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18話 ギャンブル②
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エンファは、真剣そのものの表情で、トランプを俺の前に裏向きで置いた。
「これは何か意味があるのか?」
「いいから、このトランプの数字と柄を予想してみろ」
俺は目の前に置かれたトランプをじっと見た。
なんだ?この男は一体なにがしたいんだ?もし数字と柄を当てたらミミィを解放してくれるとか……いや、それは流石にないか……。なら一体なにを……
俺の頭の中でさまざまな思考が渦巻き、ただ数字と柄を言うだけなのにそれができない。
「ちなみに、ジョーカーは抜いてあるからな」
トランプの枚数は54枚、そこからジョーカー2枚を抜けば52枚。その52枚の中から何十通りもある数字と柄をぴったり言い当てなければならない。
俺の頭の中でさらに思考が渦巻いていく。
ハートの5か……?いや、クローバーのキングの可能性も……!
「悩んでいるようだな」
エンファは俺の悩む顔を見ながらニヤニヤと笑った。
「ちょっと気が散るから話しかけないでもらいたいんだが」
俺はそのあとしばらく考え、そして覚悟を決めた。
「このトランプの数字と柄は……ハートの10だ」
「それでいいのか?」
「勿論だ」
エンファは俺の前に置かれたトランプに手をかけると、爪をトランプの下に潜らせ、ゆっくりと裏返した。
「おお……!これは……!」
「……ッ!」
「残念。ダイヤの7だ」
エンファは、裏返したトランプを俺の顔の目の前まで持ち上げ、ペラッと机に落とした。
「まあ、そうだろうな」
「悔しがらないのか?」
「こんなもの最初から当てれると思ってねぇよ」
「フッ、そうか」
エンファは俺の反応を見るなり、足をだらっと前に伸ばし、両手を頭の後ろに組んで上を向いた。
「俺は大好物は、ギャンブルなのさ」
「はぁ……?」
「チップをかけ、目の前に並べられたカードをめくる瞬間、ルーレットが周り止まる瞬間、サイコロが振られ投げられた瞬間、この瞬間が俺にとってたまらないのさ。そのカードの種類、ルーレットの場所、サイコロの目、それによって勝敗が決まりチップが移動する。膨大の量の金が動く時はもう最高の瞬間だぜ」
エンファは目をキラキラ輝かせながらギャンブルについて長々と語り出した。
「俺はな、ギャンブルをやって儲けることが目的じゃない。まあ、勝って大量の金が手に入ればいい気分になるさ。だがな、俺はそれ以上にギャンブルに求めているものがある!」
「そ、それは……?」
「勝つか負けるかのあの瞬間だ。あのドキドキだよ!俺はそれを求めている!」
「わかった。お前がギャンブル依存野郎ということはわかった」
「それはギャンブルに限ったことじゃねぇ。実際に行われる戦争、バトル。その勝敗を見届けるのは俺にとって幸せ以外の何者でもない。俺はその幸せを味わいたくて今回の依頼を受けた。だがな……」
瞬間、キラキラ輝いていた目が一瞬で光のない目に変わった。
「これは何か意味があるのか?」
「いいから、このトランプの数字と柄を予想してみろ」
俺は目の前に置かれたトランプをじっと見た。
なんだ?この男は一体なにがしたいんだ?もし数字と柄を当てたらミミィを解放してくれるとか……いや、それは流石にないか……。なら一体なにを……
俺の頭の中でさまざまな思考が渦巻き、ただ数字と柄を言うだけなのにそれができない。
「ちなみに、ジョーカーは抜いてあるからな」
トランプの枚数は54枚、そこからジョーカー2枚を抜けば52枚。その52枚の中から何十通りもある数字と柄をぴったり言い当てなければならない。
俺の頭の中でさらに思考が渦巻いていく。
ハートの5か……?いや、クローバーのキングの可能性も……!
「悩んでいるようだな」
エンファは俺の悩む顔を見ながらニヤニヤと笑った。
「ちょっと気が散るから話しかけないでもらいたいんだが」
俺はそのあとしばらく考え、そして覚悟を決めた。
「このトランプの数字と柄は……ハートの10だ」
「それでいいのか?」
「勿論だ」
エンファは俺の前に置かれたトランプに手をかけると、爪をトランプの下に潜らせ、ゆっくりと裏返した。
「おお……!これは……!」
「……ッ!」
「残念。ダイヤの7だ」
エンファは、裏返したトランプを俺の顔の目の前まで持ち上げ、ペラッと机に落とした。
「まあ、そうだろうな」
「悔しがらないのか?」
「こんなもの最初から当てれると思ってねぇよ」
「フッ、そうか」
エンファは俺の反応を見るなり、足をだらっと前に伸ばし、両手を頭の後ろに組んで上を向いた。
「俺は大好物は、ギャンブルなのさ」
「はぁ……?」
「チップをかけ、目の前に並べられたカードをめくる瞬間、ルーレットが周り止まる瞬間、サイコロが振られ投げられた瞬間、この瞬間が俺にとってたまらないのさ。そのカードの種類、ルーレットの場所、サイコロの目、それによって勝敗が決まりチップが移動する。膨大の量の金が動く時はもう最高の瞬間だぜ」
エンファは目をキラキラ輝かせながらギャンブルについて長々と語り出した。
「俺はな、ギャンブルをやって儲けることが目的じゃない。まあ、勝って大量の金が手に入ればいい気分になるさ。だがな、俺はそれ以上にギャンブルに求めているものがある!」
「そ、それは……?」
「勝つか負けるかのあの瞬間だ。あのドキドキだよ!俺はそれを求めている!」
「わかった。お前がギャンブル依存野郎ということはわかった」
「それはギャンブルに限ったことじゃねぇ。実際に行われる戦争、バトル。その勝敗を見届けるのは俺にとって幸せ以外の何者でもない。俺はその幸せを味わいたくて今回の依頼を受けた。だがな……」
瞬間、キラキラ輝いていた目が一瞬で光のない目に変わった。
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