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第14章 獣人族領
第323話 全面戦争5
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「おいおい……………」
「……………」
「これはまずくねぇか?」
"赤き剣群"、"殲滅連合"、"戦線騎
士団"の軍団長
達は後方のとある場所に集まり、そこか
ら戦場を見渡して焦った声を出した。現
在、戦場のそこかしこでこの世のものと
は思えない光景がいくつも繰り広げられ
ていた。空からは相変わらず、様々な魔
法攻撃が彼ら連盟の者達
に命中し、地上では"黒の系譜
"…………特に親クランである"黒天の
星"のメンバーの勢いが留まることな
く、続いている。並のメンバーでも凄ま
じい強さを有しているが幹部候補生であ
る"十長"、それから幹部で
ある"十人十色"はその次元が違ってい
た。彼らの中のたった1人がその気にな
れば、一体いくつの国が滅びるのだろう
か………………そんなことを想像して、軍団長達は身震いが止まらなかった。
「しかもグリフォンにドラゴン、フェン
リルなんか従えて暴れさせてる
ぞ……………一体どういうことなんだ?」
「以前、どこかで聞いたことがある。確
か、あれは従魔部隊とかいう、れっきと
した戦力の魔物だ」
「それらを操っているのが例の"魔物使
い"リース………そして、"戦執事"セバスらしいな。最近、ちょくちょく耳にする」
軍団長達は険しい
表情をしながら、戦場を見つめ、何かを
考え込んでいた。
「失礼致します!報告があるのですが、
よろしいでしょうか?」
とそんな中、"赤き剣群"の幹部が彼ら
に近付いてくると恐る恐る話しかけてき
た。
「こんな時に一体何だ?」
「ただいま入った情報によりますと我
が連盟の約7割が戦線に
復帰することが難しい状況となってお
り、皆、不安の色が隠せないようです」
「なんとかして回復させられないの
か?」
「不可能です」
「何故だ!」
「……………死亡しているからです」
「っ!?」
部下からの報告に"赤き剣群"の軍団長、レッドは驚き言葉を失った。ところが、残りの2人の軍団長達はそれについては想定内らしく、深く頷くと噛み締めるようにして言った。
「それについては予想の範囲内だな」
「ああ。喧嘩を売ってきた相手、それも
命を狙ってきているのを野放しにはしな
いだろう。確実に息の根を止めるのはむ
しろ当然のことだ」
「だ、だがっ!何も命まで取ることはな
いだろう!お、俺達はお前達と違ってそ
こまでは……………」
「おい、若いの……………お前、どういう
つもりで戦場に来てんだ?」
「っ!?」
"戦線騎士団"の軍団長、ヘビーは鋭い眼光でレッドを
睨み付けながら言った。それに対して少
しだけ冷や汗をかいたレッドはおどおど
しながら、ヘビーの質問にこう答えた。
「ど、どういうつもりって、そんなの」
「お前らは連盟の中じゃ、最も若い軍団だ。まだ経験値も俺達程じゃない………………だがな、今回のは全てお前から持ち掛けたことだ。今更、そんなつもりはなかったとか通らねぇし、経験不足なんていう言い訳も通用しねぇんだよ」
「……………」
「あいつらを見てみろ。攻撃に全く躊躇
がない。敵ながら、あっぱれだ」
「……………くっ」
「まぁ、あれはおそらく"黒締"の教育
の賜物だろうよ。しかし、あんな若さで
一体どれほどの修羅場を潜ったら、それ
ほどの覚悟と精神力が培われるのか甚だ
疑問ではあるがな……………とまぁ、色々
と説教臭いことを言っちまったが何もお
前だけが責任を感じる必要はねぇ。いく
らお前発進とはいえ、俺達もそれに乗っ
かったんだ。なぁ、アレイ?」
「無論だ」
アレイと呼ばれた"殲滅連合"の軍団長はヘビーの問い
かけに表情を変えないまま、答えた。そ
こからはお互いのことを信頼していると
いうのが伝わってきた。
「……………すまない。少々、取り乱して
情けない姿を見せた」
「気にするな」
「生きていれば、そんなこともあろう」
「ありがとう……………………よし、決め
た」
レッドの謝罪にヘビーとアレイは軽く微
笑みながら、励ましの言葉を送る。する
と、それを聞いたレッドは10秒程、軽
く目を瞑って何かを考え込み、次に目を
開いた時にこう言った。
「ヘビー、アレイ聞いてくれ。ただ今よ
り、"作戦E"を実行しようと思う」
レッドの顔は覚悟を決めた男のそれにな
っていた。
―――――――――――――――――――――
「お、ローズか。どうした?」
様々な攻撃を掻い潜り本陣まで辿り着い
た敵を撃破しながら、カグヤは通信の魔
道具に反応した。たった今、最前線で戦
っている第十部隊の部隊長ローズから通
信が入ったのだ。
「こちら第十部隊。報告があるわ。なん
か敵の一部が不審な動きをしているの
よ。多くは相変わらず、こっちに突っ込
んでくるんだけど、それに紛れてさりげ
なく後退している奴らがいるわ」
「………………」
「あれは……………おそらく傘下クランの
クランマスター達ね。一体何が目的なの
かしら?」
「…………ローズ、報告ありがとな。そ
して、急で悪いんだが、今から"例の作
戦"を実行したいと思う。だから、お前
んとこのケープ、レーン、ガルーヴァに
も準備させてくれ」
「分かったわ。じゃあ、状況を見てワタ
シ達は動くわ」
「頼む」
「カグヤ、あなたも頑張ってね」
「ああ。これはちゃんとした取り決めの
ある軍団戦争と
は訳が違う。だから、こういう事態もあ
るんだろう……………まぁ、骨が折れるが
仕方ない。今から全部隊へ伝えるわ」
その後、ローズとの通信を切ったカグヤ
は全部隊へととある指令を出した。それ
は皆、事前に打ち合わせで聞いていたも
のだった為、誰1人として慌てることな
く、それぞれが早速動き始めた。そし
て、一方のカグヤは全部隊への通信が終
わるやいなや、遠くからクーフォが駆け
寄ってきているのが分かり、彼女を待ち
構えた。
「お疲れ様です」
「おぅ。どうした?」
「私の持ち場は終わり、他も大丈夫そう
なので来ました………………ところで"例
の作戦"を実行するんですか?」
「ああ」
クーフォの質問に神妙な顔で答えたカグ
ヤの表情は次の瞬間には口角が上がり、
ニヤッとした笑みを浮かべてこう言っ
た。
「どうやら、シンヤの言っていたことが
本当になりそうだ」
「……………」
「これはまずくねぇか?」
"赤き剣群"、"殲滅連合"、"戦線騎
士団"の軍団長
達は後方のとある場所に集まり、そこか
ら戦場を見渡して焦った声を出した。現
在、戦場のそこかしこでこの世のものと
は思えない光景がいくつも繰り広げられ
ていた。空からは相変わらず、様々な魔
法攻撃が彼ら連盟の者達
に命中し、地上では"黒の系譜
"…………特に親クランである"黒天の
星"のメンバーの勢いが留まることな
く、続いている。並のメンバーでも凄ま
じい強さを有しているが幹部候補生であ
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ある"十人十色"はその次元が違ってい
た。彼らの中のたった1人がその気にな
れば、一体いくつの国が滅びるのだろう
か………………そんなことを想像して、軍団長達は身震いが止まらなかった。
「しかもグリフォンにドラゴン、フェン
リルなんか従えて暴れさせてる
ぞ……………一体どういうことなんだ?」
「以前、どこかで聞いたことがある。確
か、あれは従魔部隊とかいう、れっきと
した戦力の魔物だ」
「それらを操っているのが例の"魔物使
い"リース………そして、"戦執事"セバスらしいな。最近、ちょくちょく耳にする」
軍団長達は険しい
表情をしながら、戦場を見つめ、何かを
考え込んでいた。
「失礼致します!報告があるのですが、
よろしいでしょうか?」
とそんな中、"赤き剣群"の幹部が彼ら
に近付いてくると恐る恐る話しかけてき
た。
「こんな時に一体何だ?」
「ただいま入った情報によりますと我
が連盟の約7割が戦線に
復帰することが難しい状況となってお
り、皆、不安の色が隠せないようです」
「なんとかして回復させられないの
か?」
「不可能です」
「何故だ!」
「……………死亡しているからです」
「っ!?」
部下からの報告に"赤き剣群"の軍団長、レッドは驚き言葉を失った。ところが、残りの2人の軍団長達はそれについては想定内らしく、深く頷くと噛み締めるようにして言った。
「それについては予想の範囲内だな」
「ああ。喧嘩を売ってきた相手、それも
命を狙ってきているのを野放しにはしな
いだろう。確実に息の根を止めるのはむ
しろ当然のことだ」
「だ、だがっ!何も命まで取ることはな
いだろう!お、俺達はお前達と違ってそ
こまでは……………」
「おい、若いの……………お前、どういう
つもりで戦場に来てんだ?」
「っ!?」
"戦線騎士団"の軍団長、ヘビーは鋭い眼光でレッドを
睨み付けながら言った。それに対して少
しだけ冷や汗をかいたレッドはおどおど
しながら、ヘビーの質問にこう答えた。
「ど、どういうつもりって、そんなの」
「お前らは連盟の中じゃ、最も若い軍団だ。まだ経験値も俺達程じゃない………………だがな、今回のは全てお前から持ち掛けたことだ。今更、そんなつもりはなかったとか通らねぇし、経験不足なんていう言い訳も通用しねぇんだよ」
「……………」
「あいつらを見てみろ。攻撃に全く躊躇
がない。敵ながら、あっぱれだ」
「……………くっ」
「まぁ、あれはおそらく"黒締"の教育
の賜物だろうよ。しかし、あんな若さで
一体どれほどの修羅場を潜ったら、それ
ほどの覚悟と精神力が培われるのか甚だ
疑問ではあるがな……………とまぁ、色々
と説教臭いことを言っちまったが何もお
前だけが責任を感じる必要はねぇ。いく
らお前発進とはいえ、俺達もそれに乗っ
かったんだ。なぁ、アレイ?」
「無論だ」
アレイと呼ばれた"殲滅連合"の軍団長はヘビーの問い
かけに表情を変えないまま、答えた。そ
こからはお互いのことを信頼していると
いうのが伝わってきた。
「……………すまない。少々、取り乱して
情けない姿を見せた」
「気にするな」
「生きていれば、そんなこともあろう」
「ありがとう……………………よし、決め
た」
レッドの謝罪にヘビーとアレイは軽く微
笑みながら、励ましの言葉を送る。する
と、それを聞いたレッドは10秒程、軽
く目を瞑って何かを考え込み、次に目を
開いた時にこう言った。
「ヘビー、アレイ聞いてくれ。ただ今よ
り、"作戦E"を実行しようと思う」
レッドの顔は覚悟を決めた男のそれにな
っていた。
―――――――――――――――――――――
「お、ローズか。どうした?」
様々な攻撃を掻い潜り本陣まで辿り着い
た敵を撃破しながら、カグヤは通信の魔
道具に反応した。たった今、最前線で戦
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信が入ったのだ。
「こちら第十部隊。報告があるわ。なん
か敵の一部が不審な動きをしているの
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「………………」
「あれは……………おそらく傘下クランの
クランマスター達ね。一体何が目的なの
かしら?」
「…………ローズ、報告ありがとな。そ
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も準備させてくれ」
「分かったわ。じゃあ、状況を見てワタ
シ達は動くわ」
「頼む」
「カグヤ、あなたも頑張ってね」
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ある軍団戦争と
は訳が違う。だから、こういう事態もあ
るんだろう……………まぁ、骨が折れるが
仕方ない。今から全部隊へ伝えるわ」
その後、ローズとの通信を切ったカグヤ
は全部隊へととある指令を出した。それ
は皆、事前に打ち合わせで聞いていたも
のだった為、誰1人として慌てることな
く、それぞれが早速動き始めた。そし
て、一方のカグヤは全部隊への通信が終
わるやいなや、遠くからクーフォが駆け
寄ってきているのが分かり、彼女を待ち
構えた。
「お疲れ様です」
「おぅ。どうした?」
「私の持ち場は終わり、他も大丈夫そう
なので来ました………………ところで"例
の作戦"を実行するんですか?」
「ああ」
クーフォの質問に神妙な顔で答えたカグ
ヤの表情は次の瞬間には口角が上がり、
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本当になりそうだ」
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