上 下
13 / 17

代償

しおりを挟む
体がポカポカするよ~

まだ、目の前は暗闇が広がっている
外に光すら僕は捉えることができない。

「メビウス……?何も起きないよ?」

『んー、ちょっと待って、もう少し……』

まだ待つのかぁ
……ん?んんん?何かフラフラしてきた

「シノ!」

「う、んええ……ふ、ふらふらす、る」

急に足に力が入らなくなって、後ろに倒れる……と思ったら、ルトに抱き寄せられた

「シノ、無理してまでしなくても良いんですよ!」

「ん、だいじょ、ぶ……」

ルトが頭を撫でてくれる。ルトも魔力を与えてくれてるのか頭や、握られている手が温かい

『ごめんね。少し目を瞑ってくれる?』

「ん、ぅ」

なんか凄く疲れるなぁ、眠い……

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈☪︎

「……の……しの……」

「ん、んぅ……?」

何か呼んでる……まだ眠いなぁ
でも、起きなきゃだよね

「シノ!」

「ん……ルト?アレ、僕寝てた?」

「はい、寝てた……というより、気を失っていたみたいですが……大丈夫ですか?目の方は?」

魔法のせいかな
ん?ってアレ?アレレ???
目の前にすごーーーくイケメンな人が……

「っ!!わああぁ!!!」

「しっ、シノ!?どうしましたか??」

「めっ、めが!目が見える!」

ちゃんと見えてる!魔法すごい!

『くすくす、僕スゴいでしょ!』

「うん、凄い!ありがとう」

全部見える!
ルトや、メウルたち、お店の内装や、窓の外の景色が彩やかに映っている

『でも、僕は魔力が無限にある訳じゃないから、少ししか持たないよ』

そう、だよね。簡単に治るわけないよね

治らない事を改めて知ると、やっぱり落ち込んでしまう。

『落ち込まないで!魔力はしばらくすれば回復するんだ!でも、君には代償を払って貰わなきゃいけない。今はその人が魔力を送っていてくれたから、気を失うだけて済んだけど、君の魔力が尽きると君は死んでしまう。だから、長い時間は僕には出来ないんだ』

目の前にいるメウルが僕の周りをふわふわと飛びながら詳しく教えてくれる。

「そっか。いいんだ、魔力が無くなって死んじゃうのは君も同じなんでしょ?じゃあ僕はいいよ!目が見えなくても生きていけるよ」

僕がそう言うと、何も言わずに隣にいたルトが口を開く。

「私がこの子に魔力を与える。できる限り私も協力する」

え……僕、ルトにまで迷惑を掛けていいの?
でも、僕の目が見えるようになったら、ルトのお手伝いとかできるし

「ルト、僕いい『いいね!そうしよう』……よ?」

何か被せてきたんだけど( ˘•ω•˘ )

「僕、ルトにまで迷惑かけられないよ……」

俯いてボソリと呟く

「シノ、私はシノのためになら出来る限りのことはしたいと思っています。それに、自分で言うのもなんですが、魔力の量には自信があります」

ルトに両頬を包まれ、視線を合わせられる
ルトの目は真っ直ぐに僕の方を見詰めていた。

『僕もそう思ってた!君の事が気に入ったんだ。君のためなら何でもするさ!それに、その人も結構な魔力の持ち主だよ』

そうなの?2人が言うのならいいのかな

「お願い、しても良い?」

僕が2人を交互に見て聞くと、ルトは僕を抱きしめて、メウルは僕の方に近づいてきた。

『「もちろん!」』

2人は明るい声で答えてくれた

……僕は本当に幸せなやつだなぁ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈☪︎

途中でいきなりメウルがふわふわ飛んでいて、は?となったと思いますが、メウルは魔法で飛ぶことが出来ます!
シノ達の目には、ぬいぐるみが浮いてるように見えてます。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生して病んじゃったコの話

るて
BL
突然ですが、僕、異世界転生しちゃったみたいです。 これからどうしよう… あれ、僕嫌われてる…? あ、れ…? もう、わかんないや。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 異世界転生して、病んじゃったコの話 嫌われ→総愛され 性癖バンバン入れるので、ごちゃごちゃするかも…

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

皇帝の立役者

白鳩 唯斗
BL
 実の弟に毒を盛られた。 「全てあなた達が悪いんですよ」  ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。  その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。  目を開けると、数年前に回帰していた。

ただの悪役令息の従者です

白鳩 唯斗
BL
BLゲームの推し悪役令息の従者に転生した主人公のお話。 ※たまに少しグロい描写があるかもしれません。

処理中です...