171 / 416
第10章 セントラル魔法学院
第171話 初出勤
しおりを挟む
「俺達はクラン"黒天の星"の者達だ。この度、セントラル魔法学院の理事長ネバダ・クウォーターの依頼により、ここを訪れた。確認を頼む」
カンパル王国に到着してから1時間後、俺達はセントラル魔法学院の門前にいた。学院の敷地内に入る際、警備員によって身分証の確認が行われた後、素性とどのような要件でやってきたのかを尋ねられた。それに対し、簡潔に答えた俺達は理事長へ魔道具で確認を取ると言った警備員の返答を待っていた。そこから少ししてこちらを振り向いた警備員はこう言った。
「大変お待たせ致しました。ただいま確認が取れましたので通って頂いて結構です」
「ああ。手間をかけたな」
「いえいえ!……………あ、ち、ちょっとお待ち下さい!」
「ん?」
「あの、非常に申し上げ難いのですが…………今、私が申し上げたのは人族の方々に対してでして、それ以外の方々は」
「何だ?理事長に人族以外を通すなとでも言われたのか?」
「いえ…………」
「じゃあ問題ないな」
「あ、ちょっ、ちょっと!」
「これ以上は無駄な話し合いだ。俺達がここまで辿り着けている時点でお察しだろ」
――――――――――――――――――――
「ようこそ!お待ち申し上げておりました」
「待たせたな。フリーダムから結構、距離があったがネバダも来る時、大変だっただろ?」
「いえいえ!とんでもございません!その間にも色々と勉強になることが満載でした。こちらの方こそ、ありがとうございます!」
「そう言って頂けて何よりだ。それにしてもこの王国に入って、人族至上主義の洗礼を受けたんだが…………何だあれ?」
「非常にお恥ずかしい限りです。皆様、申し訳ございません」
「いや、お前が謝る必要はないだろ。ってか、お前はそっち側じゃないんだな」
「ええ、少し訳がありまして……………とにかく、"黒天の星"の皆様ならば大丈夫だろうと高を括ったが為に不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした……………まさか、誰彼構わずとは思いも寄らなかったです」
「いや、こっちは大丈夫だ。特に被害があった訳ではないからな」
「そうですか。それは良かったです」
その後、少し雑談を交わした俺達は教師陣に軽い自己紹介をして欲しいと頼まれ、理事長室を出て、職員室へと向かった。
「え~皆様、こちらが本日より特別講師としておいで下さったクラン"黒天の星"の方々です」
「俺はシンヤ・モリタニ。冒険者をしていて、"黒天の星"のクランマスターを務めている。全員だと時間が掛かる為、代表して俺が挨拶をさせてもらう。まず、お前達に言いたいことが2つある。1つ目は俺達が担当する授業に一切の口出しをするな。そして、2つ目が俺達の邪魔をするな………だ。今回、正式な依頼という形で俺達はこの学院に足を運んでいる。お前達の感情がどうであれ、それを邪魔する権利はお前達にはない。あと講師の年齢が生徒と変わらないとかいうくだらないいちゃもんも一切受け付けない。この世界では実力が全てだ。実際、若くても強い奴はゴロゴロいる。まぁ、そんなことすら分かっていない奴がこの中にいるとは思えないが。とにかく、今日から少しの間、よろしく頼む」
「「「「「よろしくお願い致します」」」」」
俺の後に続けて、クランメンバーも軽く挨拶をする。いきなり色々と言ったからか、少し戸惑いの空気が場を支配していたが1人が拍手をすると徐々にそれが広がっていった。しかし……………
「み、認めないぞ!私は絶対に!」
「キルギス!あなた、何を」
理事長にキルギスと呼ばれた金髪の痩せ型の男は俺達を忌々しく睨みつけながら、こう言った。
「たかが冒険者風情が何を偉そうにほざいている!しかもこんなに他種族を引き連れて!よくもまぁ、入国できたものだな!汚らわしい!今すぐ、そのゴミ共々…………」
「今、なんて言った?」
「ひっ!?」
俺は音も気配もなく、その男の後ろに立つと刀を首に当て、軽く殺気を出した。
「さっき言ったよな?俺達の邪魔をするなって………………次はないぞ」
「は、はい!す、すみませんでした!」
俺はそこから先程の位置までゆっくりと歩いて戻り、振り返ってからこう言った。
「まぁ、心配せずとも依頼はキッチリとこなすから黙って見ててくれ」
他種族のクランメンバーに対する視線は相変わらずなものではあったが、ほとんどの教師達がとりあえずは様子見という姿勢でいくらしい。ただ1人……………その目に暗い炎を宿した険しい表情の男を除いては。
カンパル王国に到着してから1時間後、俺達はセントラル魔法学院の門前にいた。学院の敷地内に入る際、警備員によって身分証の確認が行われた後、素性とどのような要件でやってきたのかを尋ねられた。それに対し、簡潔に答えた俺達は理事長へ魔道具で確認を取ると言った警備員の返答を待っていた。そこから少ししてこちらを振り向いた警備員はこう言った。
「大変お待たせ致しました。ただいま確認が取れましたので通って頂いて結構です」
「ああ。手間をかけたな」
「いえいえ!……………あ、ち、ちょっとお待ち下さい!」
「ん?」
「あの、非常に申し上げ難いのですが…………今、私が申し上げたのは人族の方々に対してでして、それ以外の方々は」
「何だ?理事長に人族以外を通すなとでも言われたのか?」
「いえ…………」
「じゃあ問題ないな」
「あ、ちょっ、ちょっと!」
「これ以上は無駄な話し合いだ。俺達がここまで辿り着けている時点でお察しだろ」
――――――――――――――――――――
「ようこそ!お待ち申し上げておりました」
「待たせたな。フリーダムから結構、距離があったがネバダも来る時、大変だっただろ?」
「いえいえ!とんでもございません!その間にも色々と勉強になることが満載でした。こちらの方こそ、ありがとうございます!」
「そう言って頂けて何よりだ。それにしてもこの王国に入って、人族至上主義の洗礼を受けたんだが…………何だあれ?」
「非常にお恥ずかしい限りです。皆様、申し訳ございません」
「いや、お前が謝る必要はないだろ。ってか、お前はそっち側じゃないんだな」
「ええ、少し訳がありまして……………とにかく、"黒天の星"の皆様ならば大丈夫だろうと高を括ったが為に不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした……………まさか、誰彼構わずとは思いも寄らなかったです」
「いや、こっちは大丈夫だ。特に被害があった訳ではないからな」
「そうですか。それは良かったです」
その後、少し雑談を交わした俺達は教師陣に軽い自己紹介をして欲しいと頼まれ、理事長室を出て、職員室へと向かった。
「え~皆様、こちらが本日より特別講師としておいで下さったクラン"黒天の星"の方々です」
「俺はシンヤ・モリタニ。冒険者をしていて、"黒天の星"のクランマスターを務めている。全員だと時間が掛かる為、代表して俺が挨拶をさせてもらう。まず、お前達に言いたいことが2つある。1つ目は俺達が担当する授業に一切の口出しをするな。そして、2つ目が俺達の邪魔をするな………だ。今回、正式な依頼という形で俺達はこの学院に足を運んでいる。お前達の感情がどうであれ、それを邪魔する権利はお前達にはない。あと講師の年齢が生徒と変わらないとかいうくだらないいちゃもんも一切受け付けない。この世界では実力が全てだ。実際、若くても強い奴はゴロゴロいる。まぁ、そんなことすら分かっていない奴がこの中にいるとは思えないが。とにかく、今日から少しの間、よろしく頼む」
「「「「「よろしくお願い致します」」」」」
俺の後に続けて、クランメンバーも軽く挨拶をする。いきなり色々と言ったからか、少し戸惑いの空気が場を支配していたが1人が拍手をすると徐々にそれが広がっていった。しかし……………
「み、認めないぞ!私は絶対に!」
「キルギス!あなた、何を」
理事長にキルギスと呼ばれた金髪の痩せ型の男は俺達を忌々しく睨みつけながら、こう言った。
「たかが冒険者風情が何を偉そうにほざいている!しかもこんなに他種族を引き連れて!よくもまぁ、入国できたものだな!汚らわしい!今すぐ、そのゴミ共々…………」
「今、なんて言った?」
「ひっ!?」
俺は音も気配もなく、その男の後ろに立つと刀を首に当て、軽く殺気を出した。
「さっき言ったよな?俺達の邪魔をするなって………………次はないぞ」
「は、はい!す、すみませんでした!」
俺はそこから先程の位置までゆっくりと歩いて戻り、振り返ってからこう言った。
「まぁ、心配せずとも依頼はキッチリとこなすから黙って見ててくれ」
他種族のクランメンバーに対する視線は相変わらずなものではあったが、ほとんどの教師達がとりあえずは様子見という姿勢でいくらしい。ただ1人……………その目に暗い炎を宿した険しい表情の男を除いては。
0
お気に入りに追加
577
あなたにおすすめの小説
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる