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31話 弱い人間と諦めない人間
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「ライのやつ……グラティオラスとやりあってやがんぞ……」
「ライってあんなに強かったっけ?」
「違う……。ライは……戦いの中でさらに強くなっていってる……」
ライとグラティオラスの激しい戦いを見ながら、ジューザラス達は呆気に取られたように呆然としていた。
ライは確かに強くなった。
昨日戦った時、結局俺はライに勝った。
だが、今もしライと戦ったら俺は……ライに勝てるのか……?
「今頃ですが、ライ様は人間なのですか?」
ルーレルの肩に止まっているシェラレイは、神と対等に戦うライを見ながらそんな疑問を口にした。
恐らく、この場にいる誰もがそれを疑ってしまうはずだ。
しかし、答えは分かりきっている。
「ライは間違いなく人間だ。俺の目が間違えるわけがねぇ」
あいつは人間、そう人間だ。
だが、あんなこと人間ができる域を遥かに超えていやがる。
一体どういうことなんだ……。
ライは人間という事実は何一つとして間違っていない。
しかし、その答えに納得できるものは誰一人いなかった。
グラが創造する武器は、人間が扱うような武器とは全く比べ物にならない。
グラが握る剣は硬度が通常の鉄よりも高く、傷がつきそうな様子は全くない。
それどころか戦いの最中にも形が変形し、短剣になることもあれば太刀になったり、双剣にもなったりする。
さらに、俺と距離が離れれば剣を弓に変更し矢を放ってくる。
何でもありって感じだ。
「どうした。避けてるばかりでは余に勝てんぞ」
「別に勝とうとしてるわけじゃ――」
え……?
今俺なんて言おうとした……?
もしかして……勝とうとするの諦めているのか……?
「そうか……少しは期待したが残念だな」
グラの少し抑えられた声が、俺の頭の中で響き渡った。
ジューザラスには勝つことが全てではないと言われた。
負けにも意味があると言われた。
だけど、負けてもいいなんて一言も言われていない。
なのに俺は諦めようとしていた。
グラが格上だからって、勝利を捨てようとしていた。
ははっ……信じられない……。
結局何にも変わってねぇなぁ!
俺はぁ!
弱いままじゃねぇか!
少しは変われたと思ったが、結局何も変われていないらしい。
グラの剣が躊躇なく俺に振り下ろされようとしている。
諦めようとしている人間への報いか。
神は人間よりも圧倒的力を持っている。
人間が神に勝つことなど不可能。
もういいや……強い人間になれなくても……。
俺は弱い人間のままでいい。
だけど……簡単に諦める人間にはなりたくない。
「ライとの勝負は余の勝利で――」
「まだ……決まってねぇよ」
俺に向かって振り下ろされた金に輝く剣。
それは、もう既に俺を斬り裂いているはずだった。
そう、はずだった。
「俺は神への勝利を諦めない」
そして俺が剣に触れた瞬間、それは砂のように細かく砕け散り、グラの片腕が容赦なく吹き飛んだ。
「ライってあんなに強かったっけ?」
「違う……。ライは……戦いの中でさらに強くなっていってる……」
ライとグラティオラスの激しい戦いを見ながら、ジューザラス達は呆気に取られたように呆然としていた。
ライは確かに強くなった。
昨日戦った時、結局俺はライに勝った。
だが、今もしライと戦ったら俺は……ライに勝てるのか……?
「今頃ですが、ライ様は人間なのですか?」
ルーレルの肩に止まっているシェラレイは、神と対等に戦うライを見ながらそんな疑問を口にした。
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しかし、その答えに納得できるものは誰一人いなかった。
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それどころか戦いの最中にも形が変形し、短剣になることもあれば太刀になったり、双剣にもなったりする。
さらに、俺と距離が離れれば剣を弓に変更し矢を放ってくる。
何でもありって感じだ。
「どうした。避けてるばかりでは余に勝てんぞ」
「別に勝とうとしてるわけじゃ――」
え……?
今俺なんて言おうとした……?
もしかして……勝とうとするの諦めているのか……?
「そうか……少しは期待したが残念だな」
グラの少し抑えられた声が、俺の頭の中で響き渡った。
ジューザラスには勝つことが全てではないと言われた。
負けにも意味があると言われた。
だけど、負けてもいいなんて一言も言われていない。
なのに俺は諦めようとしていた。
グラが格上だからって、勝利を捨てようとしていた。
ははっ……信じられない……。
結局何にも変わってねぇなぁ!
俺はぁ!
弱いままじゃねぇか!
少しは変われたと思ったが、結局何も変われていないらしい。
グラの剣が躊躇なく俺に振り下ろされようとしている。
諦めようとしている人間への報いか。
神は人間よりも圧倒的力を持っている。
人間が神に勝つことなど不可能。
もういいや……強い人間になれなくても……。
俺は弱い人間のままでいい。
だけど……簡単に諦める人間にはなりたくない。
「ライとの勝負は余の勝利で――」
「まだ……決まってねぇよ」
俺に向かって振り下ろされた金に輝く剣。
それは、もう既に俺を斬り裂いているはずだった。
そう、はずだった。
「俺は神への勝利を諦めない」
そして俺が剣に触れた瞬間、それは砂のように細かく砕け散り、グラの片腕が容赦なく吹き飛んだ。
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