俺は善人にはなれない

気衒い

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第15章 親子喧嘩

第334話 未来視

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「うおりゃっ!!」

「ふんっ!!」

側から見れば、何が起きているのか分か

らない程、高速で駆け回りながら、刀と

拳を交える2人。その度に甲高い音が周

囲に響き渡ることでかろうじて2人がま

だ戦いを続けているのを観客席は理解し

ていた。

「シンヤさん……………」

しかし、ティアを筆頭により付き合いの

長い者達程、シンヤの身を案じて、表情

を曇らせていた。シンヤは出会った当初

から常に自信に満ち溢れ、かといって決

して驕らず、どんな相手に対しても警戒

を怠ることはなかった。その結果、今日

まで無敗を貫き、数多の敵を沈めてきた

のだ。だが、今回の相手は今までとは

少々、勝手が違っていた。シンヤに今ま

でのような自信も余裕もなく、何故かは分からないが戦いづらそうにしている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・のだ。そして、何もそれは固

有スキルだけのせいではないと2人の様

子を見守っていたティアは感じていた。

「シンヤさん、どうかご無事で」

とにかく、今の自分にできることは静か

に見守っていることだけだ……………そう

思ったティアは祈るような気持ちで2人

の戦いへと目を向けた。



  








「こんなに良いステータスは初めてだ。

いや~感動だわ。ありがとな」

「ちっ……………かなり、やりづらいな」

「そりゃそうだ。お前も言っていたがな

んせ、もう1人の自分と戦っているよう

なものだ。どうだ?今まで地道に積み上

げてきたものを横から掻っ攫われて使わ

れる気分は?」

「別にどうもしないな。昔はもっと多くのものを奪われてきた・・・・・・・・・・・・・・・・・……………その悔しさから、何度も奪い返してもきたが」

「……………まぁ、あそこはそういう場所・・・・・・・・・・だ。それで段々と学び、強くなっていくもんだ。現に俺んときもそうだった・・・・・・・・・・

「っ!?お、お前っ!!一体どこま

で……………」

「おっと、お喋りはここまでだ。お前も

時間がないだろう?」

「……………絶対に勝って色々と聞き出し

てやる」

「やってみろ、鼻垂れ小僧が」

「っ!!"神滅刀"!!」

「うおっ、"大革命"!!」

シンヤの攻撃を避ける為にキョウが使用

したスキルは邪神との戦闘中にシンヤが

獲得したものだった。奇しくも自分で使

う前に相手に使われた形となったシンヤ

だが、既にそうくることは読んでいたの

か、彼もまた同じスキルを使い、追撃を

繰り出した。

「"大革命"!!"黒神刀"!!」

「ちぃっ!!相変わらず、厄介なスキルだな"未来視"は!!しかも俺は使えねぇし・・・・・・・!!」

「"写し鏡"とかいうチートな技にも流

石に制約はあったか。おそらく、このス

キルが俺とお前の明暗を分ける鍵

だ………………まさか、奴に助けられる形

になるとは」

「そのスキルはもうお前のもんだ。助け

られる、助けられないとかいう次元じゃ

ねぇよ………………にしてもやりづれぇ」

「ほぅ?お前もそう感じていたか」

「ああ。"写し鏡"も"天岩戸"も大抵

は俺が望んだ通りの結果となる。今回み

たいに一部のステータスは写し取れない

なんていう事態にはまずならねぇし、封

じ込める固有スキルも相手にとって要と

なるものがほとんどだ。というか、絶対

にそうなるはずだった……………ところ

が、お前だけは違った。おそらく、お前

のLUK 値のせいだな」

「"測定不能"のか」

「ああ。今までそんな奴は見たことね

ぇ。俺の10万だって異常なのに

よ……………つまり、常に運はお前に味方

してるってことだ」

「何だ?負けた時の言い訳にするつもり

か?」

「いいや……………」

そこでニヤッとした笑みを浮かべたキョ

ウは拳を握り締め、

「っ!?」

いつの間にか、シンヤの後ろへと回り込

んでその拳を思い切り叩き込んだ。

「尚更、お前を倒すのが楽しみになっ

た!!」

キョウの一撃によって、そのまま真っ直

ぐ吹っ飛んだシンヤ。それに確かな手応

えを感じて口角が上がるキョウ。しかし

結果、反対側の壁へとめり込んだ形とな

ったシンヤを見て、キョウは……………笑

顔から一気に真顔となった。

「まぁ、そう上手くはいかねぇか」

振り向く間もなく背中から攻撃を受けた

のであれば、本来はそのまま正面から壁

へと突っ込むはずである。ところが、シ

ンヤは背中から壁へと突っ込み・・・・・・・・・・・正面を向いた状態でめり込んでいた・・・・・・・・・・・・・・・・

「お前は一体どこまで視えてい

る……………」

キョウの問いかけに対して、シンヤはこ

う答えた。


「お前が俺に負けるまでだ」


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