続・君につづく道

第16部 合コン大作戦 後編

6

唇が触れる手前で、邑田さんは動きを止めた。

「な、なんで…そんな真っ直ぐ見つめられるんだよ」

「…邑田さんは、私を好きじゃない。キスしても、きっと何も始まらない。だから、逃げないわよ」

本当は、ちょっと怖かった。

でも、これは賭けだった。邑田さんは、理に勝手にコンプレックスがあるだけ。私はその駒にしか過ぎない。それに気づいてもらいたかった。

少しの間見つめあっていると、邑田さんはため息をついて私の腕をゆっくりと離した。

「なんだよ。俺のこと、試すみたいに言いやがって」

「…邑田さん。戻ろうよ」

「え？」

「お酒なら何杯でも付き合えるから。だから、みんなのとこに、戻って、飲もう。私のことは諦めてね。私の心は、たった1人だけのものだから。でもね、友達にはなれる。坂井さんはね、強い信念があるの。小さな疑問が生まれたら、とことん追求して事件を追っていくの。あなたにはそういう信念、ある？あなたも刑事なら、一つでも多くの事件を解決して、苦しんでる人を救ってあげて」

私はニッコリと微笑んでそう言うと、邑田さんは肩を落として頭を抱えた。

「信念…か。そんなもの、ない。目の前にある事件を追って、解決していくだけ。坂井も同じはずなのに、俺に足りないものは…そういう信念ってことかよ？」

「これから、見つけていけばいいでしょ？」