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第10章 セントラル魔法学院
第165話 北上
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「じゃあ、後のことは任せたぞ」
「おうよ!こっちのことは気にせず、楽しんできてくれ」
「いい土産を期待してるのじゃ」
「事業のことも気にすんな。俺達が交代で手伝うからな」
「シンヤにしか対応できないのが来たら、保留にしとくわ」
シンヤ達がフリーダムへと帰還してから2週間が経ち、いよいよカンパル王国へ向けて出発する日がやってきた。この間に新人のクランメンバーの教育・事業の視察・傘下クランとのやり取りなどやることは尽きなかったが超効率化した動きによって、どんどんと仕事を終わらせていった。また溜まっている依頼にも全て目を通し、クランメンバーに振り分けたり、却下したり、帰ってきてから取り掛かれそうなものに至っては保留にした。本来は依頼主がギルドへと依頼し、それを受けるのが冒険者としてあるべき姿なのかもしれないが稀に有名なクランや軍団に対してギルドを介さず直接、依頼をしてくる者もいる。ギルド側としては仲介手数料が主な収入源となっている為、冒険者と依頼主が直接やり取りをするのはあまり良い顔をしないと思われがちだが決してそんなことはない。ギルドが設けた規約には直接依頼の禁止という項目は存在さず、また下手にそれを禁止して高ランク冒険者の機嫌を損ねてしまい拠点を変えるなどの損害を被ることを考えれば、咎める気など最初から起きないのである。だから、こうして"黒天の星"には日夜、依頼が舞い込んでくるのだ。ちなみに"黒の系譜"に対しても依頼がくるのだが、その場合は希望する傘下クランへと回したりしている。依頼主側からすれば1つのクランに依頼をしても断られる可能性がある為、軍団に対して依頼を出すこともある。そうすれば、傘下クランのどこかしらが引き受けてくれるかもしれない。しかもこと"黒の系譜"に至っては世界を救った英雄が所属しているのだ。当然、その英雄が選んだ傘下クランにも期待が寄せられるというものである。
「じゃあ行ってくるわ」
「留守の間は頼みましたよ」
「無理だけはなさらぬようにね」
出発の時が訪れ、シンヤ・ティア・サラは三者三様の言葉を残し、同行するメンバー達を伴ってクランハウスの敷地内から外に出た。そこから少し歩き、振り返ると見送りのメンバー達は未だにその場を動かず、手を振りながら
「「「「「行ってらっしゃい!!!!!」」」」」
と大きな声で送り出してくれていた。
――――――――――――――――――――
「やっぱり運転はいいね」
「だろう?練習ではこんな道、走らなかったから余計に楽しく感じるだろ」
「うん。普段、歩きや馬車で通るような道を車で走ると爽快感があるね」
前回の依頼の時と同様、今回も事前に同行するメンバー達には車の運転の練習をさせていた。するとやはりというべきか、すぐにコツを覚え、運転を楽しむようになっていった。その為、ハンドルの取り合いにならないよう交代で運転することに決め、結果的に最初はニーベルが務めることになったのだ。
「シンヤ、進路は?」
「このまま真っ直ぐ北上する。何か面白いものを見つけたり、トラブルが起こらない限り、止まることはないだろう」
「ちなみにあれは?」
ニーベルはここから少し進んだ先の方に見える光景を目で示しながら言った。ソワソワとしているメンバー達は既にそこに気が付き、一部自分の武器を撫で回している者もいる。シンヤはチラッと全員の様子を見ながら、こう言った。
「とりあえず、近くで止まって様子を窺おう。話はそれからだ」
「おうよ!こっちのことは気にせず、楽しんできてくれ」
「いい土産を期待してるのじゃ」
「事業のことも気にすんな。俺達が交代で手伝うからな」
「シンヤにしか対応できないのが来たら、保留にしとくわ」
シンヤ達がフリーダムへと帰還してから2週間が経ち、いよいよカンパル王国へ向けて出発する日がやってきた。この間に新人のクランメンバーの教育・事業の視察・傘下クランとのやり取りなどやることは尽きなかったが超効率化した動きによって、どんどんと仕事を終わらせていった。また溜まっている依頼にも全て目を通し、クランメンバーに振り分けたり、却下したり、帰ってきてから取り掛かれそうなものに至っては保留にした。本来は依頼主がギルドへと依頼し、それを受けるのが冒険者としてあるべき姿なのかもしれないが稀に有名なクランや軍団に対してギルドを介さず直接、依頼をしてくる者もいる。ギルド側としては仲介手数料が主な収入源となっている為、冒険者と依頼主が直接やり取りをするのはあまり良い顔をしないと思われがちだが決してそんなことはない。ギルドが設けた規約には直接依頼の禁止という項目は存在さず、また下手にそれを禁止して高ランク冒険者の機嫌を損ねてしまい拠点を変えるなどの損害を被ることを考えれば、咎める気など最初から起きないのである。だから、こうして"黒天の星"には日夜、依頼が舞い込んでくるのだ。ちなみに"黒の系譜"に対しても依頼がくるのだが、その場合は希望する傘下クランへと回したりしている。依頼主側からすれば1つのクランに依頼をしても断られる可能性がある為、軍団に対して依頼を出すこともある。そうすれば、傘下クランのどこかしらが引き受けてくれるかもしれない。しかもこと"黒の系譜"に至っては世界を救った英雄が所属しているのだ。当然、その英雄が選んだ傘下クランにも期待が寄せられるというものである。
「じゃあ行ってくるわ」
「留守の間は頼みましたよ」
「無理だけはなさらぬようにね」
出発の時が訪れ、シンヤ・ティア・サラは三者三様の言葉を残し、同行するメンバー達を伴ってクランハウスの敷地内から外に出た。そこから少し歩き、振り返ると見送りのメンバー達は未だにその場を動かず、手を振りながら
「「「「「行ってらっしゃい!!!!!」」」」」
と大きな声で送り出してくれていた。
――――――――――――――――――――
「やっぱり運転はいいね」
「だろう?練習ではこんな道、走らなかったから余計に楽しく感じるだろ」
「うん。普段、歩きや馬車で通るような道を車で走ると爽快感があるね」
前回の依頼の時と同様、今回も事前に同行するメンバー達には車の運転の練習をさせていた。するとやはりというべきか、すぐにコツを覚え、運転を楽しむようになっていった。その為、ハンドルの取り合いにならないよう交代で運転することに決め、結果的に最初はニーベルが務めることになったのだ。
「シンヤ、進路は?」
「このまま真っ直ぐ北上する。何か面白いものを見つけたり、トラブルが起こらない限り、止まることはないだろう」
「ちなみにあれは?」
ニーベルはここから少し進んだ先の方に見える光景を目で示しながら言った。ソワソワとしているメンバー達は既にそこに気が付き、一部自分の武器を撫で回している者もいる。シンヤはチラッと全員の様子を見ながら、こう言った。
「とりあえず、近くで止まって様子を窺おう。話はそれからだ」
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