71 / 96
第2部
ギルバートの悔恨 3
しおりを挟む
「ギル、姉さんとの婚約を解消してもらえるよう、カドガン伯爵に取り計らってくれないか」
深刻そうな顔でセシルから切り出されたのは、その日最後の講義を終えた夕刻。
客として招き滞在している、オルグレン=アボット家出自の講師が退室するのを見計らって、セシルは切り出した。
「なぜ。君が私を気に入らないことは知っているが」
「そういうことじゃない」
セシルの目が逸らされる。
「ギルは姉さんを持て余しているだろう?」
「確かに私は、君ほど機転は利かないし、最高の紳士とは言えまい。だが、婚約者たるレティに、誠実であろうと常に留意している。レティが居心地あるよう、心を砕いていくつもりだ」
セシルは苛立ったように髪をかき上げた。
赤みがかった金の髪が、ぱらぱらと額に落ちていく。
「ギルが姉さんに誠実なのは知ってるよ」
「ならば、私の領地経営への先見の有無が不安か? それは今後、君に不安を抱かせぬよう、一層努力しよう。私自身、さほど無能であるとは思わないが、セシルの目から見て、不満が残るのは理解できる。君は優秀だからな」
セシルが凡庸を装っていることなど、父も私も把握している。
セシルの才は、とても隠し通せるものではない。
だがそうして偽ることが、セシルなりの処世術なのかと、黙認してきた。カドガン伯爵邸に滞在する彼の。
父も私も、セシルがどれほど優秀であろうと、それを疎むつもりはない。歓迎することはあれども。
だが、セシルが私達親子を信頼できるかは別の話だ。
信頼しろ、心を開けと強要できるものではない。
「そんなことは言ってない。ギルはいい領主になるさ」
セシルはますます苛立ちを深めたようで、低く呻いた。
「では、援助か? 家督を継いだ後もアスコット子爵へ、これまでより悪い待遇をするつもりもない。援助は惜しまないし、親交も深めていきたい」
家族になりたいと思っていた。
「レティは大事な人だ。そしてセシル、君も。オルグレン=アスコット家、アスコット子爵領の民も」
婚約者のレティはもちろん、セシル、それからオルグレン=アスコット家の面々と。子爵領の民と。
あの温かな家族団欒の中へ、迎え入れてもらえないかと。
「どうか婚約を解消する前に、セシルの抱く懸念について教えてくれないか」
焦りから、重ねる言葉に熱が入り、口が早くなる。
「努めて改善すると誓う」
「ギルに問題なんてないよ」
「では、なぜ」
セシルはグッと唇を引き結ぶと、それから、はぁっと溜息を漏らした。
疲れたように、胡乱な目を寄越される。
「逆に聞きたいよ。ギルはなぜ、姉さんとの婚約にこだわるんだ? 愛してもいない相手だろう。生まれる前から決められていただけの」
セシルの銀色の瞳は、ギラギラと獲物を狙い定めたように、鋭く光っていた。
「婚約解消は、ギルにとっても歓迎なんじゃないのか? ギルは自由になれるんだ。これからいくらだって、ギルの望む相手を選べる」
「私の望む相手は、レティだ」
「は?」
それまでセシルが私に示した苛立ちや怒り、嫌悪など、子供の戯れであったかのように。
目の前のセシルには、純粋な憎悪そのものがあった。
「なにを……なにを言っているんだ?」
戸惑った。私にはわからなかった。
なぜこれほどセシルが、憤怒に顔を歪めているのか。
私はレティを大事に想っている。
それがセシルに伝わっていなかったということだろうか?
「私の言動が、君やレティに不安を与えていたのだろうか。すまない。私はレティを――」
「うるさい! 愛してなんかいないだろ!」
華奢に見えるが、セシルはか弱くはない。
そしてまた、剛力でない分、効率的な力の使い方、攻撃をよく知っている。
胸ぐらを掴まれた、と思ったときには、壁に吹き飛ばされていた。
「いい加減なことを言うな!」
「いい加減ではない」
背中から腰にかけて、強かに打ったが、窓枠に手をかけて立ち上がる。
ここで引いては、セシルの理解を得られない。
「私はレティを愛している」
セシルも。オルグレン=アスコット家の面々も。子爵領の民も。
愛している。
家族になりたいと。
口腔内が切れたようで、鉄に似た味が広がる。
口の端に浮かんだ血を手の甲で拭った。
「……おまえのことは。好きじゃなかった。だけど、憎んではいなかった」
セシルは荒い息を吐き出しながら、声を絞り出した。かすれがちで苦しそうな声だった。
「たった今、おまえは世界で何より憎い存在になった。我が家を見捨てた、オルグレン当主より、一族の誰より」
そこまで言うと、セシルは目を瞑った。
「おまえが憎いよ、ギル」
そして微笑んだ。神秘的な、妖精のような微笑みだった。
ゾッとするような美しさだった。
◇
それからセシルは単独、私とレティとの婚約の解消を父に願い出たらしい。
アスコット子爵への援助も取り止めてよいと。また、これまでの恩については、少しずつではあるが、返済していくと。
セシルがアスコット子爵領へ帰省した日。
私は父の書斎へ呼ばれた。
「おまえはどうしたい」
「私は、婚約を継続させたいです」
「スカーレット嬢と、いずれ婚姻すると?」
「はい」
執務机の向こう、父は険しい表情で私に問い質す。
「おまえがスカーレット嬢との婚約を解消したとしても、アスコット子爵への援助は続けるつもりだ。それでもか?」
「はい。レティとセシルと、オルグレン=アスコット家は、私にとって大事な人達です。家族になりたいのです」
父は壁にかけられた、家族の肖像画を見た。
絵が傷まぬよう、日のあたらない場所にかけられている絵画。暗い色調で重々しい印象。
重厚で威厳を感じさせると、あちこちで持て囃された、流行の様式。
「そうか……」
それから父は、私を見た。
「そうか」
額に手を当て、父は疲れたように頷いた。
「ならば――」
私とレティとの婚約は、継続した。
私はレティを愛していた。
そしてセシルを。オルグレン=アスコット家の面々を。子爵領の民を。
愛していた。家族になりたかった。
深刻そうな顔でセシルから切り出されたのは、その日最後の講義を終えた夕刻。
客として招き滞在している、オルグレン=アボット家出自の講師が退室するのを見計らって、セシルは切り出した。
「なぜ。君が私を気に入らないことは知っているが」
「そういうことじゃない」
セシルの目が逸らされる。
「ギルは姉さんを持て余しているだろう?」
「確かに私は、君ほど機転は利かないし、最高の紳士とは言えまい。だが、婚約者たるレティに、誠実であろうと常に留意している。レティが居心地あるよう、心を砕いていくつもりだ」
セシルは苛立ったように髪をかき上げた。
赤みがかった金の髪が、ぱらぱらと額に落ちていく。
「ギルが姉さんに誠実なのは知ってるよ」
「ならば、私の領地経営への先見の有無が不安か? それは今後、君に不安を抱かせぬよう、一層努力しよう。私自身、さほど無能であるとは思わないが、セシルの目から見て、不満が残るのは理解できる。君は優秀だからな」
セシルが凡庸を装っていることなど、父も私も把握している。
セシルの才は、とても隠し通せるものではない。
だがそうして偽ることが、セシルなりの処世術なのかと、黙認してきた。カドガン伯爵邸に滞在する彼の。
父も私も、セシルがどれほど優秀であろうと、それを疎むつもりはない。歓迎することはあれども。
だが、セシルが私達親子を信頼できるかは別の話だ。
信頼しろ、心を開けと強要できるものではない。
「そんなことは言ってない。ギルはいい領主になるさ」
セシルはますます苛立ちを深めたようで、低く呻いた。
「では、援助か? 家督を継いだ後もアスコット子爵へ、これまでより悪い待遇をするつもりもない。援助は惜しまないし、親交も深めていきたい」
家族になりたいと思っていた。
「レティは大事な人だ。そしてセシル、君も。オルグレン=アスコット家、アスコット子爵領の民も」
婚約者のレティはもちろん、セシル、それからオルグレン=アスコット家の面々と。子爵領の民と。
あの温かな家族団欒の中へ、迎え入れてもらえないかと。
「どうか婚約を解消する前に、セシルの抱く懸念について教えてくれないか」
焦りから、重ねる言葉に熱が入り、口が早くなる。
「努めて改善すると誓う」
「ギルに問題なんてないよ」
「では、なぜ」
セシルはグッと唇を引き結ぶと、それから、はぁっと溜息を漏らした。
疲れたように、胡乱な目を寄越される。
「逆に聞きたいよ。ギルはなぜ、姉さんとの婚約にこだわるんだ? 愛してもいない相手だろう。生まれる前から決められていただけの」
セシルの銀色の瞳は、ギラギラと獲物を狙い定めたように、鋭く光っていた。
「婚約解消は、ギルにとっても歓迎なんじゃないのか? ギルは自由になれるんだ。これからいくらだって、ギルの望む相手を選べる」
「私の望む相手は、レティだ」
「は?」
それまでセシルが私に示した苛立ちや怒り、嫌悪など、子供の戯れであったかのように。
目の前のセシルには、純粋な憎悪そのものがあった。
「なにを……なにを言っているんだ?」
戸惑った。私にはわからなかった。
なぜこれほどセシルが、憤怒に顔を歪めているのか。
私はレティを大事に想っている。
それがセシルに伝わっていなかったということだろうか?
「私の言動が、君やレティに不安を与えていたのだろうか。すまない。私はレティを――」
「うるさい! 愛してなんかいないだろ!」
華奢に見えるが、セシルはか弱くはない。
そしてまた、剛力でない分、効率的な力の使い方、攻撃をよく知っている。
胸ぐらを掴まれた、と思ったときには、壁に吹き飛ばされていた。
「いい加減なことを言うな!」
「いい加減ではない」
背中から腰にかけて、強かに打ったが、窓枠に手をかけて立ち上がる。
ここで引いては、セシルの理解を得られない。
「私はレティを愛している」
セシルも。オルグレン=アスコット家の面々も。子爵領の民も。
愛している。
家族になりたいと。
口腔内が切れたようで、鉄に似た味が広がる。
口の端に浮かんだ血を手の甲で拭った。
「……おまえのことは。好きじゃなかった。だけど、憎んではいなかった」
セシルは荒い息を吐き出しながら、声を絞り出した。かすれがちで苦しそうな声だった。
「たった今、おまえは世界で何より憎い存在になった。我が家を見捨てた、オルグレン当主より、一族の誰より」
そこまで言うと、セシルは目を瞑った。
「おまえが憎いよ、ギル」
そして微笑んだ。神秘的な、妖精のような微笑みだった。
ゾッとするような美しさだった。
◇
それからセシルは単独、私とレティとの婚約の解消を父に願い出たらしい。
アスコット子爵への援助も取り止めてよいと。また、これまでの恩については、少しずつではあるが、返済していくと。
セシルがアスコット子爵領へ帰省した日。
私は父の書斎へ呼ばれた。
「おまえはどうしたい」
「私は、婚約を継続させたいです」
「スカーレット嬢と、いずれ婚姻すると?」
「はい」
執務机の向こう、父は険しい表情で私に問い質す。
「おまえがスカーレット嬢との婚約を解消したとしても、アスコット子爵への援助は続けるつもりだ。それでもか?」
「はい。レティとセシルと、オルグレン=アスコット家は、私にとって大事な人達です。家族になりたいのです」
父は壁にかけられた、家族の肖像画を見た。
絵が傷まぬよう、日のあたらない場所にかけられている絵画。暗い色調で重々しい印象。
重厚で威厳を感じさせると、あちこちで持て囃された、流行の様式。
「そうか……」
それから父は、私を見た。
「そうか」
額に手を当て、父は疲れたように頷いた。
「ならば――」
私とレティとの婚約は、継続した。
私はレティを愛していた。
そしてセシルを。オルグレン=アスコット家の面々を。子爵領の民を。
愛していた。家族になりたかった。
2
お気に入りに追加
1,073
あなたにおすすめの小説
【完結】私の婚約者は、いつも誰かの想い人
キムラましゅろう
恋愛
私の婚約者はとても素敵な人。
だから彼に想いを寄せる女性は沢山いるけど、私はべつに気にしない。
だって婚約者は私なのだから。
いつも通りのご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不知の誤字脱字病に罹患しております。ごめんあそばせ。(泣)
小説家になろうさんにも時差投稿します。

【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
古代魔法を専門とする魔法研究者のアンヌッカは、家族と研究所を守るために軍人のライオネルと結婚をする。
ライオネルもまた昇進のために結婚をしなければならず、国王からの命令ということもあり結婚を渋々と引き受ける。
しかし、愛のない結婚をした二人は結婚式当日すら顔を合わせることなく、そのまま離れて暮らすこととなった。
ある日、アンヌッカの父が所長を務める魔法研究所に軍から古代文字で書かれた魔導書の解読依頼が届く。
それは禁帯本で持ち出し不可のため、軍施設に研究者を派遣してほしいという依頼だ。
この依頼に対応できるのは研究所のなかでもアンヌッカしかいない。
しかし軍人の妻が軍に派遣されて働くというのは体裁が悪いし何よりも会ったことのない夫が反対するかもしれない。
そう思ったアンヌッカたちは、アンヌッカを親戚の娘のカタリーナとして軍に送り込んだ――。
素性を隠したまま働く妻に、知らぬ間に惹かれていく(恋愛にはぽんこつ)夫とのラブコメディ。

真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる