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第二十四章
酋長の懺悔2〜ケビンとマリア〜
しおりを挟む 両腕をなくし、首をなくした魄皇鬼の身体が崩れ落ちる。
終わった。
最後まで、兄様に助けられた。
あの様子では、兄様も生きてはいないだろう。
止めどなく溢れる涙が視界を塞ぐ。
ふと、〈紅桜〉が私の手を引いた気がした。
涙で歪む視界に、白い闇が躍り出る!
「はっ」
身をひねる私の左眼に、魄皇鬼の首が牙を剥く。
「あぐぅっ!」
瞳を襲う、灼けるような痛みに視界が揺らいだ。
まだ動くのか?
駆け降りてくる首は禍々しく殺気を放つ。
視界が霞む。
構える〈紅桜〉に、何かが手を添えた気がした。
行け!
「忌まわし鬼よ。去れ!」
刀にある限りの霊力を乗せ、迫り来る魄皇鬼の首を一刀の元に斬り伏せる。
霞む視界に、紅い五芒星が確かに写って見えた。
今度こそ、魄皇鬼の首がチリとなり風に消えて逝く。
『紅、桜……』
魄皇鬼の声が夜の闇に消えた。
東の空に輝く太陽が、一日の始まりを告げる。
鮮やかな朱色の柱が立つ境内で、座り込んだまま夜が明けてしまった。
左眼の灼けるような痛みは引いたが、もはやこの瞳が物を映すことはないだろう。
手を離した〈紅桜〉は、鞘に収まったのだろう。
左手の中には、確かに熱く力の源を感じる。
魄皇鬼は滅んだのだろうか。
兄様。
あの時刀に添えられた手は……。
思考のまとまらない頭には、疑問ばかりが増えていく。
そして鬼の戯言と捨てていいのか。
魄皇鬼の残した言葉。
〈紅桜〉。お前はなぜ人に宿る。
終わった。
最後まで、兄様に助けられた。
あの様子では、兄様も生きてはいないだろう。
止めどなく溢れる涙が視界を塞ぐ。
ふと、〈紅桜〉が私の手を引いた気がした。
涙で歪む視界に、白い闇が躍り出る!
「はっ」
身をひねる私の左眼に、魄皇鬼の首が牙を剥く。
「あぐぅっ!」
瞳を襲う、灼けるような痛みに視界が揺らいだ。
まだ動くのか?
駆け降りてくる首は禍々しく殺気を放つ。
視界が霞む。
構える〈紅桜〉に、何かが手を添えた気がした。
行け!
「忌まわし鬼よ。去れ!」
刀にある限りの霊力を乗せ、迫り来る魄皇鬼の首を一刀の元に斬り伏せる。
霞む視界に、紅い五芒星が確かに写って見えた。
今度こそ、魄皇鬼の首がチリとなり風に消えて逝く。
『紅、桜……』
魄皇鬼の声が夜の闇に消えた。
東の空に輝く太陽が、一日の始まりを告げる。
鮮やかな朱色の柱が立つ境内で、座り込んだまま夜が明けてしまった。
左眼の灼けるような痛みは引いたが、もはやこの瞳が物を映すことはないだろう。
手を離した〈紅桜〉は、鞘に収まったのだろう。
左手の中には、確かに熱く力の源を感じる。
魄皇鬼は滅んだのだろうか。
兄様。
あの時刀に添えられた手は……。
思考のまとまらない頭には、疑問ばかりが増えていく。
そして鬼の戯言と捨てていいのか。
魄皇鬼の残した言葉。
〈紅桜〉。お前はなぜ人に宿る。
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