最強魔獣使いとなった俺、全ての魔獣の能力を使えるようになる〜最強魔獣使いになったんで元ギルドを潰してやろうと思います〜

東雲ハヤブサ

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35話 悪魔

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 俺は目を擦って涙を拭った。

 まだ全ての戦いが終わったわけじゃない。早くミミィ達のところに行かないといけないな。

 どうにかしてフェイも連れて行き……。

 「クハハハ……ハハハハハッ!!!」

 ここからすぐに移動しようと思った直後、すぐ後ろで不気味な笑い声が発せられた。

 「お前……!まだ生きて……」

 「ハハハ、なに?余を殺したつもりでいたの?残念!余は死んでないでーす!まあ……余では君に敵わないらしいけどね」

 ナーシャは傷だらけの体を起こし、よろけながらもなんとか立ち上がった。

 「そうか。なら大人しくしていてくれると助かるんだけどな」

 「そうだね。余は君に敵わなさそうだから大人しくしているよ。余はね……」

 するとナーシャは、血に濡れる顔で笑顔になると、手を手を目の前にかざして何かをしだした。

 「お前なにを……!」

 俺は危険を察知してすぐに後ろに下がった。

 直後、俺のいた場所も含めて辺り一体が文字と線が書き出されていった。

 もしかして魔法陣か?

 「余では君に敵わないことがわかった!だからこの余の命を使って君を殺す!」
 
 魔法陣を中心に強風が吹き荒れだし、俺はすぐ近くの岩にしがみついた。

 「さあ出てこい悪魔!余の命と引き換えにリウスを殺せ!悪魔召喚!!!」

 悪魔だと!?頼むから勘弁してくれよ!

 ナーシャが大声で言葉を放った瞬間に魔法陣から頭から角をはやし、黒い服を纏う5体の悪魔が出現した。

 「契約は完了だ。お前の願い、叶えてやろう」

 「よろ……しく……」

 ナーシャは命を吸い取られたのか、体の力の全て失ったようにその場に倒れ込んだ。

 「あなたがリウスですか?」

 ボス的立ち位置のような悪魔は、倒れ込んだナーシャを少しだけ見た後、後ろを振り返り岩にしがみつく俺に声をかけた。

 「そうだけど何か?」

 風も収まり、岩から手を離した俺はシワがよった服を整えて立ち上がった。

 「そうですか、なら死んでもらいましょう」

 「誰が死ぬか……」

 俺が全て言い終わる前に、背中に強烈な寒気を感じた。

 「死ね」

 速い……!

 俺は間一髪のところで、太い尻尾を使って攻撃を防いだ。

 「ほう……。今の私の攻撃を防ぐとは。大変面白いですねぇ」

 なにも面白くねぇよ!

 俺は素早く足に砲炎龍ほうえんりゅうの炎を足に纏わせ、悪魔の横腹に蹴りを入れた。

 「ぐっ……!」

 悪魔は苦しそうに顔を顰めて俺から距離をとった。

 「まさか私が攻撃を入れられるとは……それにあなた、何故人間なのに部分的に魔獣の体になっているのか気になりますね」

 「そんなの教えるわけないだろ」

 「勿論。それは承知の上です」

 俺と悪魔は同時に踏み込んで一気に距離をつめた。

 俺は電気を帯びる右腕を振りかぶり悪魔に打ち込んだ。だが……、

 「そのような威力では私にダメージは与えられませんよ」

 嘘だろ……

 悪魔は俺の攻撃を片手で受け止めていた。

 「なんでこの攻撃は受け止めれて、さっきの蹴りは受け止めれないんだよ」

 「さあ、生きている者には誰だってミスはあるものです」

 そして悪魔は、俺の目の前で口角を少しだけ上げたのだった。

 
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