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60話 手遅れ
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兵士は、今自分が人質に取っているのが魔王だと知らないまま、強気な姿勢で喚き散らかしていた。
「おい! さっさと俺の指示通りに動け! じゃないとこの女を殺すぞ!」
「殺すって……」
「なんだ? 殺すのはあんまりだって言うのか? そんなこと知ったこっちゃねぇ! 俺はな、敵の命なんかどうでもいいんだよ!」
怒声を上げながら、さらにグーレに近づくと、片腕をグーレの首にまきながら顔を真横まで近づけた。
「さあ、お前の命なんかこの剣で一瞬で消せるんだぞ? お? 怖くなってきたか? そうでないと俺がつまらないか――」
「……せ」
「あぁ?」
グーレが何かを呟き、それを聞き取れなかった兵士は耳を口に近づけた直後、グーレの首に絡みついていた腕は、血を噴き出しながら地面に落下した。
「ギギャァァァァァァァァァァァ!!!」
まあ……当然こうなるよな。
一撃で殺されなかったのは不運だったな。
「離せと言っている」
敵兵士だけでなく、さっきまで一緒に行動していた俺たちでさえも、体中が凍りつくような瞳で悶え苦しむ兵士を見下ろすと、苦しみの涙をこぼす顔を、容赦なく蹴り飛ばした。
当然、その蹴りの勢いに体がついていくことはなく、頭を失った体はもうピクリとも動くことはなく倒れ込んでしまった。
「私をここまでイラつかせるとは……お前たち才能があるな……。そうだな。褒美として、魔王である私が殺してやろう。ククク……」
魔王、たったそれだけの言葉で、人質を取ったくせに逆に呆気なく殺され、そんな兵士に言葉も出ない程の驚き抱いた兵士達は、一気に絶望の顔色へと変わった。
「魔王……だと……」
「そんな……あり得ないだろ……!」
「そうだ! 魔王なんてあり得ない! ここはどの魔王にも支配されていない地域だか――」
「つまりお前は、私が嘘をついていると言いたいんだな?」
腕を腰の後ろで組みながら、グーレは1人の兵士に接近すると、軽く腹に蹴りを入れた。
だが、グーレにとっての軽い蹴りは、鎧に身を包む兵士の腹を抉り、一瞬で死に至らしめた。
「こ、この化け物がぁぁぁぁ!!!」
「私は化け物ではなく、魔王だ。死んでも覚えておけ」
そして細い指先から糸が出て来ると、それは脳を貫いてもう二度と覚めぬ夢へと送り込んだ。
「私たちが来る必要ありましたの?」
「答えはただ一つだ。無い」
まあ、確かにそう思ってしまうのも無理はない。
というか、そう思うことが普通だろう。
だが、これで戦いが終わるわけでは無い。
ファイアーウルフ達を救出してからが本番だ。
そのあとは、魔王と知ったことで発狂を始める者や、命乞いをする者が現れたが、グーレはそんなことは一切構わずに命を奪っていった。
「魔王だからなんだ! 俺はひるまな――」
「魔王を前にしてその強気な態度を褒めてやる。だが、お前は弱すぎる」
と、稀にこう抗おうとする者もいるが、結局何の意味もない。
どうせ、グーレは殺し甲斐のあるやつが出てきたとしか思っていないだろう。
そして時間がほんの数分だけ流れたことには、洞窟内にいた敵の命は全て消え去った。
「おい! さっさと俺の指示通りに動け! じゃないとこの女を殺すぞ!」
「殺すって……」
「なんだ? 殺すのはあんまりだって言うのか? そんなこと知ったこっちゃねぇ! 俺はな、敵の命なんかどうでもいいんだよ!」
怒声を上げながら、さらにグーレに近づくと、片腕をグーレの首にまきながら顔を真横まで近づけた。
「さあ、お前の命なんかこの剣で一瞬で消せるんだぞ? お? 怖くなってきたか? そうでないと俺がつまらないか――」
「……せ」
「あぁ?」
グーレが何かを呟き、それを聞き取れなかった兵士は耳を口に近づけた直後、グーレの首に絡みついていた腕は、血を噴き出しながら地面に落下した。
「ギギャァァァァァァァァァァァ!!!」
まあ……当然こうなるよな。
一撃で殺されなかったのは不運だったな。
「離せと言っている」
敵兵士だけでなく、さっきまで一緒に行動していた俺たちでさえも、体中が凍りつくような瞳で悶え苦しむ兵士を見下ろすと、苦しみの涙をこぼす顔を、容赦なく蹴り飛ばした。
当然、その蹴りの勢いに体がついていくことはなく、頭を失った体はもうピクリとも動くことはなく倒れ込んでしまった。
「私をここまでイラつかせるとは……お前たち才能があるな……。そうだな。褒美として、魔王である私が殺してやろう。ククク……」
魔王、たったそれだけの言葉で、人質を取ったくせに逆に呆気なく殺され、そんな兵士に言葉も出ない程の驚き抱いた兵士達は、一気に絶望の顔色へと変わった。
「魔王……だと……」
「そんな……あり得ないだろ……!」
「そうだ! 魔王なんてあり得ない! ここはどの魔王にも支配されていない地域だか――」
「つまりお前は、私が嘘をついていると言いたいんだな?」
腕を腰の後ろで組みながら、グーレは1人の兵士に接近すると、軽く腹に蹴りを入れた。
だが、グーレにとっての軽い蹴りは、鎧に身を包む兵士の腹を抉り、一瞬で死に至らしめた。
「こ、この化け物がぁぁぁぁ!!!」
「私は化け物ではなく、魔王だ。死んでも覚えておけ」
そして細い指先から糸が出て来ると、それは脳を貫いてもう二度と覚めぬ夢へと送り込んだ。
「私たちが来る必要ありましたの?」
「答えはただ一つだ。無い」
まあ、確かにそう思ってしまうのも無理はない。
というか、そう思うことが普通だろう。
だが、これで戦いが終わるわけでは無い。
ファイアーウルフ達を救出してからが本番だ。
そのあとは、魔王と知ったことで発狂を始める者や、命乞いをする者が現れたが、グーレはそんなことは一切構わずに命を奪っていった。
「魔王だからなんだ! 俺はひるまな――」
「魔王を前にしてその強気な態度を褒めてやる。だが、お前は弱すぎる」
と、稀にこう抗おうとする者もいるが、結局何の意味もない。
どうせ、グーレは殺し甲斐のあるやつが出てきたとしか思っていないだろう。
そして時間がほんの数分だけ流れたことには、洞窟内にいた敵の命は全て消え去った。
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