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第15章 親子喧嘩
第350話 悪神
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「シンヤさん達、大丈夫かしら」
クーフォは空を見上げながら、小さく呟
く。陽の光が燦々と照りつける中、彼女
は汗一つ浮かべず両手に嵌めている鉤爪
を外した。そんな彼女の足元には無数の
屍が転がっていた。
「クーフォ~もしかしなくても~心配な
の~?」
クーフォが声の聞こえた方へチラリと視
線を向けるとちょうどリームが愛用の武
器であるモーニングスターを肩に担ぎな
がら、やってくるところだった。
「そ、そんな訳ないじゃない!!私はシ
ンヤさんを信じているもの!!」
「でも~不安なんでしょ?」
「うっ……………それは」
痛いところを突かれたとでも言うように
クーフォは途端にしおらしくなり、いつ
もはピンと立った狐耳も今はぺたんと垂
れてしまっている。
「まぁ、でもそれは仕方ないわよ
ね~……………だって、この世界のどこか
ならいざ知らず、天界なんていう訳分か
んないところだもの~」
「そ、そう!!そうなのよ!!だから、
私が不安になったり心配したりしても別
におかしなことじゃ……………はっ!?」
クーフォは話している途中でリームのニ
ヤニヤとした顔が目に入り、そこから先
を思い止まった。
「語るに落ちたね~」
「くっ!?嵌めたわね!!」
「いや、勝手に自爆しただけじゃない~」
クーフォは思わず顔を真っ赤に染めなが
ら、そっぽを向いた。一方のリームはそ
んなクーフォの肩を軽く叩くと耳元で囁
いた。
「ごめんね~ちょっとからかいすぎたみ
たい~」
「ふんっ!!知らない!!」
「だから、ごめんって~………………実は
心配なのはなにもクーフォだけじゃない
のよ」
「えっ!?」
「みんな心配しているのよ~当然じゃな
い。それに今回は今までと違う気がする
の…………何か凄く嫌な予感がするわ~」
思い詰めたような顔で話すリーム。それ
は本人の語尾が一瞬だけおかしくなった
ことからも表れていた。
「…………そうね。リームの気持ちも分か
るわ。なら、尚更、私達はシンヤさん達
を信じてこうして帰りを待つことしかで
きないわ」
「そうよね~……………でも、こういう奴らもいるし、退屈はしなさそうで良かったじゃない」
「冗談じゃないわ」
リームがモーニングスターで突っついた
のは物言わぬ骸だった。先程まで威勢の
良かったその者達はクーフォ達目掛け
て、いきなり襲いかかってきたのだ。
「全く……………どこから聞きつけたの
か、シンヤさん達がいないと分かった瞬
間、同業者の襲撃が後を絶たなくて嫌に
なるわ」
「それって~アタクシ達が~舐められて
るってこと~?」
「単純に彼我の実力差も分からないバカ
なだけよ……………そういえば、リームの
組は一体いくつのクランを潰したの?」
「ん~……………まだ5つだったような~」
「あら、随分と遅いじゃない。私のとこ
ろはもう9つよ」
ドヤ顔を決めて、リームを見下すクーフ
ォ。それを見たリームはジト目になっ
て、問いかけた。
「…………さっきの仕返し~?」
「さぁ、どうかしらね」
不敵な笑みを浮かべたクーフォはくるり
と身体の向きを変えて、その場を後にし
た。
―――――――――――――――――――――
ところ変わって、ここは天界のとある場
所。長年、囚われていた悪い神…………
いわゆる"悪神"達は捕らえていた側の
ミスにより解き放たれ、上級の神達に不
満が溜まっていた下級の神達と手を組
み、巨大な連合軍と化していた。
「派手にやれ!!」
「今まで溜まったものを最大限、吐き出
せ!!」
「「「「「うおおおお~~~!!!」」」」」
そして、現在……………彼らは天界の至る
ところを襲撃し、上級の神達への報復を
行っていた。もちろん、上級神達もこれ
をただ黙って見過ごすはずがない。配下
達を総動員し、戦場へ次々と送り込んで
いる………………のだが、
「ぐはっ!?」
「な、何だこの強さは!?」
「ま、まるで歯が立たない!!」
彼らの溜め込んだ怒りや恨みはその程度
で退けられるものでは到底なく、救援も
辿り着いた瞬間、塵となってしまってい
た。
「まだだ!!俺達の燃え上がるこの怒り
は、恨みは止まらねぇ!!覚悟しろ、上
級神!!」
そこでは地を駆ける彼らの足音がいつま
でも鳴り響いていた。
―――――――――――――――――――――
「ん?そろそろか?」
「ですね。さぁ、戻りましょうか」
「どのくらい強くなっているのか楽しみ
ですわ」
「腕が鳴るな!!」
「やっと、潰せる」
「ふふふ…………疼きますね」
「待ちくたびれたのぅ」
「来たか。我の進化した槍捌きを披露す
る機会が」
「みんな落ち着けよ。それと俺の獲物は
取るなよ?」
「その台詞、そっくりそのまま返すデス」
「心配しなくても敵は掃いて捨てる程い
るの」
「よ~し!!やるぞ~!!」
「ふんっ。アンタ達、まるで子供
ね………………で?敵はどこ?」
クーフォは空を見上げながら、小さく呟
く。陽の光が燦々と照りつける中、彼女
は汗一つ浮かべず両手に嵌めている鉤爪
を外した。そんな彼女の足元には無数の
屍が転がっていた。
「クーフォ~もしかしなくても~心配な
の~?」
クーフォが声の聞こえた方へチラリと視
線を向けるとちょうどリームが愛用の武
器であるモーニングスターを肩に担ぎな
がら、やってくるところだった。
「そ、そんな訳ないじゃない!!私はシ
ンヤさんを信じているもの!!」
「でも~不安なんでしょ?」
「うっ……………それは」
痛いところを突かれたとでも言うように
クーフォは途端にしおらしくなり、いつ
もはピンと立った狐耳も今はぺたんと垂
れてしまっている。
「まぁ、でもそれは仕方ないわよ
ね~……………だって、この世界のどこか
ならいざ知らず、天界なんていう訳分か
んないところだもの~」
「そ、そう!!そうなのよ!!だから、
私が不安になったり心配したりしても別
におかしなことじゃ……………はっ!?」
クーフォは話している途中でリームのニ
ヤニヤとした顔が目に入り、そこから先
を思い止まった。
「語るに落ちたね~」
「くっ!?嵌めたわね!!」
「いや、勝手に自爆しただけじゃない~」
クーフォは思わず顔を真っ赤に染めなが
ら、そっぽを向いた。一方のリームはそ
んなクーフォの肩を軽く叩くと耳元で囁
いた。
「ごめんね~ちょっとからかいすぎたみ
たい~」
「ふんっ!!知らない!!」
「だから、ごめんって~………………実は
心配なのはなにもクーフォだけじゃない
のよ」
「えっ!?」
「みんな心配しているのよ~当然じゃな
い。それに今回は今までと違う気がする
の…………何か凄く嫌な予感がするわ~」
思い詰めたような顔で話すリーム。それ
は本人の語尾が一瞬だけおかしくなった
ことからも表れていた。
「…………そうね。リームの気持ちも分か
るわ。なら、尚更、私達はシンヤさん達
を信じてこうして帰りを待つことしかで
きないわ」
「そうよね~……………でも、こういう奴らもいるし、退屈はしなさそうで良かったじゃない」
「冗談じゃないわ」
リームがモーニングスターで突っついた
のは物言わぬ骸だった。先程まで威勢の
良かったその者達はクーフォ達目掛け
て、いきなり襲いかかってきたのだ。
「全く……………どこから聞きつけたの
か、シンヤさん達がいないと分かった瞬
間、同業者の襲撃が後を絶たなくて嫌に
なるわ」
「それって~アタクシ達が~舐められて
るってこと~?」
「単純に彼我の実力差も分からないバカ
なだけよ……………そういえば、リームの
組は一体いくつのクランを潰したの?」
「ん~……………まだ5つだったような~」
「あら、随分と遅いじゃない。私のとこ
ろはもう9つよ」
ドヤ顔を決めて、リームを見下すクーフ
ォ。それを見たリームはジト目になっ
て、問いかけた。
「…………さっきの仕返し~?」
「さぁ、どうかしらね」
不敵な笑みを浮かべたクーフォはくるり
と身体の向きを変えて、その場を後にし
た。
―――――――――――――――――――――
ところ変わって、ここは天界のとある場
所。長年、囚われていた悪い神…………
いわゆる"悪神"達は捕らえていた側の
ミスにより解き放たれ、上級の神達に不
満が溜まっていた下級の神達と手を組
み、巨大な連合軍と化していた。
「派手にやれ!!」
「今まで溜まったものを最大限、吐き出
せ!!」
「「「「「うおおおお~~~!!!」」」」」
そして、現在……………彼らは天界の至る
ところを襲撃し、上級の神達への報復を
行っていた。もちろん、上級神達もこれ
をただ黙って見過ごすはずがない。配下
達を総動員し、戦場へ次々と送り込んで
いる………………のだが、
「ぐはっ!?」
「な、何だこの強さは!?」
「ま、まるで歯が立たない!!」
彼らの溜め込んだ怒りや恨みはその程度
で退けられるものでは到底なく、救援も
辿り着いた瞬間、塵となってしまってい
た。
「まだだ!!俺達の燃え上がるこの怒り
は、恨みは止まらねぇ!!覚悟しろ、上
級神!!」
そこでは地を駆ける彼らの足音がいつま
でも鳴り響いていた。
―――――――――――――――――――――
「ん?そろそろか?」
「ですね。さぁ、戻りましょうか」
「どのくらい強くなっているのか楽しみ
ですわ」
「腕が鳴るな!!」
「やっと、潰せる」
「ふふふ…………疼きますね」
「待ちくたびれたのぅ」
「来たか。我の進化した槍捌きを披露す
る機会が」
「みんな落ち着けよ。それと俺の獲物は
取るなよ?」
「その台詞、そっくりそのまま返すデス」
「心配しなくても敵は掃いて捨てる程い
るの」
「よ~し!!やるぞ~!!」
「ふんっ。アンタ達、まるで子供
ね………………で?敵はどこ?」
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