上 下
45 / 54

45話 絶望はすぐそばに

しおりを挟む
 「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 俺は前に進みながら飛んでくる黒い球体を、剣で素早く切り裂きながら前に進んだ。
 
 だがまったくハーシュに接近することができない。
 たとえ近づけたとしても、すぐに後退して距離を取られてしまう。
 近づくことが出来なければ、攻撃を入れることが出来ない。
 困ったものだ。
 
 ハーシュはとにかく何かを飛ばし続けてくる。
 大きさもそれぞれ異なり、形も違う。
 だが一つ一つが、当たって仕舞えば致命傷を負ってしまうほどの威力を持っている。
 いずれ体力的な限界が来てしまうのは確実だが、それよりも先に精神的な限界が来ないかが心配だ。

 そんなことを考えながら球を斬っていると、突然何も飛んで来なくなった。
 チャンスだな。

 俺はそう思い、走る速さをさらに上げた。
 直後、俺の左手が誰・か・に・掴・ま・れ・た・。

 俺はすぐに後ろを振り向き、掴んだ相手の正体を確認しようとした。
 
 だが後ろには、俺を掴む者は誰もいなかった。
 それでも俺の手には掴まれている感覚がある。
 その感覚に正体を確認する為、視線を下に向ける。

 「なんだよこれ……!」

 キモい。
 キモすぎる。
 なんと俺の腕には、ウネウネと動く紫の液体に掴まれていたのだ。
 その液体は地面から生えていて、よく見てみるとハーシュの背中から出て地面を潜っていた。

 このままだとまずい!
 
 俺はすぐに右腕を振り上げて、液体を斬り落とそうと剣を振った。
 剣は液体の触れて、そしてそのまま切断――する事はなかった。
 
 嘘だろ……。
 どうして斬れないんだよ……!
 
 俺の剣は液体を切断する事が出来なかったのだ。
 
 その後も液体は俺の剣を通さず、俺の腕を拘束し続けた。
 柔らかすぎるせいで斬れないのだろうか。
 でもどうにかしなければ……!

 しかし、そう思った時にはすでに遅かった。

 「ちょ!」

 剣を握る右腕も液体に掴まれ、俺は自由を失った。

 こんなことされてる場合じゃ無いんだよ!
 俺が動かないと、俺が殺さないと皆が殺されてしまうんだよ!
 そう必死に自分に言い聞かせて、体を激しく動かしてみる。
 だがどうやっても、この液体は俺のことを離そうとしない。

 俺が必死に抵抗していると、腕を掴む液体は半分に分裂して俺に首に巻きついた。

 やばい……意識が……。
 
 首から離そうにも手が使えない為、どうすることも出来ない。

 俺に視界は徐々に暗くなっていく。

 駄目だ……!
 絶対に気を失うな……!
 少しでも……抵抗しろ……!
 
 だが体はまったく反応しない。
 それどころか、感覚が無くなってきてしまっている。

 俺は暗くなっていく視線を前に向けると、ハーシュが翼を広げながらゆっくりと迫ってきていた。
 そして遂に、手を伸ばせば触れられる距離まで近づいて来た。

 近付けても……こんな状況だとな……。

 「はー……しゅ……」

 俺は掠れる声で名前を呼んだ。
 勝手に口が開いたのだ。
 体を動かそうにも出来ないのに、それなのに。

 そんな俺を見ながら、別人のように変わってしまったハーシュは、冷たい目を俺に向けた。
 
 「私はハーシュではない。私は……私は……」

 誰だ、という言葉を最後に、俺の意識は完全に消え去った。
 

◇◆◇


 ピエロ集団とリリルは、滅多に遭遇することのない強敵に苦戦を強いられていた。

 「お前神だよねぇ? なのにさぁ、なんか弱くない!?」

 上級悪魔はリリルの首元を掴むと、軽々体を持ち上げて頭から地面に叩きつけた。
 リリルは口から血を吐きながら、地面を転がっていった。

 「だって戦うのは僕の専門じゃないからね……。でもまあ、戦えないわけじゃないけど」

 にっと笑って見せると、背後で騎士と戦っていた数人の悪魔を殴り飛ばした。
 戦いが苦手と言えど力は勇者以上ある。
 その為、下級悪魔を相手にするのは目を瞑ってでも出来ることだ。

 突然背後から殴り飛ばされた悪魔は、意味が分からなさそうに周りを見渡している。
 リリルはその悪魔に近づくと、笑って喋りかけた。

 「やあ」
 「誰だ貴様」
 「面倒くさいから言わない」

 と言いながら、悪魔の頭のすぐ真横を拳で思い切り殴った。
 殴られた場所は大きくひび割れ深く陥没していた。

 「じゃ、僕のために働いてね」

 そうしてリリルはその下級悪魔を支配した。
 支配するための条件はただ一つ。
 相手が自分に恐怖すること。

 悪魔はふらっと立ち上がると、上級悪魔に向かってゆっくりと歩いて行った。
 
 「お前、こいつに何をした」
 「えーそんな怒らないでよ。ただ支配しただけだから。あとそれと、その悪魔僕の力のお陰で結構強くなっているからね」
 「だからなんだ。俺は同じ悪魔でも容赦なく殺すぞ。そしてな、下級悪魔が力を与えられても、俺達上級悪魔に力が及ぶことはない」

 仲間に言うにしては酷い事を言いながら、上級悪魔は下級悪魔に向かって拳を振り下ろした。
 その拳は顔に向かっていき、鼻先に触れる――事はなかった。

 上級悪魔は自分がされたことに驚きを隠せず、少しの間動きが止まった。
 
 「なぜ下級悪魔が俺の拳を……!」

 まるで嘘のような光景だが、なんと下級悪魔が上級悪魔の拳を受け止めたのだ。
 それを見て、リリルは顔に笑みを浮かべた。

 「だから言ったでしょ。強くなってるって。じゃあ今から君の名前はリュフね」
 「何をふざけた事を――」
 
 リュフは上級悪魔の腕を掴みながら、腹に強烈な蹴りを入れた。
 当然ながら攻撃はそれだけでは終わらず、顔、胸、腹を殴りつけていく。
 リュフの動きは下級悪魔の動きではない。
 まるで上級悪魔、またはそれ以上のものになっていた。

 「馬鹿な……ふざけるな……下級悪魔に……俺が……!」

 両手を地面につき、全身から血を流す悪魔をリュフは容赦なく首を掴んで持ち上げた。
 
 「おい下級悪魔……! 俺は上級悪魔だぞ……! こんな事をして許されるとでも――」

 だが最後まで喋ることはできず、首を食い千切られて目から光を失った。

 「お前ぇ!!!」

 ジェネラル達を相手にしていた上級悪魔は、目を血走らせながらリュフに向かって飛びついた。
 その姿はまるで知恵のない獣のようだ。

 その獣は手の平に爪が食い込む程強く拳を握り、リュフの顔を殴りつけた。
 だが特に動じることなく、背中を掴んで地面に投げつける。
 上級悪魔は綺麗に受け身を取り、顔を上げた瞬間、胸をリュフの腕が貫いた。

 「がぁ……!」

 そして口から血を吐きながら、リュフが腕を引き抜くと同時に横に音を立てながら倒れていった。

 「俺達もあれだけ強くして下さいよ」
 「そうすればもっと戦えますわ」
 「確かにそうだね。だけど、やめて置いた方がいいよ」

 リリルの視線はリュフに向けられているのに気づき、ジェネラル達は視線を向けた。
 上級悪魔の死体の前で仁王立ちするリュフ。
 だが体が灰のように変化して、空中に散り始めていた。

 「あれは一体……!」
 「あいつの身体能力の限界を突破させたんだよ。あの悪魔の生命エネルギーと僕の力を削ってね……」
 
 最後は絞り出すような声で言葉を発すると、急に体勢を崩して地面に倒れ込んだ。 

 「え!? 大丈夫ですか!」
 「ちょっと……無理をし過ぎたかも……」

 もう少し、力の消費量を抑えれば良かったかな……。
 あの悪魔の大分余裕そうに倒してたし。
 判断ミスったな……。

 「僕のことは放って置いて良いよ」
 「置いていうなんて出来るわけ無いじゃないですか」
 「なんで? だって僕は君達の事支配してるんだよ?」
 「まあそうですけど……俺達を殺さないでくれたので感謝してるんです。な?」
 「勿論」
 「絶対殺されるかと思っていましたので」
 「ということです。だから置いてはいけません」
 
 あまりの意外な返答に、リリルは少しの間呆然としてしまった。
 それと同時にリリルは思った。
 この戦いが終わったら、支配を解いてあげようと。

 「まったく。君達は変わってるね」

 リリルはそう言い、優しい笑みを浮かべた。

 この後待ち受ける絶望も知らずに。

 

 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...