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第12部 泡沫の夢
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ん?
俺は右手で茶碗を受け取ると、雪子を見つめた。雪子はにっこりと笑っている。
「どうしたの?」
「いや…なんでも…」
俺は茫然とした。
うたた寝、かな。夢、見てた?幸せな、心がほんわかと温まるような、夢だったような気がする。なんだろう。でも、もうなんだかよく覚えてない…。
そこに、またドアがノックされて、仲居が日本酒を持ってきた。俺は、雪子をじっと見つめると、雪子はお猪口を俺に一つ渡してくれて、
「はい。どうぞ」
と言うと、俺はお猪口を持った。雪子は微笑みながら膝で立って腕を伸ばし、俺のお猪口に日本酒をゆっくりと注いだ。
「雪子もな」
「え、いいよ。自分で」
俺は自分のお猪口を置いて、雪子の手から日本酒の徳利を取った。
「いいんだよ。俺が、注ぎたいんだ」
「…はいっ」
雪子は照れたように笑って、お猪口を両手で持って掲げると、俺は雪子のお猪口に日本酒を注いだ。
「乾杯」
2人でそう言ってお猪口をカチッと鳴らすと、一口喉に流し入れた。熱燗で、そんなに辛くなくて確かにほんのり甘い。が、飲み口がスッキリしていくらでも飲めそうだ。逆に危険とも言える。
「じゃ、食べよっか」
俺が箸を持つと、雪子も頷いて箸を持った。
「頂きます!」
雪降る夜の、温泉郷。
心が躍り、幸福な晩餐会の後の楽しみがたっぷりある、夜の始まり。
宴は、まだ始まったばかり…。
俺は右手で茶碗を受け取ると、雪子を見つめた。雪子はにっこりと笑っている。
「どうしたの?」
「いや…なんでも…」
俺は茫然とした。
うたた寝、かな。夢、見てた?幸せな、心がほんわかと温まるような、夢だったような気がする。なんだろう。でも、もうなんだかよく覚えてない…。
そこに、またドアがノックされて、仲居が日本酒を持ってきた。俺は、雪子をじっと見つめると、雪子はお猪口を俺に一つ渡してくれて、
「はい。どうぞ」
と言うと、俺はお猪口を持った。雪子は微笑みながら膝で立って腕を伸ばし、俺のお猪口に日本酒をゆっくりと注いだ。
「雪子もな」
「え、いいよ。自分で」
俺は自分のお猪口を置いて、雪子の手から日本酒の徳利を取った。
「いいんだよ。俺が、注ぎたいんだ」
「…はいっ」
雪子は照れたように笑って、お猪口を両手で持って掲げると、俺は雪子のお猪口に日本酒を注いだ。
「乾杯」
2人でそう言ってお猪口をカチッと鳴らすと、一口喉に流し入れた。熱燗で、そんなに辛くなくて確かにほんのり甘い。が、飲み口がスッキリしていくらでも飲めそうだ。逆に危険とも言える。
「じゃ、食べよっか」
俺が箸を持つと、雪子も頷いて箸を持った。
「頂きます!」
雪降る夜の、温泉郷。
心が躍り、幸福な晩餐会の後の楽しみがたっぷりある、夜の始まり。
宴は、まだ始まったばかり…。
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