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第5部 別れてもすきな人
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滋は窓辺に肘をつきながら、俺を見て、
「おっさん、行けば?」
と言うと、俺は頭を左右に振った。
「まだ、ダメだ。滋、頼む。行ってあげてくれ」
「坂井さん」
「頼む…」
俺が俯いて言うと、滋はため息をついて部屋を出ると、階段を駆け下りていった。俺は膝に顔を埋めると、ふと立ち上がり、窓の角に身を寄せながら、滋の家の前に座り込む雪子の姿を見つめた。
雪子…。
もう、俺を追うな。
せっかくイイ彼氏が出来たんだ。親父さんも納得できる相手なんだろ?それでいいじゃないか。俺なんかじゃ…。
でも。
でも…。
俺はしゃがみこんで、膝に顔を埋めて泣きたいのを必死に堪えていた。
それなら、何で俺はここに来た?わざわざ、あいつが近くに住んでいる滋のとこに。本当は心のどこかで、まだ信じていたかった。
いつか、また会えることを。触れられる日が来ることを。
雪子は、きっとまだ俺のことを…。
「おっさん、行けば?」
と言うと、俺は頭を左右に振った。
「まだ、ダメだ。滋、頼む。行ってあげてくれ」
「坂井さん」
「頼む…」
俺が俯いて言うと、滋はため息をついて部屋を出ると、階段を駆け下りていった。俺は膝に顔を埋めると、ふと立ち上がり、窓の角に身を寄せながら、滋の家の前に座り込む雪子の姿を見つめた。
雪子…。
もう、俺を追うな。
せっかくイイ彼氏が出来たんだ。親父さんも納得できる相手なんだろ?それでいいじゃないか。俺なんかじゃ…。
でも。
でも…。
俺はしゃがみこんで、膝に顔を埋めて泣きたいのを必死に堪えていた。
それなら、何で俺はここに来た?わざわざ、あいつが近くに住んでいる滋のとこに。本当は心のどこかで、まだ信じていたかった。
いつか、また会えることを。触れられる日が来ることを。
雪子は、きっとまだ俺のことを…。
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