクッとして私を見つめている。振り向かなくても分かる。視線が痛い。
「それに。私もね。これ以上勝手なことすると、さすがに頭にくるんだけど」
私が少しだけ振り向いて平田さんを睨みつけると、平田さんは驚いてドアの隅へと身をよじった。今更怯えられても、遅いんだけどね。怖くなったのか、スマホのディスプレイをタップして、通話を切って座席に放り投げた。
「あなたたちと遊ぶためにここに来たんじゃないのよ。理に会いに来たの。貴重な時間を裂かれるのは、我慢ならないわ」
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