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21話 豪炎
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カロスは飛んでくる炎の槍を、氷の槍で迎え撃ち消滅させた。
ふむ、我の氷の槍と炎の槍が相打ちになるとはな。我が本気で作っていないにしろすごい力だ。
もしかしたらコイツがそうなのかもしれない……。
「では勝手にだが確かめさせてもらう!」
カロスはミルマの周りを目視できるギリギリの速さで走ると何か空中にをばら撒き始めた。
「これは一体……!」
ミルマは空中に漂うものに警戒をすると、素早く防御体制になった。
「火怒羅・守」
すると、ミルマの背中から赤くどろっとした何本もの触手が出現し、ミルマを包み込んだ。
「炎を放出せず体内で圧縮し、物体を生成し防御に徹するということか?だがそれでは我の攻撃を防ぐことはできないぞ」
カロスの攻撃の影響によりあたりの気温か一気に下がり、息を吸えば肺が凍るほどの寒さになった。
「氷桜」
直後、空中に漂っていたものが、急速に回転を始めた。
「それは我がばら撒いた細かい氷だ。それを回転させることにより触れただけでその部分を切り落とすほどの威力になる。小僧、氷だからといって甘く見るなよ」
空中で高速に回転し、刃のように変化していった氷はミルマを覆う火怒羅を襲っていった。
「ちょ!?これ死んじゃうって!!!」
赤い触手が次々と切断されていき、中にいたミルマが見えるほどになった。
「火怒羅・攻!」
ミルマがそう叫ぶと、刻まれていった触手が一つの塊になっていき、赤い体を持つ巨大な大蛇に変化した。
「そうか、さらに形を変えるか」
大蛇に変化した触手は細かい氷の刃を喰らっていき、空中から次々と消し去っていった。
「ほう、まさか我の氷桜を喰らってもなにも影響がないとは。だがな……」
大蛇は刃を喰らって空中を這っていき、首が切断された。
「な……!?」
ミルマから出現した触手は、首を切られたことのより崩壊していき、姿を消した。
「なんで急に首が……」
なにが起こったのか理解ができず、ミルマは呆然と立ち尽くした。
「お前は勘違いをしていたようだ」
「勘違い?」
カロスはミルマの側まで近づくと、今なにが起こったのか説明を始めた。
「そうだ。我が使った【夜桜】という技はただ高速に回転し、刃のようになるわけではない」
「……?」
「氷はどんなものにでも形を変えることができる。だから目視できないほどの大きさにし、それを連結させる」
カロスの説明を聞くなり、段々とミルマ表情を変えていった。
「そしてそれを細かく振動させ……」
「それで火怒羅の首を切断した……ということですか……?」
それを聞くなりミルマは下を向き、暗い声で話し始めた。
「俺には妹がいるんです。いや……いたんです。俺なんかよりも圧倒的に強くて、火怒羅をうまく使いこなせていました。妹だったらもしかしたらカロス様ともっといい勝負が出来ていたかもしれません……。妹は強かったこともあり、この村の付近に人間が近づくたびに、この村を守るものとして戦いに行っていました。でも……」
少し離れた場所で戦いを見ていたフェイは、静かにミルマの隣に歩みを寄った。
「でも、ある日……妹は……冒険者に殺されました……。でも俺が実際に見たわけではありません。他にその場にいた仲間からの報告で知りました。ファイアーウルフはあまり個々が強いわけではないので陣形を組んで戦います。ですが妹は何故か強かったので他の仲間が隣で陣形を組んで戦うなかで、単独で戦っていました。でもそれが原因で上位の冒険者と遭遇してしまった時に対処することができず……そいつに妹は殺されました……」
ミルマの目から涙が滲み出て、頬を伝って地面に落ちた。
「なぜなのでしょうか……。なぜ……妹は殺されなければならなかったのでしょうか……。なぜ誰も妹を助けてはくれなかったのでしょうか……。なぜ俺は……俺は弱いのでしょうか!!!」
ミルマは濡れた顔を上げ、涙が溜まった目でカロスを見た。
「お前は強い」
「俺は強くなんかないですよ……」
「だがお前は我と戦うことができた。だからお前は強い」
「俺は強くなんかない!!!大切な存在を……家族を……守りたい存在を守ることができない力なんて……なにも強くない!!!」
「ミルマ……」
フェイは瞳に涙を浮かべ、何かを悔やむような顔をして拳を握った。
「なんで……俺は火怒羅が使えてしまうのでしょうか……。もし俺に、この力が使えなかったらこんな思いをしなくてよかったかもしれない。俺は弱いから仕方がなかった、って俺自身に言い聞かせることが出来たかもしれない。でも……俺は妹と同じ力を使うことができた。それなのにも関わらず、俺が弱かったせいで妹と同じ場所に立てずに、守ることができなかった!!!だから俺は……強くなんかありません……」
ミルマはそう言い切ると強く拳を握り、手から血を流した。
「ミルマよ……」
カロスは突然口を開くと、空中に2メートルはある数本の氷柱を出現させた。
「我ともう一戦だ」
ふむ、我の氷の槍と炎の槍が相打ちになるとはな。我が本気で作っていないにしろすごい力だ。
もしかしたらコイツがそうなのかもしれない……。
「では勝手にだが確かめさせてもらう!」
カロスはミルマの周りを目視できるギリギリの速さで走ると何か空中にをばら撒き始めた。
「これは一体……!」
ミルマは空中に漂うものに警戒をすると、素早く防御体制になった。
「火怒羅・守」
すると、ミルマの背中から赤くどろっとした何本もの触手が出現し、ミルマを包み込んだ。
「炎を放出せず体内で圧縮し、物体を生成し防御に徹するということか?だがそれでは我の攻撃を防ぐことはできないぞ」
カロスの攻撃の影響によりあたりの気温か一気に下がり、息を吸えば肺が凍るほどの寒さになった。
「氷桜」
直後、空中に漂っていたものが、急速に回転を始めた。
「それは我がばら撒いた細かい氷だ。それを回転させることにより触れただけでその部分を切り落とすほどの威力になる。小僧、氷だからといって甘く見るなよ」
空中で高速に回転し、刃のように変化していった氷はミルマを覆う火怒羅を襲っていった。
「ちょ!?これ死んじゃうって!!!」
赤い触手が次々と切断されていき、中にいたミルマが見えるほどになった。
「火怒羅・攻!」
ミルマがそう叫ぶと、刻まれていった触手が一つの塊になっていき、赤い体を持つ巨大な大蛇に変化した。
「そうか、さらに形を変えるか」
大蛇に変化した触手は細かい氷の刃を喰らっていき、空中から次々と消し去っていった。
「ほう、まさか我の氷桜を喰らってもなにも影響がないとは。だがな……」
大蛇は刃を喰らって空中を這っていき、首が切断された。
「な……!?」
ミルマから出現した触手は、首を切られたことのより崩壊していき、姿を消した。
「なんで急に首が……」
なにが起こったのか理解ができず、ミルマは呆然と立ち尽くした。
「お前は勘違いをしていたようだ」
「勘違い?」
カロスはミルマの側まで近づくと、今なにが起こったのか説明を始めた。
「そうだ。我が使った【夜桜】という技はただ高速に回転し、刃のようになるわけではない」
「……?」
「氷はどんなものにでも形を変えることができる。だから目視できないほどの大きさにし、それを連結させる」
カロスの説明を聞くなり、段々とミルマ表情を変えていった。
「そしてそれを細かく振動させ……」
「それで火怒羅の首を切断した……ということですか……?」
それを聞くなりミルマは下を向き、暗い声で話し始めた。
「俺には妹がいるんです。いや……いたんです。俺なんかよりも圧倒的に強くて、火怒羅をうまく使いこなせていました。妹だったらもしかしたらカロス様ともっといい勝負が出来ていたかもしれません……。妹は強かったこともあり、この村の付近に人間が近づくたびに、この村を守るものとして戦いに行っていました。でも……」
少し離れた場所で戦いを見ていたフェイは、静かにミルマの隣に歩みを寄った。
「でも、ある日……妹は……冒険者に殺されました……。でも俺が実際に見たわけではありません。他にその場にいた仲間からの報告で知りました。ファイアーウルフはあまり個々が強いわけではないので陣形を組んで戦います。ですが妹は何故か強かったので他の仲間が隣で陣形を組んで戦うなかで、単独で戦っていました。でもそれが原因で上位の冒険者と遭遇してしまった時に対処することができず……そいつに妹は殺されました……」
ミルマの目から涙が滲み出て、頬を伝って地面に落ちた。
「なぜなのでしょうか……。なぜ……妹は殺されなければならなかったのでしょうか……。なぜ誰も妹を助けてはくれなかったのでしょうか……。なぜ俺は……俺は弱いのでしょうか!!!」
ミルマは濡れた顔を上げ、涙が溜まった目でカロスを見た。
「お前は強い」
「俺は強くなんかないですよ……」
「だがお前は我と戦うことができた。だからお前は強い」
「俺は強くなんかない!!!大切な存在を……家族を……守りたい存在を守ることができない力なんて……なにも強くない!!!」
「ミルマ……」
フェイは瞳に涙を浮かべ、何かを悔やむような顔をして拳を握った。
「なんで……俺は火怒羅が使えてしまうのでしょうか……。もし俺に、この力が使えなかったらこんな思いをしなくてよかったかもしれない。俺は弱いから仕方がなかった、って俺自身に言い聞かせることが出来たかもしれない。でも……俺は妹と同じ力を使うことができた。それなのにも関わらず、俺が弱かったせいで妹と同じ場所に立てずに、守ることができなかった!!!だから俺は……強くなんかありません……」
ミルマはそう言い切ると強く拳を握り、手から血を流した。
「ミルマよ……」
カロスは突然口を開くと、空中に2メートルはある数本の氷柱を出現させた。
「我ともう一戦だ」
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