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第七十五章
契りの宴
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ジョンは父と母の苦難に満ちた物語を語り切った。
一夜限りに蘇った廃墟の教会へ詰め寄せたプロブロ族の人々はジョンの物語を聞き終わった後も沈黙を貫いていた。
静寂の空気が辺りを占領しようとしている中、酋長がそれを断ち切った。
「良く分かった。ナバホ族がマリア・シスターの生存を門外不出とした理由が。
それを踏まえて、皆の者にこう問う。
プロブロ族の為にたった1人で白人に立ち向かい、マリア・シスターを守り、かつ、部族をも守る為に自らの命を犠牲にした勇者ロビン・フッドの遺言…。
真実を死と共にあの世に持ち去る覚悟。
勇者の心は悔恨と憎悪の荒波に立ち向かいながらも自らが最期に守るべきものを見定めたのじゃ…。
名誉を捨て、敢えて恥辱を引き受けて…
ナバホ族の酋長も生き恥をかく人生を選んだ。
勇者の遺言が全てを凌駕したのじゃ。
ワシがナバホ族の酋長であっても、勇者の遺言どおり、全てを隠匿するであろう…
たとえその事が他部族との繋がりを断ち切る事になろうとも。
良いか、皆の者!
真実は直ぐに顔を出す必要は無いのじゃ。
真実は時を経て、暗闇から這い上がり、凡ゆるものに通用する時を選ぶのじゃ!
時が来たり!
今がその時だ!
皆の者、過去の因果は真実によって葬られたのじゃ!
ナバホ族との因果は消え失せた!
皆の者、そう認めるか?」と
廃墟の教会に集ったプロブロ族の人々は、ゆっくりと、そして、徐々に力強く、「ドン、ドン」と握り拳で机を叩いた。
酋長は太鼓のような同意の合図が鳴り止むと、こう叫んだ。
「皆の者、『承継』だ。勇者の血と我らマリア・シスターの血が交わり、1人の男に引き継がれておる。
この男、『ジョン・ブラッシュ』を我が友として、迎えよう!
今宵は宴じゃ!」と
静寂の宵闇は歓迎の宴へと移り変わった。
教会前の広場に円陣が組まれ、そのサークルの中央には巨体な松明が組作られた。
円陣の外には部族の衣装で着飾れた馬達が並ばせられ、その両脇にぶら下げた小太鼓を演者が巧みに叩いていた。
円陣の上座には酋長を挟んでジョンとマリアが座っていた。
人々はひょうたんの瓶に入れた酒を回し呑み、男は歌い、女は踊った。
火の粉が舞う中、酋長がジョンに酒瓶を手渡し、こう言った。
「お前の肌の色は母の血が白くさせておる。だが、お前の目は父の血じゃ。漆黒の瞳。睨むもの全てを吸い込む勇者の瞳じゃ。」と
ジョンは酒を一口飲むと酒瓶を酋長に戻して、こう問うた。
「貴方は私の父と会ったことがあるのですか?」と
酋長はそれを聞き、酒をごくりと一飲みすると、中央の松明を眺めながらこう語り出した。
「お前の父、勇者ロビン・フッドはワシの戦友であると同時にワシの憧れでもあった。
ワシがロビン・フッドに初めて会ったのは、これじゃ、この牙の怪物の死体を洞穴から引き摺り出した時じゃ。」
酋長はジョンの胸元の牙の首飾りを見遣り、そう言うと、懐かしそうに天を仰ぎ、瞑想しながら話を続けた。
「ホイラー山の『悪魔の棲家』、あの巨大なヒグマをお前の父はたった1人で、それもナイフ一つで息の根を止めた。
ワシ等、プロブロ族の戦士がヒグマを洞穴から引き摺り出すと、そのお前の着けておる牙は既に抉り取られておった。
ワシらはヒグマの死顔を見た。
ヒグマの目は途轍もなく大きな『恐怖』に慄いた死目をしていた。
そう、勇者ロビン・フッドの恐怖をな…
その時、ワシにもヒグマの恐怖が伝わって来たのを今でも覚えておる。
勇者の瞳にワシも吸い込まれそうになる恐怖…、あらゆる力が全く通用しない諦めの心境…、言い難い恐怖…、ワシは途方もなく怖くて怖くて、この小さな心の臓がドクンドクンと泣き止まなかったのを覚えておる。」と苦笑いを浮かべながら、胸をトントンと叩いた。
そして、真顔に戻ると、こう続けた。
「次に勇者に出会ったのは、あのホイラーピークの戦いの時じゃ。
白人至上主義者はベトナム帰還兵の荒くれ者を傭兵に雇い、ホイラーピークの村は殺戮の戦場と化していた。
誰もが諦めた。誰もが『この世に救いは無いのか』と神を恨んだ。
その時、勇者ロビン・フッドがたった1人、西からやって来たのだ。
勇者に言葉は無用であった。
お前の父は何も語らず次々と白人共に『怒りの矢』を撃ち放っていった。
ワシ等、プロブロ族の戦士はその勇者の姿を見て奮い立った。
『神は居なくても勇者が居る。』とな。
そう、お前の父、勇者ロビン・フッドは我々プロブロ族の救世主でもあったのじゃ…」と
ジョンはそう語る酋長の皺だらけの目尻の横顔をじっと見つめていた。
一呼吸付くと、酋長がジョンを見遣り、こう問うた。
「勇者の倅よ、お前は今、何を望むのか?」と
ジョンは酋長の目を見ながらこう答えた。
「今僕は母の面影を求めています。母の生きた証を望んでいます。父が残したこの牙と同じように…」と
それを聞くと酋長はこう囁いた。
「死者の形見は自身の身体の一部になる。」と
ジョンは酋長の落ち窪んだ皺だらけの小さな瞳に訴えた。
「貴方ならご存知のはず!母の遺骨は何処に葬られているのですか?教えてください!」と
酋長はジョンから目を逸らし、こう答えた。
「マリア・シスターはお前の母親である以上に我々プロブロ族の心の女神でもあるのじゃ。お前だけのものではないのじゃ。」と
ジョンは酋長の手を掴み、更に訴えた。
「では、貴方は母の遺骨が何処に葬られているのかご存知なのですね?頼みます!教えてください!」と
酋長はジョンの悲痛な訴えが聞こえないかのように何も答えず松明の炎を見遣っていた。
その時、酋長の隣に座っていたマリアがこう言った。
「お父さん、私からもお願いします。ジョンに教えてあげてください。」と
酋長はマリアの頼みも聞こえぬよう何も答えなかった。
上座の3人の座る空気はまたもや静寂に覆われ、虚しく太鼓の音が鳴り響くだけであった。
そして、長い沈黙を費やした後、やっと酋長が口を開いた。
「我らの女神、マリア・シスターの遺骨はプロブロ族が祭主として守護しておる。
その居場所はプロブロ族以外の者には教えることはできぬ。
分かるであろう。
そのことはお前の父やナバホ族の酋長がマリア・シスターの生存を門外不出の掟としたのと同じなのじゃ。
神聖なる死者の眠りは部族に平穏と安息を約するのだ。」と
ジョンは『違う』と何度も首を振り、尚もこう訴えた。
「僕にはマリア・シスターの血が確かに流れているのです!
僕には母の遺骨を保有する権利があるはずです!
骨の欠片でも構いません!」と
酋長はジョンに顔を向けることなくこう言った。
「『母』という続柄はお前との関係のみだ。
しかし、『女神』は違う。
プロブロ族、全ての者との関係を構築するのだ。」と
ジョンはそれを聞いても酋長の手を離さなかった。
酋長は力尽くジョンの手を振り解き、今度はジョンの目を睨んでこう言った。
「先も言ったはずだ!プロブロ族以外の者には何があっても教えることは出来ぬと。」
そして、急に口調を和らげこう問うた。
「分かるか?ワシが言ってることが、ワシの真意が分かるか?」と
ジョンはごくりと唾を飲み込み、黙って酋長の次の言葉を待ち構えた。
酋長はジョンの手を握り、そして、もう片方の手でマリアの手を握ると、こう言った。
「ジョン・ブラッシュよ!お前はプロブロ族の親族となるのじゃ。
良いか!
ワシは認めるぞ!
ワシの娘でありプロブロ族の承継者であるマリアとの契りを!
どうだ!
これでお前の望みも叶う!」と
ジョンは笑顔をでそう語る酋長の向こう側に居るマリアの顔を見遣った。
マリアはお淑やかに下を向いていた。
酋長は2人の手を強く握り、ジョンの答えは当然であるかのように大きく『うんうん』と頷き、そして、すくっと立ち上がると、『パンパン』と宴の中座の合図をした。
歌い手は黙り、踊り子は立ち止まった。
酋長は皆の者をゆっくりと見渡しながら、こう叫んだ。
「皆の者!今宵の歓迎の宴は『契り』の宴となった!
良いか!
我が娘マリアと勇者の倅ジョンとの神聖なる契りが交わされるぞよ!」と
一瞬の静寂は一同の者による響めきにより打ち破られた。
ジョンは呆然と立ち尽くしていた。
何が起こったかは理解していた。
ただ、脳裏と心に薄い煙のような靄が立ち込めるのを感じていた。
その煙のような靄の向こう側には見えない姿があるのであった。
浩子の面影が…、薄らと…
一夜限りに蘇った廃墟の教会へ詰め寄せたプロブロ族の人々はジョンの物語を聞き終わった後も沈黙を貫いていた。
静寂の空気が辺りを占領しようとしている中、酋長がそれを断ち切った。
「良く分かった。ナバホ族がマリア・シスターの生存を門外不出とした理由が。
それを踏まえて、皆の者にこう問う。
プロブロ族の為にたった1人で白人に立ち向かい、マリア・シスターを守り、かつ、部族をも守る為に自らの命を犠牲にした勇者ロビン・フッドの遺言…。
真実を死と共にあの世に持ち去る覚悟。
勇者の心は悔恨と憎悪の荒波に立ち向かいながらも自らが最期に守るべきものを見定めたのじゃ…。
名誉を捨て、敢えて恥辱を引き受けて…
ナバホ族の酋長も生き恥をかく人生を選んだ。
勇者の遺言が全てを凌駕したのじゃ。
ワシがナバホ族の酋長であっても、勇者の遺言どおり、全てを隠匿するであろう…
たとえその事が他部族との繋がりを断ち切る事になろうとも。
良いか、皆の者!
真実は直ぐに顔を出す必要は無いのじゃ。
真実は時を経て、暗闇から這い上がり、凡ゆるものに通用する時を選ぶのじゃ!
時が来たり!
今がその時だ!
皆の者、過去の因果は真実によって葬られたのじゃ!
ナバホ族との因果は消え失せた!
皆の者、そう認めるか?」と
廃墟の教会に集ったプロブロ族の人々は、ゆっくりと、そして、徐々に力強く、「ドン、ドン」と握り拳で机を叩いた。
酋長は太鼓のような同意の合図が鳴り止むと、こう叫んだ。
「皆の者、『承継』だ。勇者の血と我らマリア・シスターの血が交わり、1人の男に引き継がれておる。
この男、『ジョン・ブラッシュ』を我が友として、迎えよう!
今宵は宴じゃ!」と
静寂の宵闇は歓迎の宴へと移り変わった。
教会前の広場に円陣が組まれ、そのサークルの中央には巨体な松明が組作られた。
円陣の外には部族の衣装で着飾れた馬達が並ばせられ、その両脇にぶら下げた小太鼓を演者が巧みに叩いていた。
円陣の上座には酋長を挟んでジョンとマリアが座っていた。
人々はひょうたんの瓶に入れた酒を回し呑み、男は歌い、女は踊った。
火の粉が舞う中、酋長がジョンに酒瓶を手渡し、こう言った。
「お前の肌の色は母の血が白くさせておる。だが、お前の目は父の血じゃ。漆黒の瞳。睨むもの全てを吸い込む勇者の瞳じゃ。」と
ジョンは酒を一口飲むと酒瓶を酋長に戻して、こう問うた。
「貴方は私の父と会ったことがあるのですか?」と
酋長はそれを聞き、酒をごくりと一飲みすると、中央の松明を眺めながらこう語り出した。
「お前の父、勇者ロビン・フッドはワシの戦友であると同時にワシの憧れでもあった。
ワシがロビン・フッドに初めて会ったのは、これじゃ、この牙の怪物の死体を洞穴から引き摺り出した時じゃ。」
酋長はジョンの胸元の牙の首飾りを見遣り、そう言うと、懐かしそうに天を仰ぎ、瞑想しながら話を続けた。
「ホイラー山の『悪魔の棲家』、あの巨大なヒグマをお前の父はたった1人で、それもナイフ一つで息の根を止めた。
ワシ等、プロブロ族の戦士がヒグマを洞穴から引き摺り出すと、そのお前の着けておる牙は既に抉り取られておった。
ワシらはヒグマの死顔を見た。
ヒグマの目は途轍もなく大きな『恐怖』に慄いた死目をしていた。
そう、勇者ロビン・フッドの恐怖をな…
その時、ワシにもヒグマの恐怖が伝わって来たのを今でも覚えておる。
勇者の瞳にワシも吸い込まれそうになる恐怖…、あらゆる力が全く通用しない諦めの心境…、言い難い恐怖…、ワシは途方もなく怖くて怖くて、この小さな心の臓がドクンドクンと泣き止まなかったのを覚えておる。」と苦笑いを浮かべながら、胸をトントンと叩いた。
そして、真顔に戻ると、こう続けた。
「次に勇者に出会ったのは、あのホイラーピークの戦いの時じゃ。
白人至上主義者はベトナム帰還兵の荒くれ者を傭兵に雇い、ホイラーピークの村は殺戮の戦場と化していた。
誰もが諦めた。誰もが『この世に救いは無いのか』と神を恨んだ。
その時、勇者ロビン・フッドがたった1人、西からやって来たのだ。
勇者に言葉は無用であった。
お前の父は何も語らず次々と白人共に『怒りの矢』を撃ち放っていった。
ワシ等、プロブロ族の戦士はその勇者の姿を見て奮い立った。
『神は居なくても勇者が居る。』とな。
そう、お前の父、勇者ロビン・フッドは我々プロブロ族の救世主でもあったのじゃ…」と
ジョンはそう語る酋長の皺だらけの目尻の横顔をじっと見つめていた。
一呼吸付くと、酋長がジョンを見遣り、こう問うた。
「勇者の倅よ、お前は今、何を望むのか?」と
ジョンは酋長の目を見ながらこう答えた。
「今僕は母の面影を求めています。母の生きた証を望んでいます。父が残したこの牙と同じように…」と
それを聞くと酋長はこう囁いた。
「死者の形見は自身の身体の一部になる。」と
ジョンは酋長の落ち窪んだ皺だらけの小さな瞳に訴えた。
「貴方ならご存知のはず!母の遺骨は何処に葬られているのですか?教えてください!」と
酋長はジョンから目を逸らし、こう答えた。
「マリア・シスターはお前の母親である以上に我々プロブロ族の心の女神でもあるのじゃ。お前だけのものではないのじゃ。」と
ジョンは酋長の手を掴み、更に訴えた。
「では、貴方は母の遺骨が何処に葬られているのかご存知なのですね?頼みます!教えてください!」と
酋長はジョンの悲痛な訴えが聞こえないかのように何も答えず松明の炎を見遣っていた。
その時、酋長の隣に座っていたマリアがこう言った。
「お父さん、私からもお願いします。ジョンに教えてあげてください。」と
酋長はマリアの頼みも聞こえぬよう何も答えなかった。
上座の3人の座る空気はまたもや静寂に覆われ、虚しく太鼓の音が鳴り響くだけであった。
そして、長い沈黙を費やした後、やっと酋長が口を開いた。
「我らの女神、マリア・シスターの遺骨はプロブロ族が祭主として守護しておる。
その居場所はプロブロ族以外の者には教えることはできぬ。
分かるであろう。
そのことはお前の父やナバホ族の酋長がマリア・シスターの生存を門外不出の掟としたのと同じなのじゃ。
神聖なる死者の眠りは部族に平穏と安息を約するのだ。」と
ジョンは『違う』と何度も首を振り、尚もこう訴えた。
「僕にはマリア・シスターの血が確かに流れているのです!
僕には母の遺骨を保有する権利があるはずです!
骨の欠片でも構いません!」と
酋長はジョンに顔を向けることなくこう言った。
「『母』という続柄はお前との関係のみだ。
しかし、『女神』は違う。
プロブロ族、全ての者との関係を構築するのだ。」と
ジョンはそれを聞いても酋長の手を離さなかった。
酋長は力尽くジョンの手を振り解き、今度はジョンの目を睨んでこう言った。
「先も言ったはずだ!プロブロ族以外の者には何があっても教えることは出来ぬと。」
そして、急に口調を和らげこう問うた。
「分かるか?ワシが言ってることが、ワシの真意が分かるか?」と
ジョンはごくりと唾を飲み込み、黙って酋長の次の言葉を待ち構えた。
酋長はジョンの手を握り、そして、もう片方の手でマリアの手を握ると、こう言った。
「ジョン・ブラッシュよ!お前はプロブロ族の親族となるのじゃ。
良いか!
ワシは認めるぞ!
ワシの娘でありプロブロ族の承継者であるマリアとの契りを!
どうだ!
これでお前の望みも叶う!」と
ジョンは笑顔をでそう語る酋長の向こう側に居るマリアの顔を見遣った。
マリアはお淑やかに下を向いていた。
酋長は2人の手を強く握り、ジョンの答えは当然であるかのように大きく『うんうん』と頷き、そして、すくっと立ち上がると、『パンパン』と宴の中座の合図をした。
歌い手は黙り、踊り子は立ち止まった。
酋長は皆の者をゆっくりと見渡しながら、こう叫んだ。
「皆の者!今宵の歓迎の宴は『契り』の宴となった!
良いか!
我が娘マリアと勇者の倅ジョンとの神聖なる契りが交わされるぞよ!」と
一瞬の静寂は一同の者による響めきにより打ち破られた。
ジョンは呆然と立ち尽くしていた。
何が起こったかは理解していた。
ただ、脳裏と心に薄い煙のような靄が立ち込めるのを感じていた。
その煙のような靄の向こう側には見えない姿があるのであった。
浩子の面影が…、薄らと…
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