最強聖剣使いが魔王と手を組むのはダメですか?〜俺は魔王と手を組んで、お前らがしたことを後悔させてやるからな〜

東雲ハヤブサ

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14話 襲われた少女の怒り

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 馬鹿!
 せっかくうまくこの場を収めたのに、あいつ全てぶち壊す気か!?

 少女もミラノに気付いたらしく、驚きながらも手を上にあげた。

 「闇を力を貸してください。闇の人形ファレスギア」

 少女の声と共に、今度は翼の生えた騎士が落ちてくるミラノに剣を構える。
 しかし、そんな騎士を見ながらもミラノは笑顔を消さない。
 この状況を楽しんでいるのだろうか。

 「こんな雑魚! 一撃だぁ!」

 翼の生える騎士が構える剣を掴むと、そのまま空中で一回転して地面に騎士ごと叩きつけた。
 その威力に耐え切れず、地面はレンガが浮かび上がり大きく穴を開けた。

 やり過ぎだろ……。

 叩きつけられた騎士は当然耐えれる訳もなく、崩れるように消滅していった。

 「氷よ力を――」
 「させるかぁ!」 

 ミラノは、自分に向かられた手を一瞬で接近して掴むと、足を引っ掛けバランスを崩して少女を上に座った。

 「いやぁ。無事助けられてよかった――」
 「助けるも何も、たった今場を丸く収めたところだったんだけど!」
 
 俺は急いでミラノを少女から降ろさせて、大人しくしているように指示した。

 「大丈夫か?」
 
 俺は倒れ込む少女に手を出して立ち上がらせた。
 どうやら少し怒っているようで、大人しく立っているミラノを睨みつけている。

 「もしかしてあの方、あなたの仲間ですか?」
 「仲間……かなぁ……」

 今の俺とミラノの関係を、仲間と呼べるかと言ったらわからない。
 もしかしたら、今後敵になる可能性だって否定はできない。
 
 俺はミラノを見ると、全く反省した様子もなくロロイヤを美味しそうに食べている。

 「一体どういう考えがあったら、上から人に飛び付こうと思うのか……」
 「ま、まぁ、多分こいつも悪気があった訳じゃないだろうし……多分勘違いしたんだと思う」
 「勘違い?」
 「そう、勘違い。おいミラノ。この子に謝って」
 「えー、やだ」
 
 頼むから火に油を注ぐようなことはしないでくれよ……。
 とにかく、ミラノが謝ってこの少女の怒りを抑えてくれれば――

 「だって人間は敵でしょ?」
 「人間は敵? まるであなたは人間ではないような言い方をしますね」
 「だって魔族だもん」

 ミラノがそう言葉を放った瞬間、遠い人の話し声が聞こえるほどの沈黙が訪れた。
 
 あぁ……終わった。
 どうしてこうも早くバレてしまうものか。
 俺が仮面を付けている意味がなくなってしまう。

 多分、これから仲間を呼ばれて俺たちを――
 
 「そうなんですか。貴方は魔族なんですね。なら――」

 俺は色々最悪なことを考えたが、帰ってきた返答は全く意外なものだった。

 「お二人とも、私の家にいらっしゃってください」

 どうやら少女のその返答には、ミラノも驚いたようだ。
 

 
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