俺は善人にはなれない

気衒い

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〜After story〜

第42話:守護者

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「何故、気付いた?口調や言葉遣いも若干、変えていたつもりだったんだが」

「お前からは全くといっていいほど敵意を感じなかったし、何故だか、前にも一度会ったことかあるような気がした。そして、何よりお前が今、油断して口を滑らせたからな」

「口を滑らせた?はて……………」

「お前はおれのことを"、凄い"と言った。俺達は今日、初めて会ったはずだ。なのに何故、そんな言葉が使える?」

「………………いやはや、これは参ったな」

そう言って、頭を掻くアカシック。しかし、その表情はバレて困っているという風には見えなかった。それよりもどちらかというと……………

「そうだ。ワシはシンヤ……………お前さんの夢に出てきた者で間違いない」

「……………やはりな。何が目的だ?」

「……………その前にまずはこの世界のことについて、話そうか」

「それならば、海底都市であらかた聞いた。神という存在がこの世界に幾度か関わっているんだろう?」

「ほぅ……………まぁ、ここまでやってくる程だ。それに…………なるほど。その様子だと"パンドラの匣"まで手にしたと見える」

「っ!?パンドラを知っているのか!?」

「ああ。それに奴だけではないぞ。他にもディザスター・アポカリプス……………こやつらも金鎧を守る守護者だ」

「なっ!?だが、それぞれから、お互いの名前が出ることはなかったぞ。それに守護者?本人達はそう名乗らなかったぞ」

「それはそうだろう。なんせ、ワシだけが他の守護者を知っている。それに当人達に守護者の自覚がないのも当然だ。本人達の中では""ということになっているからな」

「どういうことだ?」

「パンドラから話を聞いたなら、神の所業については既に知っているものとして、ここからは話を進めさせてもらう。神はいわゆる無茶苦茶な存在だ。自分に不都合なことがあれば、すぐに自分にとって都合の良いように改変する。今まで何度も行ってきたことだ。そんなある日、神にとって最も不都合なことが起きてしまった。それは1人の鍛冶師が後に金鎧シリーズと呼ばれるものを作り上げてしまったことだ。兜・籠手・胴・脛当て……………その全てを集めれば何でも願いが1つ叶ってしまう……………普通に聞けば、そんな馬鹿げた話があるはずないと誰からも一笑に付されるところだろう。しかし、その効力は本物だった。一度願いを叶えてしまえば、再びその効力を発揮するまで数年掛かるとはいえ、人の領域を逸脱したものであることに代わりはない」

「……………」

「神は恐れた。いずれ、その力が自分に牙を剥くかもしれないと……………というのも金鎧の製作者に対して、神は負い目があったのだ。だからこそ、金鎧の力で逆襲されてしまっては敵わない。それに過去の栄華を極めた文明を目の当たりにしている神は金鎧の力で人々の力が増すことも危惧した。その結果、神は守護者を選出し、金鎧を守らせることにしたのだ。誰も揃えてしまわないように」

「では守護者の前に金鎧が現れたのは」

「ここまで言えば、分かるだろ?」

「ああ……………だが、解せないことがある」

「?」

「何故、金鎧にそんな力があると分かる?それにあったとしても誰も信じないのならば、噂が広まるはずがないだろ。俺はここにいるビオラから金鎧の存在を聞かされたが、その効力についてはやけに自信を持っていた」

「実際に願いを叶えた者がいるからだ。そして、そこから、どんどんと話は広まり、一時期は金鎧を巡って争いにまで発展する程だった。ちなみに神が金鎧の存在自体に気付いたのは既に話が広まってしまった後だった」

「随分と悠長な奴なんだな」

「その神はよく慢心するタイプでな、だからこそ呑気に放置しておいて、後から焦って行動に移すことが多いんだ」

「そうか……………もう1つ訊いていいか?」

「何だ?」

俺はここで最も気になっていたことを問いかけた。

「お前は一体、何者だ?」




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