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第1章 さよなら、果樹園
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私は涙ぐみながら圭太兄さんに抱き着くと、圭太兄さんはゆっくりと私の肩を掴んで離し、
「…それじゃ、だめだよ。お姉さん、悲しむから…」
と言うと、私はギクッとして何にも言えなくなってしまった。
「君の幸せを何より願って、体を張って君を守り抜いた。なのに、君がこんな俺を好きになったら、悲しむよ」
圭太兄さんはそう言って、私の肩を優しく抱き寄せた。私は、そんな忌ま忌ましい過去を思い出して、頭の中がぐるぐるしている。すると圭太兄さんはそんな私を見て、
「美夜。俺だって、お前の幸せを何より願ってる。だから、彼氏、作ってほしいんだ」
と言うと、私の肩から静かに手を離してゆっくりと立ち上がって部屋を出ていった。
わかるよ。
圭ちゃんの言いたいことは、よく分かる。だけど、好きなんだもん。圭ちゃんが、好きなんだもん!私はそう思うと、余計に涙が滲んできて、きつく目を閉じた。
*
そうして、翌日祐兄さんも凜ちゃんを連れてやってきた。
凜ちゃんは7歳になった。小学校一年生。
前までは頻繁に海外にでかけていた祐兄さんだったけど、さすがに今は凜ちゃんの学校もあるし、海外に行くことはなくなった。
あたしには、お姉ちゃんが一人いた。
お父さんに虐待されていた私に気付いて、身代わりになったお姉ちゃん。だけど、暴力は続いてたんだ。そのことを圭太兄さんがお姉ちゃんに話してくれて、刑事である坂井さんと祐兄さんたちの協力の元、とうとう私たちは父の家から脱出した。
「…それじゃ、だめだよ。お姉さん、悲しむから…」
と言うと、私はギクッとして何にも言えなくなってしまった。
「君の幸せを何より願って、体を張って君を守り抜いた。なのに、君がこんな俺を好きになったら、悲しむよ」
圭太兄さんはそう言って、私の肩を優しく抱き寄せた。私は、そんな忌ま忌ましい過去を思い出して、頭の中がぐるぐるしている。すると圭太兄さんはそんな私を見て、
「美夜。俺だって、お前の幸せを何より願ってる。だから、彼氏、作ってほしいんだ」
と言うと、私の肩から静かに手を離してゆっくりと立ち上がって部屋を出ていった。
わかるよ。
圭ちゃんの言いたいことは、よく分かる。だけど、好きなんだもん。圭ちゃんが、好きなんだもん!私はそう思うと、余計に涙が滲んできて、きつく目を閉じた。
*
そうして、翌日祐兄さんも凜ちゃんを連れてやってきた。
凜ちゃんは7歳になった。小学校一年生。
前までは頻繁に海外にでかけていた祐兄さんだったけど、さすがに今は凜ちゃんの学校もあるし、海外に行くことはなくなった。
あたしには、お姉ちゃんが一人いた。
お父さんに虐待されていた私に気付いて、身代わりになったお姉ちゃん。だけど、暴力は続いてたんだ。そのことを圭太兄さんがお姉ちゃんに話してくれて、刑事である坂井さんと祐兄さんたちの協力の元、とうとう私たちは父の家から脱出した。
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