続・君につづく道

びぅむ

文字の大きさ
上 下
224 / 652
第14部 恋の障害

22

しおりを挟む
「お、おい。雪子?」

そう。怖かった。

一瞬でも男の人が怖いと感じた。息が頬に触れて、怖くて動けなくなった…。

「怖くて…」

私がそう言いかけると、理は私の唇を唇で塞いだ。優しいキスで、慰めてくれてるようだ。唇だけを、何度も顔の向きを変えて重ねている。

そうして、一頻りキスをした後、唇がゆっくりと離れると、理は私をきつく抱きしめてくれて、

「ごめん。怖かったよな。そうだよな」

と優しく言うと、私は頷いて理の背中に腕を回して抱きしめた。

「泣くなよ」

「うん」

「お前を責めたわけじゃなくて、俺が勝手に妬いただけだ」

理は優しくそう言ってキツく抱きしめてくれると、私はこくりと頷いた。私、こんなか弱い女だった?あんなことくらいで泣くなんて…。

「ほんとに、目が離せないな」

「ごめん。…もう、大丈夫。落ち着いた。帰るよ。忙しいのに、ごめんね」

私はやっと涙も止まってそう言うと、理から離れて、

「帰るね。仕事、頑張って」

と言って歩き出そうとすると、理は私の腕を掴んでまた引き寄せると、その大きな車に押しつけて、

「このまま帰れると思うなよ」

と言うと、また唇を塞いできた。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...