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第10章 セントラル魔法学院
第184話 一悶着
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「だから、ここにはいねぇって言ってんの。諦めな」
「マジかよ…………わざわざ、こんな辺境にまで足を運んだのにすれ違いとかないぜ」
フリーダムにある"黒天の星"クランハウスの会議室。現在、ここには幹部と副長が4人ずつおり、とある珍客を出迎えていた。代表して、カグヤが話を聞くことになった為、彼女は席に着いていたが他の幹部は思い思いの場所で寛ぎ、副長に至っては扉の近くで待機している状況だ。そして、そんなカグヤ達の目線の先にいる珍客というのは……………
「タイミングが悪かったようだな、ルクス」
「出直そうか」
それぞれが"鋼帝"、"雲海"、"炎剣"という二つ名を持つ元世界最高ランクの冒険者達であった。彼らは癖が強いことで有名で3人まとめて"三凶"とも呼ばれている。そんな彼らが一体、何故こんなところにいるのか。その理由はたった1つだけだった。
「俺達はシンヤ・モリタニに会いに来たんだよ。会って奴の強さを確かめたいんだ」
「何度も聞いたっての。でも、いないもんはしょうがないだろ」
「だからって、このまま引き下がれるかよ。そもそも拠点にクラマスはおろか副マスターすら、いないのは不用心すぎるだろ」
「代わりにアタシらがいる」
「ほぅ?じゃあ、お前達がシンヤ・モリタニの代わりになるとでも?」
「何が言いたい」
「俺達としては奴がいないのは非常に残念だ。だがな……………正直、今はお前達でもいいんじゃないかと思ってる」
「あ?」
その瞬間、3人から発された殺気が部屋中を駆け巡った。そして、それは当然、カグヤ達にも襲いかかり、押し潰さんとした。3人にとって、本命を逃したのは非常に悔やまれるが代わりにここにはSSランクの幹部が4人もいるのだ。おそらく、自分達には遠く及ばないながらも一体どのように抗ってみせるのか、この後の展開を楽しみに……………する余裕などは一切なかった。
「っ!?」
「な、何だこの殺気は!?」
「ば、馬鹿な!?そこにいる副長とやらですら……………」
「で?何て言ったんだっけ?」
「ぐっ…………」
「お、俺達が悪かった。だから、殺気を抑えてくれると助かる」
「し、信じられない。幹部1人で僕ら全員分のよりも上回ってる………………こんなの勝ち目がある訳ない」
「その通りだ。もし、これでお前達が手を出してきていたら、生きて返すことはなかった。命拾い、したな」
「くそっ!その自信がある物言い、腹立つぜ!」
「しかもタチの悪いことに一切油断をしていない」
「死角なしか」
数分後、肩を落とした彼らは会議室を出て行った。自信とプライドをズタズタにされた彼らは少し慢心気味だった自分達を戒め、とても反省した。その後、廊下ですれ違う"黒天の星"のクランメンバーをチラリと見てから、それぞれが同じタイミングで顔を突き合わせた。
「予想外だったな」
「ああ。だが、こうなるヒントは転がってたな」
「だね。こうしてすれ違う人達をちゃんと見ていたら、気付いたかもね。とてもAランクとは思えないのがゴロゴロいる……………となるとその上はどうなっているのか」
「……………おい、この後、ちょっと付き合え」
「まさか、お前」
「嫌な予感」
1人だけ違う温度感を纏った男はブツブツと呟きながら、進んでいく。
「もっともっと強くならねぇと」
2人はそれに対して、やれやれという感じで着いていった。この日の出来事がより一層彼らに火をつける程、大きな影響を与えたのは間違いなかった。
「マジかよ…………わざわざ、こんな辺境にまで足を運んだのにすれ違いとかないぜ」
フリーダムにある"黒天の星"クランハウスの会議室。現在、ここには幹部と副長が4人ずつおり、とある珍客を出迎えていた。代表して、カグヤが話を聞くことになった為、彼女は席に着いていたが他の幹部は思い思いの場所で寛ぎ、副長に至っては扉の近くで待機している状況だ。そして、そんなカグヤ達の目線の先にいる珍客というのは……………
「タイミングが悪かったようだな、ルクス」
「出直そうか」
それぞれが"鋼帝"、"雲海"、"炎剣"という二つ名を持つ元世界最高ランクの冒険者達であった。彼らは癖が強いことで有名で3人まとめて"三凶"とも呼ばれている。そんな彼らが一体、何故こんなところにいるのか。その理由はたった1つだけだった。
「俺達はシンヤ・モリタニに会いに来たんだよ。会って奴の強さを確かめたいんだ」
「何度も聞いたっての。でも、いないもんはしょうがないだろ」
「だからって、このまま引き下がれるかよ。そもそも拠点にクラマスはおろか副マスターすら、いないのは不用心すぎるだろ」
「代わりにアタシらがいる」
「ほぅ?じゃあ、お前達がシンヤ・モリタニの代わりになるとでも?」
「何が言いたい」
「俺達としては奴がいないのは非常に残念だ。だがな……………正直、今はお前達でもいいんじゃないかと思ってる」
「あ?」
その瞬間、3人から発された殺気が部屋中を駆け巡った。そして、それは当然、カグヤ達にも襲いかかり、押し潰さんとした。3人にとって、本命を逃したのは非常に悔やまれるが代わりにここにはSSランクの幹部が4人もいるのだ。おそらく、自分達には遠く及ばないながらも一体どのように抗ってみせるのか、この後の展開を楽しみに……………する余裕などは一切なかった。
「っ!?」
「な、何だこの殺気は!?」
「ば、馬鹿な!?そこにいる副長とやらですら……………」
「で?何て言ったんだっけ?」
「ぐっ…………」
「お、俺達が悪かった。だから、殺気を抑えてくれると助かる」
「し、信じられない。幹部1人で僕ら全員分のよりも上回ってる………………こんなの勝ち目がある訳ない」
「その通りだ。もし、これでお前達が手を出してきていたら、生きて返すことはなかった。命拾い、したな」
「くそっ!その自信がある物言い、腹立つぜ!」
「しかもタチの悪いことに一切油断をしていない」
「死角なしか」
数分後、肩を落とした彼らは会議室を出て行った。自信とプライドをズタズタにされた彼らは少し慢心気味だった自分達を戒め、とても反省した。その後、廊下ですれ違う"黒天の星"のクランメンバーをチラリと見てから、それぞれが同じタイミングで顔を突き合わせた。
「予想外だったな」
「ああ。だが、こうなるヒントは転がってたな」
「だね。こうしてすれ違う人達をちゃんと見ていたら、気付いたかもね。とてもAランクとは思えないのがゴロゴロいる……………となるとその上はどうなっているのか」
「……………おい、この後、ちょっと付き合え」
「まさか、お前」
「嫌な予感」
1人だけ違う温度感を纏った男はブツブツと呟きながら、進んでいく。
「もっともっと強くならねぇと」
2人はそれに対して、やれやれという感じで着いていった。この日の出来事がより一層彼らに火をつける程、大きな影響を与えたのは間違いなかった。
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