4 / 93
4話 真の姿と真の力
しおりを挟む
「グガァァァァァァァァァァ!!!」
俺を襲おうとしていたファイアーウルフはさらにでかい狼の鳴き声ですっかり怖気付いてしまっていた。
「こいつらのボスじゃないのか...?」
でもそんなこと関係ない。結局あんなにでかいやつから逃げきれることなんてもう不可能だろう。
今度こそ本当に...ん?
俺は自分のズボンのポケットが光っていることに気づいた。
「なんだ...これ?」
取り出して見てみるとそれは前のクエストで拾った紫色の石だった。
俺が右手に乗せて見ているとでかい狼も光る石を見つめだした。
ドダーン!ドダーン!
でかい狼が歩く度に地面が大きく揺れる。
「なんでこっちに来るんだよ!」
ファイアーウルフたちはすっかり怯えきって頭とお腹を地面にくっつけて姿勢を低くしている。
ドダーン!ドダーン!
でかい狼はこっちに歩き続け、そして俺の目の前で止まった。
逃げても無駄なら他に助かる方法を...!ってあれ...?
「お前...もしかして...カロスか...?」
俺はこのでかい狼がなぜかカロスだと思った。確信があるわけではないのだが直感的にこいつはカロスだと思った。
「そうでございます。我が主よ」
「やっぱりそうか!でもその姿は...は?」
「どう致しましたか?」
「ちょっと俺の頭の理解速度が追いつかない...。そんな姿になってる理由とか、沢山聞きたいことがあるんだがこれだけは絶対に聞いておきたい。なんで喋れるんだ?」
「多分その石のおかげでしょう」
「石?」
俺は右手に持つ紫色にひかる石を見た。
「この石のことか?」
「はい、その石です。その石は魔獣にさまざまな力を分け与えることができる石なのです。でも信頼している魔獣にしか力を分け与えることが出来ないのです」
これそんなにすごい石だったのか...。そこらへんに落ちてたんだがな。
「この石はマジックストーンと呼ばれているのです。そしてマジックストーンは魔獣の王が守ってきました」
「魔獣の王?」
「はい。魔獣の王は地下深くに住み、そこでこの石を守っていたのです」
「魔獣の王か...。それでなんで守られていた石がそこらへんの地面に転がっていたんだ?」
「それが...魔獣の王は何者かに殺されました」
「殺された!?王って呼ばれるくらいなんだから凄く強いんだろ?」
「もちろんです。そうなのですが...殺されたのです...」
魔獣の王と呼ばれるやつを殺せるほど実力を持ったやつか...
「その殺したやつの狙いはなんだったんだ?」
「多分ですが、マジックストーンを狙っていたのだと思います。この石を使い魔獣を悪用しようとしたのでしょう」
「でも落ちてたってことは奪えなかったってことだよな?」
「いや、地下からは奪われましたよ。でも魔獣の王に仕えていたものが奮闘したおかげで相手の手に渡るのを防ぐことができたのでしょう。王を殺したやつを結局捕えることができませんでしたが」
「そうか...」
じゃあこの石は元の場所に戻した方がいいな。
「ていうことで我が主よ。次は主が魔獣の王です」
「は?ちょっと待って。俺は全然強くないし、まずなんで俺が王になることになるのさ!」
「マジックストーンが紫色の輝いた、つまりそれは我が主が魔獣の王として認められたということです。でも魔獣の王と言ってもマジックストーンに認められただけで、他の魔獣にはまだ力を示せてないので今は名前だけですが...」
ま、まじかよ...
「でも俺、魔法もろくに使えないし剣術だって全く使えないんだぞ!?」
「そんなことは問題ありません。マジックストーンに魔獣の王として認められたものは、王としての力を得ることができます」
「どんな力だ?」
「魔獣の力が宿ります」
魔獣の力が宿る?
「我が主はもうすでに魔獣の力が宿っている状態です。しかし我も魔獣の力が宿ったらどうなるかわからないのです」
じゃあ魔獣の力とはどんなものなのか自分で見つけるしかないんだな。
「あのさ、魔獣の王というのは本当に名前だけなんだな?」
「はい」
そうか...じゃあ俺は、
「残念ながら魔獣の王なんていうでかい立場は俺には似合わない。だから俺は今日から魔獣使いになってやる!」
俺を襲おうとしていたファイアーウルフはさらにでかい狼の鳴き声ですっかり怖気付いてしまっていた。
「こいつらのボスじゃないのか...?」
でもそんなこと関係ない。結局あんなにでかいやつから逃げきれることなんてもう不可能だろう。
今度こそ本当に...ん?
俺は自分のズボンのポケットが光っていることに気づいた。
「なんだ...これ?」
取り出して見てみるとそれは前のクエストで拾った紫色の石だった。
俺が右手に乗せて見ているとでかい狼も光る石を見つめだした。
ドダーン!ドダーン!
でかい狼が歩く度に地面が大きく揺れる。
「なんでこっちに来るんだよ!」
ファイアーウルフたちはすっかり怯えきって頭とお腹を地面にくっつけて姿勢を低くしている。
ドダーン!ドダーン!
でかい狼はこっちに歩き続け、そして俺の目の前で止まった。
逃げても無駄なら他に助かる方法を...!ってあれ...?
「お前...もしかして...カロスか...?」
俺はこのでかい狼がなぜかカロスだと思った。確信があるわけではないのだが直感的にこいつはカロスだと思った。
「そうでございます。我が主よ」
「やっぱりそうか!でもその姿は...は?」
「どう致しましたか?」
「ちょっと俺の頭の理解速度が追いつかない...。そんな姿になってる理由とか、沢山聞きたいことがあるんだがこれだけは絶対に聞いておきたい。なんで喋れるんだ?」
「多分その石のおかげでしょう」
「石?」
俺は右手に持つ紫色にひかる石を見た。
「この石のことか?」
「はい、その石です。その石は魔獣にさまざまな力を分け与えることができる石なのです。でも信頼している魔獣にしか力を分け与えることが出来ないのです」
これそんなにすごい石だったのか...。そこらへんに落ちてたんだがな。
「この石はマジックストーンと呼ばれているのです。そしてマジックストーンは魔獣の王が守ってきました」
「魔獣の王?」
「はい。魔獣の王は地下深くに住み、そこでこの石を守っていたのです」
「魔獣の王か...。それでなんで守られていた石がそこらへんの地面に転がっていたんだ?」
「それが...魔獣の王は何者かに殺されました」
「殺された!?王って呼ばれるくらいなんだから凄く強いんだろ?」
「もちろんです。そうなのですが...殺されたのです...」
魔獣の王と呼ばれるやつを殺せるほど実力を持ったやつか...
「その殺したやつの狙いはなんだったんだ?」
「多分ですが、マジックストーンを狙っていたのだと思います。この石を使い魔獣を悪用しようとしたのでしょう」
「でも落ちてたってことは奪えなかったってことだよな?」
「いや、地下からは奪われましたよ。でも魔獣の王に仕えていたものが奮闘したおかげで相手の手に渡るのを防ぐことができたのでしょう。王を殺したやつを結局捕えることができませんでしたが」
「そうか...」
じゃあこの石は元の場所に戻した方がいいな。
「ていうことで我が主よ。次は主が魔獣の王です」
「は?ちょっと待って。俺は全然強くないし、まずなんで俺が王になることになるのさ!」
「マジックストーンが紫色の輝いた、つまりそれは我が主が魔獣の王として認められたということです。でも魔獣の王と言ってもマジックストーンに認められただけで、他の魔獣にはまだ力を示せてないので今は名前だけですが...」
ま、まじかよ...
「でも俺、魔法もろくに使えないし剣術だって全く使えないんだぞ!?」
「そんなことは問題ありません。マジックストーンに魔獣の王として認められたものは、王としての力を得ることができます」
「どんな力だ?」
「魔獣の力が宿ります」
魔獣の力が宿る?
「我が主はもうすでに魔獣の力が宿っている状態です。しかし我も魔獣の力が宿ったらどうなるかわからないのです」
じゃあ魔獣の力とはどんなものなのか自分で見つけるしかないんだな。
「あのさ、魔獣の王というのは本当に名前だけなんだな?」
「はい」
そうか...じゃあ俺は、
「残念ながら魔獣の王なんていうでかい立場は俺には似合わない。だから俺は今日から魔獣使いになってやる!」
3
お気に入りに追加
1,087
あなたにおすすめの小説

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる