俺は善人にはなれない

気衒い

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〜After story〜

第49話:リク

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「ミーシャはこの世界に放り出された俺の唯一の光だった。彼女はいつも笑顔で周囲を明るくしてくれた。俺とは正反対の女性だったよ」

「この世界に放り出された………………ということはやはり」

「ああ。察しの通り、俺は異世界からこの世界へとやってきた………………今から70年程前にな」

「じゃあ、アンタがリョウマ・サカガミの言っていた一緒にこの世界にやってきた友人ということで間違いないな」

「リョウマ・サカガミ?…………っ!?お前、リョウマを知っているのか!?あいつは今、どこにいる!?無事でいるのか!?それとも………………」

「先日、俺達の目の前で天に還っていった。リョウマは最期の最後までアンタのことを気にしていた」

「……………そうか。無理もない。俺達はもうこんなに年老いた」

「リョウマ・サカガミはとてもかっこいい男だった。俺達は皆、彼の生き様に胸を打たれた」

「当たり前だ。俺はあいつ程、出来た男に出会ったことがねぇ………………だからこそ、あの時、あいつから目を離したことが今でも俺の中ではシコリとして残ってしまっているんだ」

「………………」

「良かったら、聞かせてくれないか?あいつの話を」

「ああ。俺達が知っていることならな」

それから、俺達はリョウマ・サカガミの話でしばらく花を咲かせた。





―――――――――――――――――――――




「そうか。そんなことが……………それでお前がリョウマのあの刀だということか」

「そうちゃき!久しぶりだな、クニミツ!!」

「お、おぅ……………人の姿で挨拶されると何とも複雑な気持ちになるな」

「同じ歳を食った者同士、気を遣うことはないちゃきよ」

「それ、どっちかっていうと俺の台詞じゃねぇか?………………にしても見た目は完全に子供だな」

「いわゆる"ロリババア"ちゃきね」

「ロリ…………なんだって?……………でも、リョウマがクロガネを作った頃から考えるとそうか。まぁ、そうなると俺の刀もクロガネと同じくらいの歳ってことになるが」

「オリヒメもここにいるちゃきか!?久しぶりに会いたいちゃき!!」

「奥の方に立てかけてあるよ。まぁ、お前と違って擬人化はしていないがな」

「後で絶対見せてくれちゃきよ!!」

「ああ」

クロガネは今までで一番テンションが上がっていた。やはり、昔からの友人……………それも行方知れずだった者に会えたことの喜びは尋常ではないらしい。かくいう、クニミツも顔がだいぶ綻んでいた。

「さて……………一通り、話をしたところで俺達も本来の目的を果たしたいんだが………………その前に」

俺はそう言うと一旦店の外に出てから、1人の人物をクニミツの前へと連れてきた。

「っ!?お、お前は!!」

「………………」

すると、一気に表情を変えるクニミツ。その後、彼は勢いに任せて口を開いた。

「どの面下げて、俺の前に戻ってきたんだ!!」

俺はこの様子だと話にならないと判断し、クニミツからその人物を庇うように2人の間に立ち、話を前へと進めた。

「確認なんたが、こいつは」

俺の質問したいことが分かったのか、クニミツは渋々といった様子で口を開くとこう言った。

「ああ。そいつ……………リクは俺が勘当したはずの息子だ」



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