脇役よ恵まれてくれ!

二鈴 照

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第三話 猫の家

提案

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「そういえばフェル様。リイス様攻略について私、力になれることがありそうです」
「それは本当か?!エリーフェ」

 フェル様とのお勉強も終わりこんどはヒロイン攻略作戦に入る。といっても基本情報を少しずつ教えていくだけだったのだが。

「ちょっと難しいのですが、私が他の人とヒロインのフラグを折るという方法です」
「…到底君にできるとは思わないな」
「な……諦めるの早く無いですか!フェル様!」
「ただでさえ頭の回転が君が、誘導をして相手を自分の手の中で踊らせるなんてことは無理に等しいぞ。」
「ヒロインのセリフ覚えてます!!」
「いくらセリフを覚えていたとしても君がそれを意識的に行うことは君の性格上不可能だ。やるならまだ無意識の方が出来るだろ。」
「では沢山お話しします…」
「話すぎて評判が落ちたり、不敬がないようにな。」
「分かりました~ってフェル様なんだかんだ言って婚約者自分好みリイスちゃん似にしようとしてませんかー?」
「フッ…気のせいだろ。」

 この野郎、危うくフェル様の手の上で踊る所だった。たしかに私が意識的に行うのは無理そう…でも自分好みにってのもなんか癪に触ると言うか~
(フェル様、失敗したときのために私に保険掛けすぎなんだよ。まったく…少しチャンスがあるみたいで期待してしまいたくなりそうだ。)

 いいや、駄目だ。それじゃあ、が叶えられないじゃないか。
 私は失敗なんて考えないでやるしかない、一度考えたらキリが無いし、変な期待持って

「いいですよ、フェル様。私に保険かけても。でも私は絶対に失敗させませんし、幸せにさせて見せます。」
「始めから、僕もそのつもりだが…何か不満が?」
「無いです!!」

 向かい合った席の中、見つめ合っている私たち婚約者は愛を誓うでもなく、ただ目的へと歩む決意を固めた。

 フェル様の目に光り輝く赤色はどこまでも屈しないその心情と到底私には計り知れない考えが蠢いていた。

(あー、推しの瞳。ご飯3杯くらいいけそう。シャキッとしてて素敵ッーー!アッ、てか……)

 私は気づいてしまった、いや正確に言えば気づいていたが無意識的に気づかないをしていたのだ。

(……アレ、私今。フェル様と見つめ合ってるー?!?!ガッッッ!心臓がッッ!!顔がイイ奴に見られている…てか私の分際でこんな事をしていいのだろうか!お金…いくら必要なんだ!)

 沸騰する頭と顔と共に、エリーフェ・バレナティオもはや恒例の暗転落ち……明後日大事な依頼が控えてるって言うのにやっちまったな。

 私は視界が薄れていった。






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