俺は善人にはなれない

気衒い

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第10章 セントラル魔法学院

第159話 新人

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それはフリーダムへと帰還した翌日の朝、俺達がいない間に訪問してきた者達の報告をティアとサラから受けていた時のことだった。

「ん?カンパル王国から使者が?」

「はい。どうやら、こういった内容の依頼らしく」

「……………なるほどな」

「私も見せて頂いて、これはシンヤさんの判断を仰いだ方がいいと思いましたの」

「それで正解だな。これはリースの時とは明らかにテイストが違う。即決する訳にはいかないからな……………少し考えさせてくれ」

「「はい」」

「じゃあ今日は予定通り、これから会議室にて皆に新人達を紹介しよう」

「かしこまりました」

「既に全員が揃っていることは確認済みですわ」

「よし、では向かうぞ」






――――――――――――――――――――






「おはよう。こんな朝早くから集まってもらったのは他でもない。昨日も伝えた通り、今から我がクランに入ったばかりの新人達を紹介したいと思う。しかし、入ったばかりで緊張している者もいるだろう。だから、早めに慣れてもらう意味でもこの時間での紹介にさせてもらった」

そこまで言ってから、シンヤは周りを見渡した。皆、静かにシンヤの言葉を聞いているようだが、心の中ではワクワクしているのだろう。それらが全て顔に表れていた。

「では早速、本題に入らせてもらう。まず1人目の加入者は………………リース・フォレストだ。彼女がフォレスト国の王女であるということと今回の依頼の顛末は事前に伝えた通りだ。その後、俺達と行動を共にすることを選んだ彼女はクラン"黒天の星"へと加入することとなった。一応、新人という扱いではあるが既に1ヶ月間、ここで生活をしている経歴がある。よって、リースを一組員としてではなく、従魔部隊の隊長として配属させることになった。これは彼女の熟練度と何よりも固有スキルとの親和性を考えた結果である。皆、これからよろしく頼む」

「リース・フォレストです。再び、皆さんと共に過ごせることを幸せに思います。これからもよろしくお願い致します」

「「「「「リース、よろしく!!!!!」」」」」

「次にセバスだ。彼はリースが第三王子として城に迎え入れられた頃から彼女の専属執事として、仕えてきた歴戦の猛者だ。元から戦闘力は高かったがリース同様、1ヶ月の共同生活を経て、より強さを増した。彼もまたクランへ加入し、従魔部隊の副隊長として配属することになった。これから、よろしく頼む」

「ご紹介に預かりました。セバスでございます。また皆様とご一緒させて頂けること、大変嬉しく思っております。これからもご迷惑を多々おかけすることになるかとは思いますが、どうぞよろしくお願い致します」

「「「「「セバスさん、よろしく!!!!!」」」」」

「最後はまとめての紹介となる。フォレスト国からの帰りの途中で偶然出会った者達だ。彼女達はとある小さな村出身でこの度、冒険者を志し、村を出てきたばかりだ。本当の意味での新人であり、まだ冒険者活動自体、したことがない。しかし、意気込みは大したもんだった。俺の課した試練を死に物狂いで乗り越え、今この場に立っている。争いのない平和な村でしか過ごしてこなかった彼女達にとって、それはどれほど辛いことだったのか。いずれ、彼女達は化け、頭角を現してくるだろう。皆も気を抜かないよう、励んでくれ………………ちなみにそんな期待の新人達がこちらだ。カーラ、ニナ、シスター、ルーン、ノール、モモ。以上、6名。これから、色々と教えてやってくれ」

「カーラと申します。皆様のお時間を奪ってしまう訳には参りませんので代表して、私がご挨拶させて頂きます。この度は世間知らずな私達を快く受け入れて下さり、誠にありがとうございます。そして、冒険者の活動自体が初めてなこと故、これからご迷惑をおかけすることになるのをお許し下さい。必ずや、皆様のお役に立てるよう、1日でも早く成長していきたいと思っておりますのでどうか温かい目で接して頂けると幸いでございます。とうぞ、これからよろしくお願い致します!」

「「「「「よろしくお願い致します!!!!!」」」」」

「「「「「よろしく!!!!!」」」」」

「彼女達には色々な組での研修を行ってもらい、それを通してレベルアップしてもらいたいと思っている。そして、最終的にどこに配属するかを決めるんだが、それがいつになるのかはまだ未定だ。だから、一緒になったら、色々と叩き込んでやって欲しい。もちろん、俺が指導に参加することもあるから、そのつもりでよろしく。今日は朝早くから、すまなかったな。そして、集まってくれて感謝する……………では解散」

フリーダムへと帰還した次の日からはまた新しい日々が始まる。新人も加入したことでやることは増えたができることの幅もまた広がった。大小を問わず、変化が生じることでクランメンバー達の士気にも大きな影響を与えている。これより、さらにクランの名声を守る為、慢心せず常に警戒心を持って精力的な活動をしようと各々が決意を新たに進み出したのだった。
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