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第2章 天国への階段
兄の恋人
しおりを挟む私は夕食後、お母さんとキッチンにいた。
お母さんは洗いもの、私は食器を拭く手伝いをしていた。私はチラッとお母さんを見ると、
「ねえ、お母さん。祐…じゃなかった…お兄さん、あの時、手際よかったよね。びっくりした」
と言うと、お母さんも苦笑して頷いて、
「私もびっくり。初めて、私のこと頼ってくれたから、嬉しかったけど。でね、後で聞いてみたの。そしたら」
と言いかけると、私は思わずお母さんの顔を覗き込んだ。
「そしたら?」
「彼女がいるんだって。で、彼女もよく生理痛に苦しんでるし、ナプキン、買わされるんだそうよ。って、ことは、相当進んでるわねっ」
「彼女…?」
知らなかった。そっか。高校生だもんね。あんなにカッコいいし、モテるよね。じゃあ…彼女ととっくに、エッチとか、してるってこと…?
私はそう考えこみながら、ブツブツ言っていると、今度はお母さんが私の顔を覗き込んだ。
「ん?気になるのかな~?」
とお母さんがからかうように笑いながら言うと、私はドキッとして頭を横に振った。
「ま、まっさかー!」
そう言ってごまかすと、私とお母さんは声を揃えて笑った。
そりゃ気になる。けど、それはよくあることだよね。義理の兄を好きになるって。でも、これは憧れ。恋愛に憧れて、1番近い存在の人を好きだと錯覚してしまう。だから、これは、決して恋じゃないんだ。
私は、自分の気持ちにそう言い聞かせて、これからは気にするのをやめようと決心した。
*
そうして、春。
私は高校生になった。
卸したての制服は、ノリのきいた硬い袖で、なんだかまだ着慣れていない。玄関で新しい靴を履いていると、祐が階段を下りてきて、
「萌梨、寝癖…」
と通りすがりにポツリと呟かれた。
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と言いかけると、私は思わずお母さんの顔を覗き込んだ。
「そしたら?」
「彼女がいるんだって。で、彼女もよく生理痛に苦しんでるし、ナプキン、買わされるんだそうよ。って、ことは、相当進んでるわねっ」
「彼女…?」
知らなかった。そっか。高校生だもんね。あんなにカッコいいし、モテるよね。じゃあ…彼女ととっくに、エッチとか、してるってこと…?
私はそう考えこみながら、ブツブツ言っていると、今度はお母さんが私の顔を覗き込んだ。
「ん?気になるのかな~?」
とお母さんがからかうように笑いながら言うと、私はドキッとして頭を横に振った。
「ま、まっさかー!」
そう言ってごまかすと、私とお母さんは声を揃えて笑った。
そりゃ気になる。けど、それはよくあることだよね。義理の兄を好きになるって。でも、これは憧れ。恋愛に憧れて、1番近い存在の人を好きだと錯覚してしまう。だから、これは、決して恋じゃないんだ。
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*
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