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第9章 フォレスト国
第144話 王の間
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フォレスト城。普段、関係者以外は決して近くで見ることが叶わず、その敷地内にすら入ることのできない厳重な警備の張り巡らされた大きな城である。そんなフォレスト国の象徴である建造物の周りを現在、多くの国民達が取り囲んでいた。誰もが焦る気持ちを抑え、固唾を呑んである一点を見つめていた。その先にあるのは映像の魔道具であり、これから、そこには邪神を滅ぼし世界を救った英雄とフォレスト国の王による余興の一部始終が映し出されるのだ。そして、その余興が終わった後も城外で何かしらが行われる為、それを実際にすぐ近くで見ようとそれだけ多くの国民達が駆けつけた形となったのである。
「い、一体これから何が行われるんだ…………?」
「分からない。だが、これだけは言える」
「何だ?」
「間違いなく、フォレスト国が大きく変わるようなことが何かが起こるってことだ。英雄とこの国の王が協力しての余興だぞ?大したことないなんてことはないだろう」
「…………ゴクンッ」
「…………お、そろそろ始まるみたいだ。さて、これから何が起こるのか、じっくりと見させてもらうとするか」
――――――――――――――――――――
「ん?なんか今日は随分と外が騒がしくないか?」
「そうでしょうか?気のせいだと存じますが。あいにく私めにはいつも通りに感じます」
「そうか?まぁ、爺やが言うのなら、そうなのだろう……………それにしても一体どうしたというのだ父上は。残りの仕事はしなくていいから、今すぐ"王の間"に来いなどと」
「さぁ?急遽、何か予定が入ったやもしれませぬ。それもディース様をご同席させる程の」
「かもしれないな。まぁ、いずれにしても断る理由は一切見当たらない。これは父上の前で俺が後継者にふさわしいとアピールする絶好の機会だ。絶対に逃す訳にはいかない……………あいつも一緒というのが非常に気に食わないが」
「それは致し方ないかと。権利は平等に与えられるべきでございます。優遇されて後継者になったところでその後、国民の皆様にズルをして勝った器のない偽王だと思われてしまえば終わりです。王たる者、正々堂々と真っ向から対峙しなくてはならない時もあるかと」
「ふん、一理あるな。ではその勝負をしに向かうとするか」
王の間には現在、ただならぬ緊張感が漂っていた。玉座に腰を据えるフォレスト王は厳しい表情をして眼下を見下ろしており、傍らに佇む2人の側近は緊張と恐怖からくる冷や汗が止まらなかった。一方、妻であるムース王妃は少し距離を空けて座っており、非常に穏やかな表情をして優しく眼下を見下ろしていた。その為、傍らに佇む2人の側近は多少の緊張はするものの、軽く表情が強張るといった変化だけで済んでいた。入り口から2人の座す玉座までは25m程の距離があり、長いレッドカーペットが敷かれている。主に神聖な空間で王族と貴族のみしか基本的に入ることが許されていない為、出迎えの際の執事・メイドの列ができるといったこともなく、王族とその側近以外ではだだっ広い空間の端に貴族がいるだけであった。そんな場において、少し早めに到着していた第二王子のエースは苛立ちを滲ませながら、もう1人の到着を今か今かと待っていた。そして、そんな時間が5分程続いた頃、ようやく扉が開き、姿を現したのは待ち人である件の人物、ディースであった。後から来ておいて申し訳ないという気持ちを抱いているとは到底思えず、逆に堂々とした態度でエースの隣に並んだ。それもそのはずである。時間の指定は特にされておらず、早く来ればいいというものでもない。これは性格の問題なのだ。そして、周りを見渡し、役者が全員揃ったと感じたフォレスト王は口を開き、こう言った。
「全員、いるな?それではこれより、あることを行いたいと思う。皆をここに集めたのは他でもない。ディースとエース、今からお前達の……………真意をここで問いたいと思う」
「い、一体これから何が行われるんだ…………?」
「分からない。だが、これだけは言える」
「何だ?」
「間違いなく、フォレスト国が大きく変わるようなことが何かが起こるってことだ。英雄とこの国の王が協力しての余興だぞ?大したことないなんてことはないだろう」
「…………ゴクンッ」
「…………お、そろそろ始まるみたいだ。さて、これから何が起こるのか、じっくりと見させてもらうとするか」
――――――――――――――――――――
「ん?なんか今日は随分と外が騒がしくないか?」
「そうでしょうか?気のせいだと存じますが。あいにく私めにはいつも通りに感じます」
「そうか?まぁ、爺やが言うのなら、そうなのだろう……………それにしても一体どうしたというのだ父上は。残りの仕事はしなくていいから、今すぐ"王の間"に来いなどと」
「さぁ?急遽、何か予定が入ったやもしれませぬ。それもディース様をご同席させる程の」
「かもしれないな。まぁ、いずれにしても断る理由は一切見当たらない。これは父上の前で俺が後継者にふさわしいとアピールする絶好の機会だ。絶対に逃す訳にはいかない……………あいつも一緒というのが非常に気に食わないが」
「それは致し方ないかと。権利は平等に与えられるべきでございます。優遇されて後継者になったところでその後、国民の皆様にズルをして勝った器のない偽王だと思われてしまえば終わりです。王たる者、正々堂々と真っ向から対峙しなくてはならない時もあるかと」
「ふん、一理あるな。ではその勝負をしに向かうとするか」
王の間には現在、ただならぬ緊張感が漂っていた。玉座に腰を据えるフォレスト王は厳しい表情をして眼下を見下ろしており、傍らに佇む2人の側近は緊張と恐怖からくる冷や汗が止まらなかった。一方、妻であるムース王妃は少し距離を空けて座っており、非常に穏やかな表情をして優しく眼下を見下ろしていた。その為、傍らに佇む2人の側近は多少の緊張はするものの、軽く表情が強張るといった変化だけで済んでいた。入り口から2人の座す玉座までは25m程の距離があり、長いレッドカーペットが敷かれている。主に神聖な空間で王族と貴族のみしか基本的に入ることが許されていない為、出迎えの際の執事・メイドの列ができるといったこともなく、王族とその側近以外ではだだっ広い空間の端に貴族がいるだけであった。そんな場において、少し早めに到着していた第二王子のエースは苛立ちを滲ませながら、もう1人の到着を今か今かと待っていた。そして、そんな時間が5分程続いた頃、ようやく扉が開き、姿を現したのは待ち人である件の人物、ディースであった。後から来ておいて申し訳ないという気持ちを抱いているとは到底思えず、逆に堂々とした態度でエースの隣に並んだ。それもそのはずである。時間の指定は特にされておらず、早く来ればいいというものでもない。これは性格の問題なのだ。そして、周りを見渡し、役者が全員揃ったと感じたフォレスト王は口を開き、こう言った。
「全員、いるな?それではこれより、あることを行いたいと思う。皆をここに集めたのは他でもない。ディースとエース、今からお前達の……………真意をここで問いたいと思う」
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