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第13章 魔族領
第289話 挫折
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――――――――――――――――――――
シャウロフスキー
性別:男 種族:魔族(黒山羊種) 年
齢:10歳
Lv 30
HP 1000/1000
MP 1000/1000
ATK 789
DEF 632
AGI 512
INT 849
LUK 777
固有スキル
破拳・蹴落・魔拳闘・商才・金剛・火事
場の馬鹿力・状態異常軽減・不屈の闘
志・???
武技スキル
体術 :Lv.5
剣術 :Lv.3
短剣術:Lv.3
槍術 :Lv.3
棍術 :Lv.3
棒術 :Lv.3
斧術 :Lv.3
鎌術 :Lv.3
鞭術 :Lv.3
杖術 :Lv.3
盾術 :Lv.3
弓術 :Lv.3
魔法
火魔法 :Lv.4
水魔法 :Lv.4
土魔法 :Lv.3
風魔法 :Lv.3
氷魔法 :Lv.2
雷魔法 :Lv.2
無魔法 :Lv.5
称号
逆神の加護・憧れる者・負けず嫌い・抗
う者・格闘家・正義感に溢れる者
装備
黒龍のマント(中級)
黒龍のグローブ(上級)
――――――――――――――――――――
「まさか、あなたが魔剣を持っていると
は……………」
「これ、綺麗でしょ?苦労して手に入れ
たのよ」
「幽閉山に登ったんですか?」
「ええ。あそこは沢山の魔物が行く手を
阻んでくるでしょ?だから、自ら進んで
登る者はほとんどいないわ。でも、私に
は特殊な固有スキルがあって、あまり魔
物が近寄ってこないから登ることができ
たのよ。まぁ、とはいっても最低限の戦
闘はあったけど」
「くそっ!あともう少し早く登っていれ
ば、僕が先に魔剣を手に入れられたの
に!」
「登る?それは聞き捨てならないわね。
あそこは魔族領の中でも屈指の危険地帯
よ。AランクやBランクの魔物がゴロゴ
ロいて、頂上付近に至ってはSランクの
魔物が徘徊しているわ。そんなところを
坊やみたいなのが登れる訳ないじゃな
い」
「ふんっ!あなたは知らないでしょうが
世界にはとんでもなく強い人達がいるん
です!その人達にかかれば幽閉山なんて
楽勝ですよ!なんせ、たった2時間程で
頂上まで行ってしまうくらいですから」
「それが本当なら、その人達はとんでも
ない化け物ね。私のように特殊なスキル
を使わないのであれば、尚更ね……………
まぁ十中八九、法螺話でしょうけど」
「う、嘘じゃないですよ!本当のことで
す!」
「真相などどちらでもいいわ。それより
も私と戦うのはあなたなんでしょう?他
人の強さで威張っている場合?」
「ぐっ…………」
「くだらない話をしている暇があった
ら、この魔剣の力を肌で感じなさい」
魔王はそう言うと魔剣に魔力を込め出し
た。すると徐々にどす黒さが増し、触れ
てもいないのにシャウロフスキーは肌が
ピリピリするような感触を覚えた。
「くっ…………これはまた」
「はぁっ!"黒蝕波"!!」
「うわぁ!?」
魔王は試しとばかりに片手で魔剣を振る
い、黒い魔力の斬撃を放った。シャウロ
フスキーがそれを間一髪で避けられたの
は幸運以外の何物でもない。実際に目で
魔王の動きを捉えることができず、出鱈
目にジャンプした結果、たまたま避ける
ことに成功しただけなのだから…………
ところが
「やるじゃない。でも、これはどう?"
黒蝕斬"」
「っ!?"魔硬拳"!!」
避けた先に現れた魔王がシャウロフスキ
ー目掛けて、魔剣を振り下ろしてきた。
この予期せぬ事態にシャウロフスキーは
一瞬驚いて硬直しかけたが咄嗟に腕をク
ロスして、どうにか魔力を纏わせた。
「ぐうぅっ!」
「はっ!」
結果、何とか防ぐことはできた。しか
し…………
「っ!?"柳化頸"!!」
魔剣に触れている部分が徐々に溶け出
し、身に付けていたグローブに穴が開き
始めてしまったのだ。これには流石にそ
のまま素肌を触れさせる訳にはいかない
と感じたシャウロフスキーは咄嗟に攻撃
を受け流し、魔剣の切っ先が地面に当た
るようにして、自身はその隙に後ろへと
大きく下がった。
「っと!やるわね」
「はぁ、はぁ、はぁ」
終始余裕そうな魔王に褒められたシャウ
ロフスキーだが言い返す気力もないの
か、その場で膝に手をついて立ってい
た。そんな中、ふと自分のグローブが目
に入り、見てみるとなんと上半分が溶け
てなくなってしまっていて、それはもう
これ以上使い物にならないことを表して
いた。
「はぁ…………はぁ………………くっ」
対する魔王は本気を出す気がないのか、
小手調べ程度の力しか出しておらず、魔
剣を軽々と担いで余裕の笑みを浮かべて
いた。シャウロフスキーはそれが気に入
らないらしく、普段は感じることのない
苛立ちを覚えた。
「不満そうな顔ね。おそらく、私が本気
を出していないことが気に食わないんで
しょうけど、それは仕方ないわ。だっ
て、あなた弱いんだもの」
「っ!?くそっ!」
「これ以上はやめておきなさい。少しの
怪我じゃ済まなくなるわよ?」
再び動き出そうとしたシャウロフスキー
を制するように言う魔王。そこにはどこ
か身を案じる様子が窺えた。
「あなた、本当に魔王なんですか?僕が
聞いた魔王の人物像とはとてもじゃない
が一致しないんですが…………」
「……………」
「まぁ、あなたがどんなつもりだろうと
僕のやることは変わりません!全力で魔王を倒しにかかるだけです!」
「そう…………」
シャウロフスキーは逃げるつもりがない
ことを伝え、そこから一気に駆け出し
た。一方の魔王は一歩も動かず、ただた
だその場でシャウロフスキーの攻撃を迎
え撃った。
「"魔拳狼"!!」
「"黒蝕斬"!」
結果、真っ向から両者がぶつかり合い、
軍配が上がったのは…………魔王の方だ
った。
「ぐああああっ~~!」
迫り来る拳を軽々と避けた魔王はその勢
いのまま魔剣を振るい、シャウロフスキ
ーの右腕を半ばから切断した。すると一
気に体勢を崩したシャウロフスキーは倒
れ込み、痛みによって地面をのたうち回
った。
「だから言ったじゃない。やめておきな
さいと」
「ぐううっ…………どうして………………
あんなに修行をしたのに」
「そんなの1つしかないわ……………あな
たが私より弱いからよ」
「うううっ………………痛いよ
ぉ……………」
「腕を1本失ったぐらいで戦意を喪失し
ているようじゃ駄目よ。なんせ魔王が相
手なんだから。命を捨てる覚悟で食らい
ついてこなきゃ」
「そんな………………僕にはまだ早かった
ってことなのか」
「その歳にしては頑張った方じゃな
い?……………まぁ、でもこれで終わり
よ」
魔王は魔剣を振り上げ、シャウロフスキ
ーを一瞬悲しい表情で見つめた後、すぐ
に真顔に戻り、こう言った。
「冥土の土産に教えてあげる。私の名は
モロク………………最後の魔王よ」
直後、魔剣が勢いよくシャウロフスキー
に向かって振り下ろされた。
(くそっ!師匠にあれだけ大口を叩いた
のに!結局、このザマだ!僕は弱い!あ
の頃から何も変わってない)
シャウロフスキーは心の中で叫び、涙を
流した。彼はここで生まれて初めての挫
折を味わったのである。ラクゾで暮らし
ている時は特別、何かを感じたことはな
かった。特に変わり映えのしない毎日で
あり、いくら魔族の中では弱い種であろ
ともそれを当たり前のこととして受け入
れ、劣等感を感じたこともない。しか
し、両親が他国に連れ去られ1人で生活
していかなければならなくなった時から
何かが変わった。もう誰も守ってくれる
者はいない。そこで彼は初めて両親の有
り難みを感じたのだ。そこからの彼は周
りに舐められないように且つ目を付けら
れないよう気を付けて生きてきた。する
と途端に自身の弱さが足枷となって生活
の邪魔をしてきたのだ。そんな中で出会
ったのがシンヤ達だった。彼らはとにか
く強く逞しく、何より眩しかった。特に
シンヤは自分のやりたいように自由に生
きており、その全てに憧れたシャウロフ
スキーは弟子入りを決意したのだ。そん
な尊敬する人に叩いた大口の結果がコレ
である。側から見れば、正義感に駆ら
れ、なおかつ師匠に認められたいと意気
揚々と向かっていった者が不様に散って
いったように見えなくもない。だが、こ
んな状況になってまでも彼には掴みたい
夢があった。それは……………シンヤのよ
うになりたいというものだった。
「一体、これのどこが師匠みたいなん
だ!僕は…………僕はただ!!」
迫り来る魔剣を見つめながら、声に出し
て叫ぶシャウロフスキー。当たれば間違
いなく命はない。ところが、不思議と命
乞いのような気持ちは湧いてこなかっ
た。そこにあったのは自身の弱さからく
る悔しさとそして、もっと強くなりたい
という思い………………ただ、それだけだ
った。
「さようなら。もう少し時間があれば、
違ったかもしれないわ…………とにかく
残念ね」
魔剣を振り下ろしながら魔王………モロ
クはそう呟いた。この後の展開はどうあ
っても1つ。当事者達だけでなく誰の目
から見てもそうであることは間違いな
い………………はずであった。
「"黒蓮刀"」
「っ!?」
しかし、どこからか現れた者によってモ
ロクの魔剣は受け止められてしまった。
驚いたモロクが目の前を見てみるとそこ
には黒髪黒目の少女が刀で魔剣
を受け止めながらニヤリとした笑みを浮
かべて立っていた。
「少年!よく頑張った!ここからは私が
代わるよ!」
あまりの驚きで言葉も出ないシャウロフ
スキーに代わって、少女に最初に声を掛
けたのはモロクの方だった。
「あなた、一体……………」
「ん?あ、私?」
少女はそこで言葉を区切ると次の瞬間に
は笑顔になって、こう言った。
「私は勇者サクヤ!魔王を討つ者だよ!」
――――――――――――――――――――
モロク
性別:女 種族:魔族(忌魔種) 年齢:22歳
Lv 89
HP 6000/6000
MP 6000/6000
ATK 6666
DEF 6666
AGI 6666
INT 6666
LUK 6666
固有スキル
魔物除け・人身御供・魅了・魔の領域・金剛・火事場の馬鹿力
武技スキル
剣術:Lv.8
体術:Lv.8
魔法
火魔法 :Lv.5
水魔法 :Lv.5
土魔法 :Lv.5
風魔法 :Lv.5
氷魔法 :Lv.4
雷魔法 :Lv.4
光魔法 :Lv.2
闇魔法 :Lv.7
無魔法 :Lv.6
空間魔法:Lv.3
装備
真紅のコート(伝説級)
真紅のドレス(伝説級)
魔剣ダーインスレイブ(覇王級)
称号
古代神の加護・魔王・武に長けし者・魔法に通ずる者・M体質・断食家・悲しき者・背負いし者・光を求める者・魔物キラー・同族殺し
――――――――――――――――――――
シャウロフスキー
性別:男 種族:魔族(黒山羊種) 年
齢:10歳
Lv 30
HP 1000/1000
MP 1000/1000
ATK 789
DEF 632
AGI 512
INT 849
LUK 777
固有スキル
破拳・蹴落・魔拳闘・商才・金剛・火事
場の馬鹿力・状態異常軽減・不屈の闘
志・???
武技スキル
体術 :Lv.5
剣術 :Lv.3
短剣術:Lv.3
槍術 :Lv.3
棍術 :Lv.3
棒術 :Lv.3
斧術 :Lv.3
鎌術 :Lv.3
鞭術 :Lv.3
杖術 :Lv.3
盾術 :Lv.3
弓術 :Lv.3
魔法
火魔法 :Lv.4
水魔法 :Lv.4
土魔法 :Lv.3
風魔法 :Lv.3
氷魔法 :Lv.2
雷魔法 :Lv.2
無魔法 :Lv.5
称号
逆神の加護・憧れる者・負けず嫌い・抗
う者・格闘家・正義感に溢れる者
装備
黒龍のマント(中級)
黒龍のグローブ(上級)
――――――――――――――――――――
「まさか、あなたが魔剣を持っていると
は……………」
「これ、綺麗でしょ?苦労して手に入れ
たのよ」
「幽閉山に登ったんですか?」
「ええ。あそこは沢山の魔物が行く手を
阻んでくるでしょ?だから、自ら進んで
登る者はほとんどいないわ。でも、私に
は特殊な固有スキルがあって、あまり魔
物が近寄ってこないから登ることができ
たのよ。まぁ、とはいっても最低限の戦
闘はあったけど」
「くそっ!あともう少し早く登っていれ
ば、僕が先に魔剣を手に入れられたの
に!」
「登る?それは聞き捨てならないわね。
あそこは魔族領の中でも屈指の危険地帯
よ。AランクやBランクの魔物がゴロゴ
ロいて、頂上付近に至ってはSランクの
魔物が徘徊しているわ。そんなところを
坊やみたいなのが登れる訳ないじゃな
い」
「ふんっ!あなたは知らないでしょうが
世界にはとんでもなく強い人達がいるん
です!その人達にかかれば幽閉山なんて
楽勝ですよ!なんせ、たった2時間程で
頂上まで行ってしまうくらいですから」
「それが本当なら、その人達はとんでも
ない化け物ね。私のように特殊なスキル
を使わないのであれば、尚更ね……………
まぁ十中八九、法螺話でしょうけど」
「う、嘘じゃないですよ!本当のことで
す!」
「真相などどちらでもいいわ。それより
も私と戦うのはあなたなんでしょう?他
人の強さで威張っている場合?」
「ぐっ…………」
「くだらない話をしている暇があった
ら、この魔剣の力を肌で感じなさい」
魔王はそう言うと魔剣に魔力を込め出し
た。すると徐々にどす黒さが増し、触れ
てもいないのにシャウロフスキーは肌が
ピリピリするような感触を覚えた。
「くっ…………これはまた」
「はぁっ!"黒蝕波"!!」
「うわぁ!?」
魔王は試しとばかりに片手で魔剣を振る
い、黒い魔力の斬撃を放った。シャウロ
フスキーがそれを間一髪で避けられたの
は幸運以外の何物でもない。実際に目で
魔王の動きを捉えることができず、出鱈
目にジャンプした結果、たまたま避ける
ことに成功しただけなのだから…………
ところが
「やるじゃない。でも、これはどう?"
黒蝕斬"」
「っ!?"魔硬拳"!!」
避けた先に現れた魔王がシャウロフスキ
ー目掛けて、魔剣を振り下ろしてきた。
この予期せぬ事態にシャウロフスキーは
一瞬驚いて硬直しかけたが咄嗟に腕をク
ロスして、どうにか魔力を纏わせた。
「ぐうぅっ!」
「はっ!」
結果、何とか防ぐことはできた。しか
し…………
「っ!?"柳化頸"!!」
魔剣に触れている部分が徐々に溶け出
し、身に付けていたグローブに穴が開き
始めてしまったのだ。これには流石にそ
のまま素肌を触れさせる訳にはいかない
と感じたシャウロフスキーは咄嗟に攻撃
を受け流し、魔剣の切っ先が地面に当た
るようにして、自身はその隙に後ろへと
大きく下がった。
「っと!やるわね」
「はぁ、はぁ、はぁ」
終始余裕そうな魔王に褒められたシャウ
ロフスキーだが言い返す気力もないの
か、その場で膝に手をついて立ってい
た。そんな中、ふと自分のグローブが目
に入り、見てみるとなんと上半分が溶け
てなくなってしまっていて、それはもう
これ以上使い物にならないことを表して
いた。
「はぁ…………はぁ………………くっ」
対する魔王は本気を出す気がないのか、
小手調べ程度の力しか出しておらず、魔
剣を軽々と担いで余裕の笑みを浮かべて
いた。シャウロフスキーはそれが気に入
らないらしく、普段は感じることのない
苛立ちを覚えた。
「不満そうな顔ね。おそらく、私が本気
を出していないことが気に食わないんで
しょうけど、それは仕方ないわ。だっ
て、あなた弱いんだもの」
「っ!?くそっ!」
「これ以上はやめておきなさい。少しの
怪我じゃ済まなくなるわよ?」
再び動き出そうとしたシャウロフスキー
を制するように言う魔王。そこにはどこ
か身を案じる様子が窺えた。
「あなた、本当に魔王なんですか?僕が
聞いた魔王の人物像とはとてもじゃない
が一致しないんですが…………」
「……………」
「まぁ、あなたがどんなつもりだろうと
僕のやることは変わりません!全力で魔王を倒しにかかるだけです!」
「そう…………」
シャウロフスキーは逃げるつもりがない
ことを伝え、そこから一気に駆け出し
た。一方の魔王は一歩も動かず、ただた
だその場でシャウロフスキーの攻撃を迎
え撃った。
「"魔拳狼"!!」
「"黒蝕斬"!」
結果、真っ向から両者がぶつかり合い、
軍配が上がったのは…………魔王の方だ
った。
「ぐああああっ~~!」
迫り来る拳を軽々と避けた魔王はその勢
いのまま魔剣を振るい、シャウロフスキ
ーの右腕を半ばから切断した。すると一
気に体勢を崩したシャウロフスキーは倒
れ込み、痛みによって地面をのたうち回
った。
「だから言ったじゃない。やめておきな
さいと」
「ぐううっ…………どうして………………
あんなに修行をしたのに」
「そんなの1つしかないわ……………あな
たが私より弱いからよ」
「うううっ………………痛いよ
ぉ……………」
「腕を1本失ったぐらいで戦意を喪失し
ているようじゃ駄目よ。なんせ魔王が相
手なんだから。命を捨てる覚悟で食らい
ついてこなきゃ」
「そんな………………僕にはまだ早かった
ってことなのか」
「その歳にしては頑張った方じゃな
い?……………まぁ、でもこれで終わり
よ」
魔王は魔剣を振り上げ、シャウロフスキ
ーを一瞬悲しい表情で見つめた後、すぐ
に真顔に戻り、こう言った。
「冥土の土産に教えてあげる。私の名は
モロク………………最後の魔王よ」
直後、魔剣が勢いよくシャウロフスキー
に向かって振り下ろされた。
(くそっ!師匠にあれだけ大口を叩いた
のに!結局、このザマだ!僕は弱い!あ
の頃から何も変わってない)
シャウロフスキーは心の中で叫び、涙を
流した。彼はここで生まれて初めての挫
折を味わったのである。ラクゾで暮らし
ている時は特別、何かを感じたことはな
かった。特に変わり映えのしない毎日で
あり、いくら魔族の中では弱い種であろ
ともそれを当たり前のこととして受け入
れ、劣等感を感じたこともない。しか
し、両親が他国に連れ去られ1人で生活
していかなければならなくなった時から
何かが変わった。もう誰も守ってくれる
者はいない。そこで彼は初めて両親の有
り難みを感じたのだ。そこからの彼は周
りに舐められないように且つ目を付けら
れないよう気を付けて生きてきた。する
と途端に自身の弱さが足枷となって生活
の邪魔をしてきたのだ。そんな中で出会
ったのがシンヤ達だった。彼らはとにか
く強く逞しく、何より眩しかった。特に
シンヤは自分のやりたいように自由に生
きており、その全てに憧れたシャウロフ
スキーは弟子入りを決意したのだ。そん
な尊敬する人に叩いた大口の結果がコレ
である。側から見れば、正義感に駆ら
れ、なおかつ師匠に認められたいと意気
揚々と向かっていった者が不様に散って
いったように見えなくもない。だが、こ
んな状況になってまでも彼には掴みたい
夢があった。それは……………シンヤのよ
うになりたいというものだった。
「一体、これのどこが師匠みたいなん
だ!僕は…………僕はただ!!」
迫り来る魔剣を見つめながら、声に出し
て叫ぶシャウロフスキー。当たれば間違
いなく命はない。ところが、不思議と命
乞いのような気持ちは湧いてこなかっ
た。そこにあったのは自身の弱さからく
る悔しさとそして、もっと強くなりたい
という思い………………ただ、それだけだ
った。
「さようなら。もう少し時間があれば、
違ったかもしれないわ…………とにかく
残念ね」
魔剣を振り下ろしながら魔王………モロ
クはそう呟いた。この後の展開はどうあ
っても1つ。当事者達だけでなく誰の目
から見てもそうであることは間違いな
い………………はずであった。
「"黒蓮刀"」
「っ!?」
しかし、どこからか現れた者によってモ
ロクの魔剣は受け止められてしまった。
驚いたモロクが目の前を見てみるとそこ
には黒髪黒目の少女が刀で魔剣
を受け止めながらニヤリとした笑みを浮
かべて立っていた。
「少年!よく頑張った!ここからは私が
代わるよ!」
あまりの驚きで言葉も出ないシャウロフ
スキーに代わって、少女に最初に声を掛
けたのはモロクの方だった。
「あなた、一体……………」
「ん?あ、私?」
少女はそこで言葉を区切ると次の瞬間に
は笑顔になって、こう言った。
「私は勇者サクヤ!魔王を討つ者だよ!」
――――――――――――――――――――
モロク
性別:女 種族:魔族(忌魔種) 年齢:22歳
Lv 89
HP 6000/6000
MP 6000/6000
ATK 6666
DEF 6666
AGI 6666
INT 6666
LUK 6666
固有スキル
魔物除け・人身御供・魅了・魔の領域・金剛・火事場の馬鹿力
武技スキル
剣術:Lv.8
体術:Lv.8
魔法
火魔法 :Lv.5
水魔法 :Lv.5
土魔法 :Lv.5
風魔法 :Lv.5
氷魔法 :Lv.4
雷魔法 :Lv.4
光魔法 :Lv.2
闇魔法 :Lv.7
無魔法 :Lv.6
空間魔法:Lv.3
装備
真紅のコート(伝説級)
真紅のドレス(伝説級)
魔剣ダーインスレイブ(覇王級)
称号
古代神の加護・魔王・武に長けし者・魔法に通ずる者・M体質・断食家・悲しき者・背負いし者・光を求める者・魔物キラー・同族殺し
――――――――――――――――――――
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ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
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