続・君につづく道

びぅむ

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第12部 泡沫の夢

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気がつくと、御膳の上にたくさんの夕食が並べられていた。刺身の盛り合わせ。1人用のすき焼きの鉄鍋はアルミ箔でくるまった固形燃料で火がかけられている。小鉢もいくつかあって、サラダもお味噌汁もある。

「全部食えるか?」

「食べられる。美味しそう!」

雪子は嬉しそうに笑って言うと、俺はそんな雪子を見て微笑んだ。素直な雪子はやっぱり若くて可愛いと思う。すると、仲居の女性はご飯を入れたおひつを雪子の方に置いて、

「では、ご飯のほうは奥様にお願い致しますね」

と言うと、雪子はパッと仲居を見て、

「え?あ、は、はいっ」

と声が上ずった。可愛いな。照れてる。仲居はふと俺を見て、

「お飲み物はいかが致しましょうか?お酒、お持ちしますか?」

と訊ねてくると、俺は雪子と顔を見合わせて、

「雪子。どうする?せっかくだから日本酒一本くらい飲む?」

と問いかけると、雪子はウンウンと頷いて、

「このお食事に合うお酒は、何がオススメですか?」

と仲居に訊ねた。聞き方が上手だな。こういうの、女子力っていうのかな。

「あまりきつくない度数弱めの日本酒が合うと思います。ほんのり甘口ですが。好みなら辛口もありますが」

「いえ、その甘口で構いません。お願い致します」
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