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第12章 vs聖義の剣
第255話 滑来 一
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「随分と早いな。お前らが一番だぞ」
白い修道服を着た黒髪黒眼の青年はそう
言うと後ろを振り返った。するとそこに
は黒衣を纏い、様々な得物をぶら下げた
集団が堂々と佇んでいた。そんな中でこ
れまた黒髪黒眼の青年が一歩前へと出
る。
「お前がハジメとかいうイカれた組織の
親玉だな?」
「お前にだけはイカれたとか言われたく
ないな、"黒締"よ。まさか、幹部以上
の面子を全員連れてくるとは」
「安心しろよ。お前の相手は俺がする。
こいつらは……………」
シンヤがそう続けようとした瞬間、ティ
ア達は目視で追うことも不可能な速さで
移動し、
「お前を逃がさないようにする為の保険
だ」
ハジメとシンヤの周りを取り囲んだ。と
同時に全員から凄まじい殺気が放たれ、
それがハジメ1人に集中しだした。
「これは………………なるほど。確かにそ
う簡単には逃げられそうもないな」
「だろ?だから、大人しくしていろ」
「それにしても多勢に無勢もいいところ
だな。卑怯だとは思わないか?たった1
人にこんな真似を」
「お前みたいな人間に対して卑怯も何も
あるか。それに言っただろ?お前の相手
は俺1人だと」
「ふんっ、どうだかな。劣勢だと分かる
やいなや、全員で襲い掛かってきそうだ
が」
「御託はいいから、さっさと始めるぞ。
お前に時間は使いたくない」
「同感だ。だが、その前に鍵を確認した
い。ここに来るまでに幹部を倒して手に
入れてきた筈だ」
「ん?そんなのないぞ」
「………………は?」
「だから、そんなのないって言ってんだよ」
「これは…………おかしなことが起きて
いるな。もしかして、映像の魔道具での
俺の発言を聞いていない、もしくは見て
いないのか?」
「いいや?ちゃんと見ていたし聞いてい
たぞ」
「では何故、鍵を持ってきていない?俺
は言った筈だ。"鍵を全て集めたら俺の
ところまで来い。そうしたら、俺達の目
的を教え、お前達を今ある恐怖から解放
してやる"と。」
「確かにそう言ったな。だが、俺達はお
前らの目的なんぞに興味はないし、恐怖
も感じてはいない。第一、お前の言い分
を聞いてノコノコやってきたとして、お
前が素直に約束を守るという保証はどこ
にもない」
「約束なら守るさ。俺の言ったことを忠
実に守り、ここまで辿り着いた者には今
ある恐怖からの解放………………すなわち
"死"を与えてやる」
「やっぱりな。どうせ、そんなことだろ
うと思ったわ。まぁ、どのみち俺達の行
動はどう転んでもこうなっていただろう
な」
「ん?何故だ?」
「俺達がお前の言い分に従う必要がない
からだ。俺達は自分達の思うがままに行
動する。誰にもそれを変える権利などな
い」
「ふんっ、随分と傲岸不遜な態度だな。
だが、考え無しが過ぎるんじゃないの
か?どうするんだ?"ズルをした者には
ペナルティーを与える"という裏ルール
のようなものがあったら。そうだ
な………………例えば、見せしめにどこか
の街の住人を虐殺するとかな」
「お前のような人間はおそらく理想やプ
ライドが高く完璧主義者、それでいて異
常な程、自分に自信があるタイプだ。だ
から、わざわざ魔道具で自分達の情報を
発信し、ゲームという形で挑戦者を募っ
た。そんな人間がつまらない小細工はし
ないし、ましてや裏ルールなど以ての外
だろう。それに何より、あの時のお前の
目は濁り切っていた。あれはあらゆるも
のに絶望し復讐まで考えている奴の目
だ。さしずめ、お前は待っていたんだ
ろ?試練を乗り越えて、ここまで辿り着
いた者を正面から正々堂々と叩き潰す、
その時を」
「………………やはりお前は危険な存在
だ。一体、どれほどの修羅場を潜り抜け
れば、それだけの"目"を持てる?」
「まぁ、生い立ちが少々特殊だったから
な」
「生い立ちか。それならば、俺も特殊
だ。なんせ、身分の高い家に生まれたん
だからな」
「それは……………この世界での話か?そ
れとも以前、いた世界か?」
「……………お前は一体、何を言ってい
る?」
「今の"間"、そしてお前の"表情"が
全てを物語っているな。隠し事は良くな
いぞ?……………ハジメ・コツライ、いいや"滑来・一"君」
瞬間、場の空気がガラッと変わり、雲行
きが怪しくなりだした。
白い修道服を着た黒髪黒眼の青年はそう
言うと後ろを振り返った。するとそこに
は黒衣を纏い、様々な得物をぶら下げた
集団が堂々と佇んでいた。そんな中でこ
れまた黒髪黒眼の青年が一歩前へと出
る。
「お前がハジメとかいうイカれた組織の
親玉だな?」
「お前にだけはイカれたとか言われたく
ないな、"黒締"よ。まさか、幹部以上
の面子を全員連れてくるとは」
「安心しろよ。お前の相手は俺がする。
こいつらは……………」
シンヤがそう続けようとした瞬間、ティ
ア達は目視で追うことも不可能な速さで
移動し、
「お前を逃がさないようにする為の保険
だ」
ハジメとシンヤの周りを取り囲んだ。と
同時に全員から凄まじい殺気が放たれ、
それがハジメ1人に集中しだした。
「これは………………なるほど。確かにそ
う簡単には逃げられそうもないな」
「だろ?だから、大人しくしていろ」
「それにしても多勢に無勢もいいところ
だな。卑怯だとは思わないか?たった1
人にこんな真似を」
「お前みたいな人間に対して卑怯も何も
あるか。それに言っただろ?お前の相手
は俺1人だと」
「ふんっ、どうだかな。劣勢だと分かる
やいなや、全員で襲い掛かってきそうだ
が」
「御託はいいから、さっさと始めるぞ。
お前に時間は使いたくない」
「同感だ。だが、その前に鍵を確認した
い。ここに来るまでに幹部を倒して手に
入れてきた筈だ」
「ん?そんなのないぞ」
「………………は?」
「だから、そんなのないって言ってんだよ」
「これは…………おかしなことが起きて
いるな。もしかして、映像の魔道具での
俺の発言を聞いていない、もしくは見て
いないのか?」
「いいや?ちゃんと見ていたし聞いてい
たぞ」
「では何故、鍵を持ってきていない?俺
は言った筈だ。"鍵を全て集めたら俺の
ところまで来い。そうしたら、俺達の目
的を教え、お前達を今ある恐怖から解放
してやる"と。」
「確かにそう言ったな。だが、俺達はお
前らの目的なんぞに興味はないし、恐怖
も感じてはいない。第一、お前の言い分
を聞いてノコノコやってきたとして、お
前が素直に約束を守るという保証はどこ
にもない」
「約束なら守るさ。俺の言ったことを忠
実に守り、ここまで辿り着いた者には今
ある恐怖からの解放………………すなわち
"死"を与えてやる」
「やっぱりな。どうせ、そんなことだろ
うと思ったわ。まぁ、どのみち俺達の行
動はどう転んでもこうなっていただろう
な」
「ん?何故だ?」
「俺達がお前の言い分に従う必要がない
からだ。俺達は自分達の思うがままに行
動する。誰にもそれを変える権利などな
い」
「ふんっ、随分と傲岸不遜な態度だな。
だが、考え無しが過ぎるんじゃないの
か?どうするんだ?"ズルをした者には
ペナルティーを与える"という裏ルール
のようなものがあったら。そうだ
な………………例えば、見せしめにどこか
の街の住人を虐殺するとかな」
「お前のような人間はおそらく理想やプ
ライドが高く完璧主義者、それでいて異
常な程、自分に自信があるタイプだ。だ
から、わざわざ魔道具で自分達の情報を
発信し、ゲームという形で挑戦者を募っ
た。そんな人間がつまらない小細工はし
ないし、ましてや裏ルールなど以ての外
だろう。それに何より、あの時のお前の
目は濁り切っていた。あれはあらゆるも
のに絶望し復讐まで考えている奴の目
だ。さしずめ、お前は待っていたんだ
ろ?試練を乗り越えて、ここまで辿り着
いた者を正面から正々堂々と叩き潰す、
その時を」
「………………やはりお前は危険な存在
だ。一体、どれほどの修羅場を潜り抜け
れば、それだけの"目"を持てる?」
「まぁ、生い立ちが少々特殊だったから
な」
「生い立ちか。それならば、俺も特殊
だ。なんせ、身分の高い家に生まれたん
だからな」
「それは……………この世界での話か?そ
れとも以前、いた世界か?」
「……………お前は一体、何を言ってい
る?」
「今の"間"、そしてお前の"表情"が
全てを物語っているな。隠し事は良くな
いぞ?……………ハジメ・コツライ、いいや"滑来・一"君」
瞬間、場の空気がガラッと変わり、雲行
きが怪しくなりだした。
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