上 下
3 / 5

3.冒険ってわくわくするよね

しおりを挟む


なんて、思っておりましたが。
このひゃっはー計画に思わぬ敵が。そう、家庭教師でございます。やれ、マナーがなんたら、教養がなんたら……。あぁ、こんな事している場合ではないのに。あの大きくて深い森を探検する事のほうが大切だと思うのに。絶対珍しい花や植物、動物がたくさんいると思うんだ。そんな場所が目の前にあるのに行けないなんて……。大自然が私を呼んでいる…!

あれ、これって厨二?じゃないよね?え?

というわけで、小煩い家庭教師に文句を言わせないために前世の記憶や経験を活かしつつ、マナー教養勉学に励んで励んで、立派な猫を身につけました。てへ。これで、文句はいわせまい!!はっはっはっ。……はい、えーと。とりあえずマスターしたので、探検して来ていいですかね?え?ダメ?何故ですか?




「ダメダメダメ!危ないからダメだよ!」


「そうね、マンディ?深緑の森には危険がいっぱいよ?」


「そうだよ?お兄ちゃん心配だから、僕と一緒に行くなら連れて行ってあげるよ?でも1人ではちょっと反対だなぁ」


「えぇ、そうね、お姉ちゃんもクリスお兄様に賛成ね。あの森をなめたら痛い目をみるわ…」



家族と、話を聞いていたであろう使用人も全力で首を横に振っていました。そして、あの言い分だとお姉様は痛い目をみている、と。

ふむ。どうしたもんかな。


「…分かりました、お父様お母様、お兄様お姉様。でしたら、私、図書館で本を読んできます」


明らかにへこんでがっかりした雰囲気を醸し出しつつ、綺麗なお辞儀をして無理に微笑みつつ、我が家自慢の図書館に行く旨を伝えました。その時の家族と使用人達の哀しそうな痛ましそうな憐れんだ顔を見て、だったら反対すな!と思ったのは内緒です。



さてさて、私が図書館に来たのはある理由があります。そう、魔法のお勉強です。危険がいっぱいな森に行くためには、まず強くなればいいのではと考えました。強くなる、そう、手っ取り早い方法が魔法です。せっかくファンタジーな世界に生まれたんですから、使わないなんてもったいない!

魔法の本格的な勉強は7歳からとなっているそうなので、私は今、一つの魔法さえ知らないし、使えないのです。くっそぉぉ。
でもそんな決まりみたいなものは無視して、さーて、魔導書、魔導書っと。我が家の図書館は小さめにコンサートホールくらいはあるので探すのが大変です…。ふむ。

きょろきょろしつつ本を探します。




ん?白い光…?

私について来た侍女に飲み物をお願いし、端から攻めていこう作戦をしていると、ふと目の前を漂っている白くて丸い発光物を見つけました。
野球ボールくらいの大きさのそれは、まるで私を誘っているように左右に揺らめきます。


「…ついておいで、と?」


そうに聞くと、うなずく様に上下に動くではありませんか。これは…もちろんついて行くでしょうとも。


「それでは、案内をよろしくね?」


ふわふわ、ゆらゆら、輝く白いモノについて歩みを始めると、それは庭へ続く扉の方へ行くではありませんか。


「…本を探すのでは、ないのね」



まぁ、面白そうな雰囲気なのでついて行きましょう。…はっ、これはもしや、大冒険の始まりでは!高まりますね!!!



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~

夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】 「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」 アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。 理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。 もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。 自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。 王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると 「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」 オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが…… アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。 そして今日も大きなあの声が聞こえる。 「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」 と

神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜

和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。 与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。 だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。 地道に進む予定です。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

転生生活をまったり過ごしたいのに、自作キャラたちが私に世界征服を進めてくる件について

ihana
ファンタジー
生き甲斐にしていたゲームの世界に転生した私はまったり旅行でもしながら過ごすと決意する。ところが、自作のNPCたちが暴走に暴走を繰り返し、配下は増えるわ、世界中に戦争を吹っかけるわでてんてこ舞い。でもそんなの無視して私はイベントを進めていきます。そしたらどういうわけか、一部の人に慕われてまた配下が増えました。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

処理中です...