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第14章 獣人族領
第328話 号外
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「おいおい、マジかよ」
号外として街中に配られた記事。それを
見た男は思わず、そう呟いた。そこに載
っていた内容とは大きく分けて、3つあ
る。1つは英雄シンヤ・モリタニの"結
婚式"について。シンヤが恋仲にあった
計20人もの女性を妻として迎え入れ、
より彼らの結束力が強まったというもの
だ。しかし、結束力が強まったのは何も
シンヤ達だけではない。その結婚式・披
露宴の裏側で密かに協定が結ばれていた
のだ。妻達の家族や親戚などの招待客達
は彼女達の故郷を代表して来ていた。そ
の上、彼らの故郷のほとんどが"黒の系
譜"の縄張りとなっている。その為、お
互いに親近感を抱いた者同士で協定を結
び、困った時はお互いに助け合うことや
貿易も盛んに行うことを約束していた。
その際に距離が離れている場所同士はシ
ンヤがそれぞれに設置した魔道具によっ
て行き来が可能になっていた。ちなみに
その魔道具の名は"転移の門"である。1つにつき、最大50も
の場所を設定可能で相互で設定している
場合に限り、往来が可能となる。使い方
としては魔道具を地面に置いた瞬間、空
間に黒い穴が開き、それを通れば設定し
た先の場所へと行くことができる。いく
つも場所を設定している場合は場所のイ
メージや名前を頭に思い描くと魔道具が
それに反応して、望んだ場所へと導いて
くれるというものだった。この魔道具は
以前から、シンヤが研究をしていたもの
でその試作品を彼らに配った形だった。
余談だが、ついこの間、"殲滅連合"の
拠点を漁っていたところ、魔道具に関す
る研究資料が沢山出てきた為、それらが
魔道具製作に非常に役立ったのは言うま
でもない。
「こりゃ、とんでもないことだぞ」
2つ目の内容は冒険者ギルドによる一斉
検査である。ここ最近、冒険者の度重な
る失態や悪行が目立つようになり、冒険
者の品格自体が疑われ始めた。そうなる
と依頼人や冒険者を目指す若者の減少に
繋がるかもしれないと考えた冒険者ギル
ド本部はこの事態を重く受け止め、世界
中に存在する全ての冒険者ギルドへとあ
る通達を行った。それは……………"現
在、ギルドに所属する全冒険者達への身
辺検査を実施せよ"というものだった。
これは冒険者の基本的なプロフィールや
身の回りのこと、過去の行いなどを1人
1人調査し、冒険者としてふさわしい者
であるかどうかを判断するというもの
だ。そして、その結果、もしも冒険者に
ふさわしくないと判断された場合、その
者は冒険者としての資格を剥奪され、ギ
ルドから除名となる。むろん、その際に
逆上した冒険者達からの逆恨みに遭う可
能性というのも考慮しているギルドは対
策を設けていた。それは除名された冒険
者が誰かに対して殺意を持った状態で動
いた場合、腕と首につけられた魔道具が
反応し、締め上げてくるというものだ。
ちなみに現状、そのような精度の高い魔
道具は市場には出回っておらず、とある
冒険者の提供によってギルドは入手した
形となる。当然、その際には多額の出費
を余儀なくされたが………………
「奴が投獄!?一体何をやらかしたんだ
か………………ん?この名字って」
「ん?どうしたんだ?」
「ああ、この部分が気になってな。ちょ
っと読んでみてくれ」
「分かった。え~っと、どれど
れ……………」
そして、最後の内容。これは読んだ者が
思わず、疑問を感じずにはいられないも
のだった。そこに書かれていたことと
は…………
「"巷で話題の男、キョウ・モリタニ捕
まる!!捕縛後、無言を貫いた男が唯
一、発した言葉とは……………湯煎の礼、
待っている!?……………ど、どういうこ
となんだ、これ?最後の部分はよく分か
らんが、こいつの名字って……………」
「ああ…………奇しくも英雄と一緒の
だ」
号外として街中に配られた記事。それを
見た男は思わず、そう呟いた。そこに載
っていた内容とは大きく分けて、3つあ
る。1つは英雄シンヤ・モリタニの"結
婚式"について。シンヤが恋仲にあった
計20人もの女性を妻として迎え入れ、
より彼らの結束力が強まったというもの
だ。しかし、結束力が強まったのは何も
シンヤ達だけではない。その結婚式・披
露宴の裏側で密かに協定が結ばれていた
のだ。妻達の家族や親戚などの招待客達
は彼女達の故郷を代表して来ていた。そ
の上、彼らの故郷のほとんどが"黒の系
譜"の縄張りとなっている。その為、お
互いに親近感を抱いた者同士で協定を結
び、困った時はお互いに助け合うことや
貿易も盛んに行うことを約束していた。
その際に距離が離れている場所同士はシ
ンヤがそれぞれに設置した魔道具によっ
て行き来が可能になっていた。ちなみに
その魔道具の名は"転移の門"である。1つにつき、最大50も
の場所を設定可能で相互で設定している
場合に限り、往来が可能となる。使い方
としては魔道具を地面に置いた瞬間、空
間に黒い穴が開き、それを通れば設定し
た先の場所へと行くことができる。いく
つも場所を設定している場合は場所のイ
メージや名前を頭に思い描くと魔道具が
それに反応して、望んだ場所へと導いて
くれるというものだった。この魔道具は
以前から、シンヤが研究をしていたもの
でその試作品を彼らに配った形だった。
余談だが、ついこの間、"殲滅連合"の
拠点を漁っていたところ、魔道具に関す
る研究資料が沢山出てきた為、それらが
魔道具製作に非常に役立ったのは言うま
でもない。
「こりゃ、とんでもないことだぞ」
2つ目の内容は冒険者ギルドによる一斉
検査である。ここ最近、冒険者の度重な
る失態や悪行が目立つようになり、冒険
者の品格自体が疑われ始めた。そうなる
と依頼人や冒険者を目指す若者の減少に
繋がるかもしれないと考えた冒険者ギル
ド本部はこの事態を重く受け止め、世界
中に存在する全ての冒険者ギルドへとあ
る通達を行った。それは……………"現
在、ギルドに所属する全冒険者達への身
辺検査を実施せよ"というものだった。
これは冒険者の基本的なプロフィールや
身の回りのこと、過去の行いなどを1人
1人調査し、冒険者としてふさわしい者
であるかどうかを判断するというもの
だ。そして、その結果、もしも冒険者に
ふさわしくないと判断された場合、その
者は冒険者としての資格を剥奪され、ギ
ルドから除名となる。むろん、その際に
逆上した冒険者達からの逆恨みに遭う可
能性というのも考慮しているギルドは対
策を設けていた。それは除名された冒険
者が誰かに対して殺意を持った状態で動
いた場合、腕と首につけられた魔道具が
反応し、締め上げてくるというものだ。
ちなみに現状、そのような精度の高い魔
道具は市場には出回っておらず、とある
冒険者の提供によってギルドは入手した
形となる。当然、その際には多額の出費
を余儀なくされたが………………
「奴が投獄!?一体何をやらかしたんだ
か………………ん?この名字って」
「ん?どうしたんだ?」
「ああ、この部分が気になってな。ちょ
っと読んでみてくれ」
「分かった。え~っと、どれど
れ……………」
そして、最後の内容。これは読んだ者が
思わず、疑問を感じずにはいられないも
のだった。そこに書かれていたことと
は…………
「"巷で話題の男、キョウ・モリタニ捕
まる!!捕縛後、無言を貫いた男が唯
一、発した言葉とは……………湯煎の礼、
待っている!?……………ど、どういうこ
となんだ、これ?最後の部分はよく分か
らんが、こいつの名字って……………」
「ああ…………奇しくも英雄と一緒の
だ」
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