最強魔獣使いとなった俺、全ての魔獣の能力を使えるようになる〜最強魔獣使いになったんで元ギルドを潰してやろうと思います〜

東雲ハヤブサ

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54話 覇獣士

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 場所は会議室に戻り、ファイアーウルフ達の救出、そしてマラオス王国軍に対抗するための作戦会議が始められた。
 人数は先程と比べてかなり増えて、俺を含めて最初の四人以外に、エンファ、アマウス、ミルマ、それに新たな獣人が5人増えていた。

 「リウス様、そちらの方は?」
 
 ミルマは、俺の隣に見慣れない顔を不思議そうに見ながら質問してきた。

 「その方、悪魔……ですよね?」
 「ああ、こいつは悪魔だ」
 「初めまして。私はゼーラと申します。リウス様の圧倒的なる強さに魅了されて心が全て持っていかれました。それで魔界に戻るよりも――」
 「つまり、こいつは俺の配下になったってわけだ」

 ゼーラの話は長すぎるんだよな。
 もうちょっと簡潔に話せないのか。

 ゼーラの長い説明に完全に置いていかれていたミルマ達は、俺の説明によってすぐに納得したように頷いた。

 若干ゼーラは、不満そうな顔をしているが仕方がない。

 「ほぉ~、君は悪魔なのかぁ。じゃあ君、今からちょっと戦おうよ!」
 
 新しく会議に加わった5人の獣人の内の1人が、ゼーラを闘志で燃やす目で見つめていた。

 「やめなさい!ミミィ様をお救いになられたお方の前で!」
 「えぇ~、いいじゃん。用があるのは隣の悪魔になんだし」
 「だから――」
 「お前達はいつになったら静かになるんだ?」
 
 言い合い始めた2人をムラルドルは鋭い眼光で睨むと、すぐさま声を発するのをやめて謝罪をした。
 
 「申し訳ございません……」
 「ごめんなさい……」
 「全く……」

 疲れたような表情をして、ムラルドルは額に手を当てた。
 
 この反応を見るに、どうやらこの2人の喧嘩は日常茶飯事らしいな。
 なんだか、カロスとフェイを見ている感じだな……。
 
 「フェイ……」
 「すまない。もしかして気分を悪くさせてしまったか?」
 「ん?あ、いや、そんなことはないよ。ただ少し……思い出してしまっただけだ」
 
 急に、表情を暗くしてしまったせいで勘違いをさせてしまったのだろう。
 今は大切な作戦会議中だ。
 気を引き締めないと。

 「ずっと気になっていたけど、さっきはいなかったがこの人達は誰なんだ?」

 俺の視線の先が新しく加わった獣人達だと気づいたのか、ムラルドルはさっき注意をしていた獣人に小声で何かを言った。

 「申し遅れました。私は覇獣士の1人、ロスカと申します」
 「やっぱりロスカは硬いなぁ~。これから一緒に戦っていく人達だよ?ならもっと気楽にいかないと。ていうことで、私の名前はシェビーだよ!」

 このシェビーというやつは、どうやら怒られたことを気にしていないらしい。
 
 「あ、じゃあ次は俺か。俺の名前はカイザだ。何かあったらいつでも頼ってくれ」

 おお、こいつは頼もしい味方になりそうだな。
 
 「あ、あの、私は、うぅぅ……」
 「こいつはクロランといいます。それで僕はクッカと申します。これからよろしくお願いします」
 「こちらこそよろしくな」

 ちょっと不安なところもあるけど、この国の王であるムラルドルが連れて来たということは、実力は相当な物なんだろうな。
 だからといって不安が消えることもないけど……。

 「おい、クロラン。こういう時は自分で挨拶しないといけないだろ?」
 「うぅ……、だって知らない人と喋るの苦手なんだもん……」
 「だからっていつまでもそういうわけにはいかないだろ」
 「うるさいなぁ……。クッカだって覇獣士以外の女の人と喋ると私みたいになるでしょ……」
 「そ、それとこれは別だ」
 「別じゃない……」

 あぁ、また喧嘩が始まってしまった。
 それにさっきとは別のやつら……。
 さらにこの先が不安になってくる……。

 喧嘩が収まるまで待ちたいが、残念ながら一向に落ち着きそうにもないため、ムラルドルに気になっていたことを質問することにした。

 「なあ、こいつらがさっきから言ってる覇獣士ってなんだ?」
 「覇獣士ってのはこいつらのことだよ。こんな風に喧嘩ばかりしているが、これでもこの国では1番の戦力だ」
 「1番の戦力か……」
 「当然こいつを抜いてだがな」
 
 ムラルドルは、俺に向かってボソッと呟くと隣に座る人々から恐れられる魔王、グーレの方を見た。

 「そういえばなんで魔王がこんなところにいるんだよ」
 「おい、全部聞こえてるぞ」

 なんだよ。話はしっかり聞いていやがるのか。

 「私はただ面倒くさくなったからここに来たのだ。支配地やら戦争やら、そんなことは全部配下に任せてここにこっそり逃げてきた」
 「そういうことだ」

 魔王にも苦労というものがあるんだな。
 今は、全部苦労が配下に回っていってしまってるけど。
 
 ていうかこんなこと話してる場合じゃないんだよな。

 「もうそろそろ作戦会議を始めないか?」
 「そうだな。いつまでもこんなことしている場合ではないからな」

 俺の意見にムラルドルが同意したことで、全員の気持ちが入れ替わった。
 そして、空間の雰囲気が一気に変わり静まり返ったところで、ムラルドルの重圧感のある声が響き渡った。

 「それでは今からファイアウルフ救出作戦及び、マラオス王国軍討伐作戦会議を開始する」

 
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