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第二話 学校の七不思議
作戦会議 sideフェル
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「エリーフェ。ここにいたんですか。」
そう言うと君は満面の笑みで振り返った。『フェル様!』と僕の姿を見て笑う姿は昔飼っていた犬のようだった。まるで尻尾が見えているかのような表情のわかりやすさ。単純…。いかにも脳の面積が足りない奴の顔だ。
すかさず彼女の心配をする。僕が初めて会ったときから彼女は倒れている。禁忌を犯した、禁術紛いの事をしたから体が追いついていないのか?
…これだから魔術は興味深いと思ってしまう。今ここに、いつ倒れるのかわからない人が居るというのに僕は魔術の方に興味がいってしまう。
もし、ヒロインとされているあの子ならば、救国の聖女となる僕の初恋の人ならば、魔術よりも夢中になれるものを教えてくれるのではないのかと、淡い期待を抱きながら僕はあの子を探している。
くだらない思考をやめ、エリーフェとの約束を取り付け寮に戻って支度をする。談話室のセッティング完了、全て予習通り。共用スペースに行くと丁度来たであろうエリーフェがいた。
「エリーフェ。」
「どわっ!!」
急に声をかけられびっくりした彼女は、女性でありながら間抜けな声を出して僕の方に振り返った。談話室まで案内するとお菓子屋や茶が置かれているのに気づいて、いかにも美味しそうという顔をしたと思えば直ぐに表情を曇らせた。コロコロ表情を変えて楽しそうな奴だと思いつつ本題に入った。
「では早速、前回の続きを話そう。」
「はい!っと…その前に一つお聞きしたいのですが。口調変わりました?」
どうやら彼女は僕の口調が先程から変わっていたことに気づいたようだった。もう既に僕の本性は彼女にバレている様だし、繕うだけ苦労者というところだから猫被りはやめた。
まあ真っ当な理由をつけるとしたら禁術、禁忌レベルの事だ、秘密を共有した共犯者くらいの仲なのだからタメでいいだろうと言ったところか。
早速、彼女から情報を貰う。少しでもあの子の事を知るために。
「まずはですね…こちら!救国の聖女、フェル様の攻略対象!リイス•クリスチャーヌです!」
「……リイス。」
名前を呼ぶとしっくりくる様な感覚がする。忘れない様に、持ってきたメモ用紙にペンを走らせる。
『リイス•クリスチャーヌ』確かに幼い頃見たあの笑顔にぴったりの名前。記憶のカケラと共に名前に魔術を刻む、これで後はあの子の魔力をここに注ぐと…あの時会った人が本当に彼女なのか、確かめる事ができる。
でもこれを成功させるには3年で習う『証人魔術』を習得しなければならない。…エリーフェ、君が知っている僕はこれを行ったのかい?
気になる点を残しつつ彼女の話を聞いていたら、
…学園の名前を覚えていない…と。
これが自分の婚約者なのだと頭を抱えてしまうが、あの子の新しい情報として1番初めに会ったのは僕だと伝えられたものだからつい許してしまった。
魔術に対しての知識を聞いても属性が一つ足りなかった、仮にも愛読小説。彼女の記憶力がないのかはては、作者がそれを省いていたか。
真相は分からないが、恐らく彼女が知っている僕は小説に記載されている範囲外のところで『証人魔術』を使用した可能性もある。
一体、僕は何を思って彼女を諦めたのだろうか。
王子の婚約者だからが本当の理由なのだろうか。推理小説の読み過ぎからか深読みに入ってしまう。考えたとて出てこない事実なのだから。
とりあえず失敗してもいいよう、この婚約者の頭をどうにか良くしなければと勉強会を取り付けた。
そう言うと君は満面の笑みで振り返った。『フェル様!』と僕の姿を見て笑う姿は昔飼っていた犬のようだった。まるで尻尾が見えているかのような表情のわかりやすさ。単純…。いかにも脳の面積が足りない奴の顔だ。
すかさず彼女の心配をする。僕が初めて会ったときから彼女は倒れている。禁忌を犯した、禁術紛いの事をしたから体が追いついていないのか?
…これだから魔術は興味深いと思ってしまう。今ここに、いつ倒れるのかわからない人が居るというのに僕は魔術の方に興味がいってしまう。
もし、ヒロインとされているあの子ならば、救国の聖女となる僕の初恋の人ならば、魔術よりも夢中になれるものを教えてくれるのではないのかと、淡い期待を抱きながら僕はあの子を探している。
くだらない思考をやめ、エリーフェとの約束を取り付け寮に戻って支度をする。談話室のセッティング完了、全て予習通り。共用スペースに行くと丁度来たであろうエリーフェがいた。
「エリーフェ。」
「どわっ!!」
急に声をかけられびっくりした彼女は、女性でありながら間抜けな声を出して僕の方に振り返った。談話室まで案内するとお菓子屋や茶が置かれているのに気づいて、いかにも美味しそうという顔をしたと思えば直ぐに表情を曇らせた。コロコロ表情を変えて楽しそうな奴だと思いつつ本題に入った。
「では早速、前回の続きを話そう。」
「はい!っと…その前に一つお聞きしたいのですが。口調変わりました?」
どうやら彼女は僕の口調が先程から変わっていたことに気づいたようだった。もう既に僕の本性は彼女にバレている様だし、繕うだけ苦労者というところだから猫被りはやめた。
まあ真っ当な理由をつけるとしたら禁術、禁忌レベルの事だ、秘密を共有した共犯者くらいの仲なのだからタメでいいだろうと言ったところか。
早速、彼女から情報を貰う。少しでもあの子の事を知るために。
「まずはですね…こちら!救国の聖女、フェル様の攻略対象!リイス•クリスチャーヌです!」
「……リイス。」
名前を呼ぶとしっくりくる様な感覚がする。忘れない様に、持ってきたメモ用紙にペンを走らせる。
『リイス•クリスチャーヌ』確かに幼い頃見たあの笑顔にぴったりの名前。記憶のカケラと共に名前に魔術を刻む、これで後はあの子の魔力をここに注ぐと…あの時会った人が本当に彼女なのか、確かめる事ができる。
でもこれを成功させるには3年で習う『証人魔術』を習得しなければならない。…エリーフェ、君が知っている僕はこれを行ったのかい?
気になる点を残しつつ彼女の話を聞いていたら、
…学園の名前を覚えていない…と。
これが自分の婚約者なのだと頭を抱えてしまうが、あの子の新しい情報として1番初めに会ったのは僕だと伝えられたものだからつい許してしまった。
魔術に対しての知識を聞いても属性が一つ足りなかった、仮にも愛読小説。彼女の記憶力がないのかはては、作者がそれを省いていたか。
真相は分からないが、恐らく彼女が知っている僕は小説に記載されている範囲外のところで『証人魔術』を使用した可能性もある。
一体、僕は何を思って彼女を諦めたのだろうか。
王子の婚約者だからが本当の理由なのだろうか。推理小説の読み過ぎからか深読みに入ってしまう。考えたとて出てこない事実なのだから。
とりあえず失敗してもいいよう、この婚約者の頭をどうにか良くしなければと勉強会を取り付けた。
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