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第13章 魔族領
第288話 対峙
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「シンヤっ!」
「お、イヴか。その様子だと用事は済ん
だみたいだ……………っと」
ギムラの中心にある大きな噴水。そこか
ら500m程離れた物陰にいるシンヤ
達。そこに向かって音も立てずに走って
きたイヴはその勢いのまま、シンヤに思
い切り抱きついた。
「あらあら」
「……………今回は仕方ありませんわね」
「だな」
ティアやサラ、カグヤはその光景を見
て、一瞬動きかけたがシンヤにしがみつ
き必死に震えを抑えようとするイヴに気
が付いた為、大人しく静観することに決
めた。
「ううっ…………シンヤ」
「自分ではもう大丈夫だと思っていても
知らず知らずのうちに傷を負っているも
んだ……………よく頑張ったな」
シンヤはまるで子供をあやすようにイヴ
の背中を優しく撫でた。その顔はとても
穏やかなものでイヴは思わず力を緩める
と顔を上げて、シンヤを見つめた。
「シンヤもそうなのか?」
「そうかもな……………俺の傷もまだ完全
には治っていないかもしれない」
「そうか。シンヤもか………………ふふ
っ」
「ん?どうした?」
「なんか共通点ができたみたいで嬉しい
のじゃ。いつも美味しいところはティア
に持っていかれるからのぅ」
「ちょっと、イヴ!それって、どういう
意味ですか!」
「共通点?それって、そんなに重要か?
そんなもんがなくとも俺達は仲間だ。そ
れは変わらないぞ」
「はぁ。シンヤはもう少し乙女心という
ものを学んだ方がいいのじゃ」
「は?何故そうなる?」
「シンヤのことを好いておる者は多いの
じゃ。だから、常に不安なんじゃよ。自
分だけ除け者にされておらんか。それが
共通点1つあるだけで少しは安心するん
じゃ」
「何だ、そんなことか」
「何だとはなんじゃ!妾は真剣に言って
おるのじゃぞ!いつもティアばかりずる
いのじゃ」
「安心しろ。俺はイヴ、お前のことが好
きだ………………そして、愛している。こ
れも一生変わることのないものだ」
「っ!?」
「な、な、な……………」
「ティア!しっかりするんですの!」
「お、おい。シンヤは相変わらずだな」
「何を他人事のような顔をしているん
だ?言っておくが、お前達のことも同じ
ように思っているぞ」
「「「ふへっ!?」」」
――――――――――――――――――
「師匠、見ていて下さいね」
離れたところでシンヤ達がイチャつ
き…………もとい楽しくお喋りしている
ことなどは露知らず、シャウロフスキー
はそう呟いた。ちなみにシャウロフスキ
ーがいる場所はギムラの中心にある噴水
のすぐそばであり、普段であれば多くの
魔族達で溢れ返る時間帯なのだが今は魔
王の影響で彼以外誰もいなかっ
た……………正確に言えば彼ともう1人を
除いてだが。
「どうやら国民達は無事に逃げたみたいね」
蒼い長髪を風に靡かせながら、魔族の女
は呟いた。そして、紅い瞳でシャウロフ
スキーのことを値踏みした。
「随分と他人事のように言うんですね。
あなたが原因でこうなっているんでしょ
う!」
「そうね……………で?あなたは?」
「僕の名前はシャウロフスキー!魔王で
あるお前を倒しにきた者です!」
「あなた……………そう、"黒山羊種"な
のね。まだ角が1本のところを見ると相
当幼いようだけど」
「っ!?そ、そんなこと今は関係ないじ
ゃないですか!」
「動揺を隠せていないわよ?その様子だ
ととっくに気が付いているみたいだけ
ど、"黒山羊種"って強さでいったら下
から数えた方が早いぐらいの種なのよ
ね。それでも流石に人族よりは強いけど
獣人族には勝てるか分からないわね。つ
まり、魔族の中じゃ、落ちこぼれって訳
ね」
「だ、だから何だっていうんですか!そ
んなの一般例でしょ!僕がそうとは限ら
ない!これでも修行して強くなったんで
すから!」
「あら、そう…………じゃあ、長々と話
していても仕方ないし、とっとと始めま
しょうか」
「落ちこぼれでも努力すれば、強くなれ
るってことを証明してみせます!」
「できるといいわね」
そう言うと徐に手を前にかざす魔族の
女。すると直後、禍々しい魔力が集まり
出し、数秒後には手に1本の大きな剣が
握られていた。
「っ!?そ、その剣は!」
「お察しの通り……………魔剣よ」
そこには紅く目を光らせ、妖しく笑う魔
王の姿が確かにあった。
「お、イヴか。その様子だと用事は済ん
だみたいだ……………っと」
ギムラの中心にある大きな噴水。そこか
ら500m程離れた物陰にいるシンヤ
達。そこに向かって音も立てずに走って
きたイヴはその勢いのまま、シンヤに思
い切り抱きついた。
「あらあら」
「……………今回は仕方ありませんわね」
「だな」
ティアやサラ、カグヤはその光景を見
て、一瞬動きかけたがシンヤにしがみつ
き必死に震えを抑えようとするイヴに気
が付いた為、大人しく静観することに決
めた。
「ううっ…………シンヤ」
「自分ではもう大丈夫だと思っていても
知らず知らずのうちに傷を負っているも
んだ……………よく頑張ったな」
シンヤはまるで子供をあやすようにイヴ
の背中を優しく撫でた。その顔はとても
穏やかなものでイヴは思わず力を緩める
と顔を上げて、シンヤを見つめた。
「シンヤもそうなのか?」
「そうかもな……………俺の傷もまだ完全
には治っていないかもしれない」
「そうか。シンヤもか………………ふふ
っ」
「ん?どうした?」
「なんか共通点ができたみたいで嬉しい
のじゃ。いつも美味しいところはティア
に持っていかれるからのぅ」
「ちょっと、イヴ!それって、どういう
意味ですか!」
「共通点?それって、そんなに重要か?
そんなもんがなくとも俺達は仲間だ。そ
れは変わらないぞ」
「はぁ。シンヤはもう少し乙女心という
ものを学んだ方がいいのじゃ」
「は?何故そうなる?」
「シンヤのことを好いておる者は多いの
じゃ。だから、常に不安なんじゃよ。自
分だけ除け者にされておらんか。それが
共通点1つあるだけで少しは安心するん
じゃ」
「何だ、そんなことか」
「何だとはなんじゃ!妾は真剣に言って
おるのじゃぞ!いつもティアばかりずる
いのじゃ」
「安心しろ。俺はイヴ、お前のことが好
きだ………………そして、愛している。こ
れも一生変わることのないものだ」
「っ!?」
「な、な、な……………」
「ティア!しっかりするんですの!」
「お、おい。シンヤは相変わらずだな」
「何を他人事のような顔をしているん
だ?言っておくが、お前達のことも同じ
ように思っているぞ」
「「「ふへっ!?」」」
――――――――――――――――――
「師匠、見ていて下さいね」
離れたところでシンヤ達がイチャつ
き…………もとい楽しくお喋りしている
ことなどは露知らず、シャウロフスキー
はそう呟いた。ちなみにシャウロフスキ
ーがいる場所はギムラの中心にある噴水
のすぐそばであり、普段であれば多くの
魔族達で溢れ返る時間帯なのだが今は魔
王の影響で彼以外誰もいなかっ
た……………正確に言えば彼ともう1人を
除いてだが。
「どうやら国民達は無事に逃げたみたいね」
蒼い長髪を風に靡かせながら、魔族の女
は呟いた。そして、紅い瞳でシャウロフ
スキーのことを値踏みした。
「随分と他人事のように言うんですね。
あなたが原因でこうなっているんでしょ
う!」
「そうね……………で?あなたは?」
「僕の名前はシャウロフスキー!魔王で
あるお前を倒しにきた者です!」
「あなた……………そう、"黒山羊種"な
のね。まだ角が1本のところを見ると相
当幼いようだけど」
「っ!?そ、そんなこと今は関係ないじ
ゃないですか!」
「動揺を隠せていないわよ?その様子だ
ととっくに気が付いているみたいだけ
ど、"黒山羊種"って強さでいったら下
から数えた方が早いぐらいの種なのよ
ね。それでも流石に人族よりは強いけど
獣人族には勝てるか分からないわね。つ
まり、魔族の中じゃ、落ちこぼれって訳
ね」
「だ、だから何だっていうんですか!そ
んなの一般例でしょ!僕がそうとは限ら
ない!これでも修行して強くなったんで
すから!」
「あら、そう…………じゃあ、長々と話
していても仕方ないし、とっとと始めま
しょうか」
「落ちこぼれでも努力すれば、強くなれ
るってことを証明してみせます!」
「できるといいわね」
そう言うと徐に手を前にかざす魔族の
女。すると直後、禍々しい魔力が集まり
出し、数秒後には手に1本の大きな剣が
握られていた。
「っ!?そ、その剣は!」
「お察しの通り……………魔剣よ」
そこには紅く目を光らせ、妖しく笑う魔
王の姿が確かにあった。
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