続・君につづく道

びぅむ

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第5部 別れてもすきな人

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雪子と付き合ってから、一年ちょっとで一度別れた。

俺は雪子の前から姿を消して、みんなで会う時は日にちや時間をずらした。俺のことを、早く忘れてほしかった。

そう願うのに、俺は陰から雪子の姿を何度か見ていた。ストーカーみたいだよな。

別れた直後の雪子は、やっぱり予想以上に落ち込んでた。見るに見かねて飛び出して行きたかったけど、踏みとどまって深呼吸をした。


「坂井さん?何してるの、こんなとこで」

女性の声が後ろから聞こえてきて、俺はため息をついて振り向いた。

「芳沢か。なんでここにいるんだ」

「あんたの行動くらいわかるわよ。未練がましいんだから!」

俺の前に現れたのは、今俺が所属している八王子の部署の俺の相棒、芳沢唯子。俺の一つ年上で、長い髪をいつも後ろで結っている彼女は、強気で男勝り。同じ課でも男と混ざって図太く仕切っている。
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