235 / 416
第12章 vs聖義の剣
第235話 奇襲
しおりを挟む
ローズの故郷である"スニク"。ここは
普段、見えない結界により、外部からの
侵入を許さない隠れ里となっている。し
かし、こと今日に限って言えば、それは
例外であろう。何故なら、いきなり里の
近くに現れた白い修道服を着た集団がど
うやったのか、里の場所をピンポイント
で見抜き、あろうことか結界を特殊な武
器で以って破ってしまったのだ。
「まさか、こんなところに隠れ里がある
とはな」
「ぐふっ………」
異変に一瞬で気が付いた門番のジェイド
はもう1人の門番に里中へ危険を知らせ
に走らせた。そして、その間、彼は無言
で近付いてきた集団へ帰還を勧めたが、
これを拒否される。その後、何とか穏便
に事態を収束させようと他の方法を模索
していたところ、いきなり集団の1人に
斬りつけられ、それを皮切りに次々と攻
撃を加えられた。彼は思った。こんな危
ない集団を里へ入れては絶対ダメだ
と……………そうして意地と持ち前の戦闘
センスにより、どうにか現在まで耐え忍
んでいたという訳だった。
「さて、時間が掛かりすぎたか。ではこ
こを通してもらおう」
「いい加減、くたばりやがれよ死に損な
い~」
「次はどこを責められたいんだ~」
「ぐっ…………はぁ、はぁ。誰がお前達
のような危ない連中を里へ入れるか」
「命が惜しくないのか?」
「へっ……………くたばるのはお前達の方
だ」
「俺はつまらない冗談は大嫌いだ」
「お、クロスさんがお怒りだ」
「お前、終わったな~」
部下らしき者達の囃し立てる声と共にジ
ェイドへと向かって、2m級の大剣が振
り下ろされる。これに対し、満足そうな
笑みを浮かべたジェイドは一言こう言っ
た。
「時間切れだ」
「何?」
直後、突風が吹いた。これにより、思わ
ず目を瞑る集団。だが、大剣の勢いは止
まらない。集団の多くがジェイドの最期
を想像しながら、風が止んですぐに目を
開ける。もう剣はジェイドの息の根を止
めているはずだからと……………ところ
が、彼らは思いもよらない事態に遭遇す
ることになる。
「どうやら間に合ったようじゃの」
なんとジェイドと大剣の間に割り込み、
杖で大剣を受け止めている人物がそこに
はいたのだ。皺がいくつも刻まれ、どこ
か重厚な雰囲気を漂わせるその老人は長
く使い込まれたであろう杖を持ったま
ま、鋭い目を敵へと向ける。相当年老い
ているはずであろうがその力に衰えは見
られず、大地へとしっかり2本の足で立
つ威容は逞しさすら感じられる。全体的
に隙のないその佇まいからは実力者であ
ることが窺え、これには思わず敵も驚き
の表情を見せた。
「貴様…………何者だ?」
「ワシはこの里の長老。ただの年老いた
ジジイじゃ」
「俺はつまらない冗談が大嫌いだ。ただ
のジジイに俺の剣が受け止められる筈な
いだろ」
「はて?随分と自分の力を過信しておる
ようじゃの。お主の攻撃なんぞ、ワシの
ような老いぼれでも止められる……………
実に軽いのぅ」
「俺にはもう1つ嫌いなものがあ
る……………それは安い挑発だ」
「おっと!」
敵が勢いをつけて大剣ごと後ろに跳ん
だ。老人はその衝撃で一瞬よろめきそう
になるのを堪える。この行動の結果、お
互いがお互いをある程度離れたところか
ら視認できるような状態になった。する
と敵の大剣使いは老人を強敵として認め
ざるを得ないと感じ、改めて居住まいを
正して、こう言った。
「俺の名はクロス。"聖義の剣"第4部
隊の隊長を務めている者だ」
「ワシはシード。この里の長老じゃ」
両者、視線が交差して自然と睨み合う形
となる。他の者達は誰1人として、声を
発することもなく、事の成り行きを見守
ることしかできなかった。
「「いざ尋常に勝負!!」」
そして、今ここに1つの戦いが起きよう
としていたのだった。
普段、見えない結界により、外部からの
侵入を許さない隠れ里となっている。し
かし、こと今日に限って言えば、それは
例外であろう。何故なら、いきなり里の
近くに現れた白い修道服を着た集団がど
うやったのか、里の場所をピンポイント
で見抜き、あろうことか結界を特殊な武
器で以って破ってしまったのだ。
「まさか、こんなところに隠れ里がある
とはな」
「ぐふっ………」
異変に一瞬で気が付いた門番のジェイド
はもう1人の門番に里中へ危険を知らせ
に走らせた。そして、その間、彼は無言
で近付いてきた集団へ帰還を勧めたが、
これを拒否される。その後、何とか穏便
に事態を収束させようと他の方法を模索
していたところ、いきなり集団の1人に
斬りつけられ、それを皮切りに次々と攻
撃を加えられた。彼は思った。こんな危
ない集団を里へ入れては絶対ダメだ
と……………そうして意地と持ち前の戦闘
センスにより、どうにか現在まで耐え忍
んでいたという訳だった。
「さて、時間が掛かりすぎたか。ではこ
こを通してもらおう」
「いい加減、くたばりやがれよ死に損な
い~」
「次はどこを責められたいんだ~」
「ぐっ…………はぁ、はぁ。誰がお前達
のような危ない連中を里へ入れるか」
「命が惜しくないのか?」
「へっ……………くたばるのはお前達の方
だ」
「俺はつまらない冗談は大嫌いだ」
「お、クロスさんがお怒りだ」
「お前、終わったな~」
部下らしき者達の囃し立てる声と共にジ
ェイドへと向かって、2m級の大剣が振
り下ろされる。これに対し、満足そうな
笑みを浮かべたジェイドは一言こう言っ
た。
「時間切れだ」
「何?」
直後、突風が吹いた。これにより、思わ
ず目を瞑る集団。だが、大剣の勢いは止
まらない。集団の多くがジェイドの最期
を想像しながら、風が止んですぐに目を
開ける。もう剣はジェイドの息の根を止
めているはずだからと……………ところ
が、彼らは思いもよらない事態に遭遇す
ることになる。
「どうやら間に合ったようじゃの」
なんとジェイドと大剣の間に割り込み、
杖で大剣を受け止めている人物がそこに
はいたのだ。皺がいくつも刻まれ、どこ
か重厚な雰囲気を漂わせるその老人は長
く使い込まれたであろう杖を持ったま
ま、鋭い目を敵へと向ける。相当年老い
ているはずであろうがその力に衰えは見
られず、大地へとしっかり2本の足で立
つ威容は逞しさすら感じられる。全体的
に隙のないその佇まいからは実力者であ
ることが窺え、これには思わず敵も驚き
の表情を見せた。
「貴様…………何者だ?」
「ワシはこの里の長老。ただの年老いた
ジジイじゃ」
「俺はつまらない冗談が大嫌いだ。ただ
のジジイに俺の剣が受け止められる筈な
いだろ」
「はて?随分と自分の力を過信しておる
ようじゃの。お主の攻撃なんぞ、ワシの
ような老いぼれでも止められる……………
実に軽いのぅ」
「俺にはもう1つ嫌いなものがあ
る……………それは安い挑発だ」
「おっと!」
敵が勢いをつけて大剣ごと後ろに跳ん
だ。老人はその衝撃で一瞬よろめきそう
になるのを堪える。この行動の結果、お
互いがお互いをある程度離れたところか
ら視認できるような状態になった。する
と敵の大剣使いは老人を強敵として認め
ざるを得ないと感じ、改めて居住まいを
正して、こう言った。
「俺の名はクロス。"聖義の剣"第4部
隊の隊長を務めている者だ」
「ワシはシード。この里の長老じゃ」
両者、視線が交差して自然と睨み合う形
となる。他の者達は誰1人として、声を
発することもなく、事の成り行きを見守
ることしかできなかった。
「「いざ尋常に勝負!!」」
そして、今ここに1つの戦いが起きよう
としていたのだった。
0
お気に入りに追加
577
あなたにおすすめの小説
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる