俺は善人にはなれない

気衒い

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第15章 親子喧嘩

第333話 3つの固有スキル

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「"天岩戸あまのいわと"」

「っ!?」

刀と手甲が交差する中、キョウは徐にス

キルを放った。その途端、力が抜ける感

覚に陥ったシンヤは追撃を警戒して、そ

の場から急いでバックステップを行い、

距離を取った。

「……………なるほど。随分と良いステー

タスをしているじゃねぇか」

「……………」

「おかげでとても動きやすいぜ・・・・・・

「危なかった。事前にお前のスキルを知

っていなかったら、まんまと沈められて

いたな」

「ふむ。その反応から察するにお

前………………ここまでの動きは全て読ん

でいたな?」

「ああ。ついこの間、便利なスキルを手

に入れたんでな」

「……………ああ、なるほど。ハジメの小僧からパクったスキルか」

「あいつを知っているのか?」

「ああ。一度、家庭教師の依頼を受けて

な。ワガママで無茶苦茶な奴だったが、

その才能はずば抜けていた………………も

ちろん、俺の息子程ではないがな」

「……………」

「あの馬鹿が迷惑をかけて悪かった」

「おい。今は戦闘中だ。気軽に頭を下げ

るな。それと雰囲気から察するに奴とは

そこまでの関係ではなかったんだろ?」

「確かにたった一度携わっただけの関係

だ。だが、それでもあいつは紛れもなく

俺の教え子だ。俺はそういった縁を蔑ろ

にはしたくない」

「……………」

「そんなことよりも"未来視"で一体ど

んな未来を見たんだ?」

「お前がまず、最初に"写し鏡"を使っ

てくるところだ」

ちなみに試合直前にシンヤが見たキョウ

のステータスはこれだった。

―――――――――――――――――――――――

キョウ

性別:男 種族:人族 年齢:40歳

Lv 10

HP 10/10

MP 10/10

ATK 1

DEF 1

AGI  1

INT  1

LUK  100000

固有スキル

写し鏡・世界旅行・天岩戸

武技スキル

刀剣術:Lv.7

体術 :Lv.7

魔法

無属性魔法:Lv.8

装備

粗末な手甲(神級)

薄汚れたローブ(神級)

称号

異世界からの来訪者・運の女神の加護・

勇者召喚されし者・捨てし者・災難が降

りかかりし者・覚悟を決めた者・逆境に

抗いし者・ご都合主義・追い求める者・

魔物キラー・統率者・盗賊キラー

―――――――――――――――――――――――

装備のランクや称号にいくつか気になる

ものはあるものの、なんといってもまず

最初に目がいくのはLUK 値を除く項目の

数字の低さだった。そこだけを見ると一

般人にも劣っている程であり、面会室で

対面を果たした時にシンヤが警戒したこ

との説明が付かない……………ところが、

彼の持つ固有スキルはその弱みすらも覆

す程のとんでもないものだった。

「"写し鏡"…………… 自身や他者のス

テータスを閲覧できるという俺の"神眼

"の下位互換のような能力だが、これは

ほんのおまけに過ぎない。このスキルに

は加えてもう1つ能力があるからだ。そ

れは………………"自身のステータスを他

者のステータスと全く同じものにするこ

とができる"というふざけたものだ。1

日に数回しか使えないのが難点だが、一

度使ってしまえばそのステータスのま

ま、30分は活動することができる。さ

らに途中でそのステータスよりも強い人

物や魔物が現れた場合は瞬時にステータ

スの乗り換えが可能。なんにせよ、少な

くとも敵と同じステータスになってしま

えば、理論上は負けることがな

い………………俺が言うのもなんだが、無

茶苦茶なスキルだな」

「聞く限りだと無敵のような固有スキル

だと思うだろ?だが、ちゃんと欠点はあ

る。そもそもステータスが変わる度にそ

のステータスに身体を馴染ませなきゃな

らないのが苦痛だな。普段はその辺の奴

に小突かれたくらいで瀕死になってしま

う。だから、絡まれそうになったら、そ

いつよりも少し強い奴に"写し鏡"を使

って、ステータスを変更し、応戦するか

やり過ごす。んで次にそれよりも断然強

い魔物や盗賊などに遭遇した場合はいき

なり高ランク冒険者相当のステータスへ

と変更し、戦闘。最初の頃は緩急の差が

激しすぎて、何度も吐いたわ……………ま

ぁ、慣れてくれば息をするようにして、

使えるようになったが」

「………………それもとんでもない固有ス

キルだが、俺が"未来視"で見た"写し

鏡"を使った直後にお前がしてきたこと

の方が俺としては危なかった」

「ありゃ。いきなり、手の内を2つも知

られたか」

「"天岩戸あまのいわと"……………… "対象の固有スキルをラ

ンダムで1つだけ10分間使えなくする

"というこれまたふざけた固有スキル

だ」

「その結果、お前は今、"神眼"が全く

使えない状態だ」

「俺としては一番マシなものを持ってい

かれた感じだ。"写し鏡"を使った直後

のお前のステータスもちゃんと見ておい

たからな」

ちなみに"写し鏡"を使用直後のキョウ

のステータスがこれだった。

―――――――――――――――――――――――

キョウ

性別:男 種族:人族 年齢:40歳

Lv 30

HP 3000000/3000000

MP 3000000/3000000

ATK 3000000

DEF 3000000

AGI 3000000

INT 3000000

LUK 300000

固有スキル

写し鏡・世界旅行・天岩戸・魔の境地・

守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・

戦士の誓い・透過・明鏡止水・勇者王・

大革命・大黒柱・リセット

武技スキル

刀剣術:Lv.MAX

体術 :Lv.MAX

魔法

全属性魔法

装備

粗末な手甲(神級)

薄汚れたローブ(神級)

称号

異世界からの来訪者・運の女神の加護・

勇者召喚されし者・捨てし者・災難が降

りかかりし者・覚悟を決めた者・逆境に

抗いし者・ご都合主義・追い求める者・

魔物キラー・統率者・盗賊キラー

―――――――――――――――――――――――

流石に装備や称号は本人のものであった

が、他にもLUK 値やシンヤがこの世界に

来た時に最初に持っていた固有スキルは

引き継げないなど、どうやらいくつか制

約はありそうだった。しかし、それを差

し引いてもとんでもなく強力な固有スキ

ルである。

「気合いを入れなおさきゃな」

シンヤは面会室で初対面を果たした時に

キョウから感じた只者ではない雰囲気が

当たっていたと確信しつつ、再び刀を構

えて今度はキョウの出方を待った。

「流石に慎重だな」

「当たり前だ。今、目の前にいるのはも

う1人の自分と考えてもいい存在。つま

り、俺を殺せるのはこの世でお前、ただ

1人だけということだ」

「その逆もまた然りだな………………だ

が、それにしても警戒しすぎじゃねぇ

か?」

「それもそうだろう。なん

せ………………」

シンヤはそこから少し間を空けて、こう

言った。


「お前の3つ目の固有スキルである"世

界旅行"……………それを何故か"神眼"

でも見通すことができなかったんだから

な」
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