俺は善人にはなれない

気衒い

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第10章 セントラル魔法学院

第196話 軍団会議

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「遅れました~」

「遅い!今まで一体、どこをほっつき歩いていたんだ!」

「さーせん」

「それが謝罪する者の態度か!」

「まぁ、落ち着けよ」

「し、しかし!」

「お前の気持ちも分からんでもないが、その自由さがギヴンの良いところでもある。だから許してやれ」

「ぐっ……………は、はい。おい、ギヴン!これ以上、失礼なことをしたら許さないからな!お前も今日が大事な日だということは分かっているはずだ」

「分かってますって~ブレス様の温情に感謝~」

「くっ…………頼むから、これ以上余計なことを言って俺の顔に泥を塗らんでくれ」

「了解っす!マスター!」

「コホンッ。では全員揃ったようなので今から"軍団会議レミット"を始めたいと思います。本日、進行を務めさせて頂くスフラです。よろしくお願い致します」

「は~い!よろしくっす!」

「ギヴン!」

「落ち着けって。いいじゃねぇか。威勢があって」

「で、ですが!」

「俺がいいって言ってんだから、いいんだよ。それに何かあったら、ちゃんとクランマスターであるお前が責任取ってくれるんだろ?」

「それはそうですが…………」

「それにこんな一返事にいちいち突っ掛かってたら、身が持たねぇぞ。あいつ、この後もずっとこんな調子だろうしな」

「……………分かりました。ブレス様のお言葉に甘えさせてもらいます」

「おぅよ!っとスフラ、悪かったな。続けてくれ」

「はい。では続けさせて頂きます。今回の会議ですが議題の重要度を鑑みて、傘下の全クランのマスターと幹部の方々にお集まり頂きました。本日はお忙しい中、ご足労ありがとうございます」

「別にいいっすよ!ちょうど暇してたんで!」

「ぐっ…………」

「今回の議題内容ですが、とある軍団レギオンに関するものです」

「とある………」

軍団レギオン…………?」

「皆さんは"黒の系譜"という軍団レギオンをご存知ですか?」

「いや、知っているも何も今、着実に知名度と実力を伸ばしている軍団レギオンですよね?」

「同業者ならば一度は耳に入っていてもおかしくはない。それがたとえ遠くにいたとしてもな」

「なんせ、あの英雄がトップにいる軍団レギオンですからね」

「そうです。皆さんが仰った通り、現在最も注目を集めているといっても過言ではない軍団レギオンです」

「で、それがどうかしたんですか?」

「……………彼らは日々進化しています。それは何も"黒締"や"銀狼"・"金耳"だけではありません。幹部はもちろんのこと、それより下のクランメンバーですら、個々の戦闘力は凄まじいものがあります。そして、傘下もまたそこに触発されたのか、実力をつけ、各地で大活躍を果しているようです」

「な、なるほど」

「我々はこの状況に対して、もう少し真剣に考えた方がいいのではないか……………ブレス様はそのように仰いました。その結果、出てきた答えが」

「あいつらをぶっ潰すってことだ」

「えっ!?」

「なっ!?」

「楽しくなってきたっすね~」

「正気ですか!?」

「ああ。冗談でもなんでもねぇ。この考えに賛同できない、もしくは恐怖から尻尾を巻いて逃げ出したいって奴は名乗りでろ」

「えっ」

「じ、じゃあ…………」

「そういう奴は今すぐ傘下を降りてもらう」

「う、嘘だろ!?」

「何っ!?」

「そんな生温い関係じゃねぇだろ、俺達は。甘い汁だけ吸えるなんて思ったら、大間違いだ」

「「「「「………………」」」」」

「じゃあ、覚悟のできた奴からこの書類にサインしろ。より詳しいこともその時に話す。準備も色々と大変だろうからなぁ」

 男はそこで部屋中をぐるりと見回してから、少し間をおいて、こう言った。



「本当に楽しみだ……………調子に乗ったあいつらを完膚なきまでに潰す、その時が」
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