俺は善人にはなれない

気衒い

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第7章 vsアスターロ教

第99話 最終決戦

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シンヤ・モリタニ
性別:男 種族:半神人 年齢:18歳

Lv 130
HP 130000/130000
MP 130000/130000
ATK 130000
DEF 130000
AGI 130000
INT 130000
LUK 測定不能

固有スキル
生殺与奪・神眼・王の権威・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

装備
黒衣一式(神級)
黒刀ムラクモ(神級)

称号
異世界からの来訪者・運の女神の加護・逆境に抗いし者・ご都合主義・恐怖を与える者・武神・魔神・魔物キラー・絶望の森の主・統率者・盗賊キラー・スキルホルダー・進化者

――――――――――――――――――――

アスターロ
性別:不明 種族:邪神 年齢:不明

Lv 367
HP 500000/500000
MP 500000/500000
ATK 500000
DEF 500000
AGI 500000
INT 500000
LUK 500000

固有スキル
根源悪・破滅・消滅

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

称号
邪神・世界を終わらせる者・全てを無に帰す者

――――――――――――――――――――




俺は静かな怒りを覚えながらもティアの元まで駆け寄り、その身体を起こした。ティアにとっては今まで出会ったどんな者よりも遥かに格上の相手との死闘だ。さぞかし辛く苦しかっただろう。だが、幸いなことに邪神も全然本気を出していなかったのか、まだ息はある為、そのまま抱き抱えてサラの近くまで戻った。

「シンヤさん、ティアは…………」

「命に別状はない。だが…………」

「ええ。このままの状態では戦えませんわね……………まぁ、もし万全の状態だとしても今回のは相手が悪すぎますわ」

「ああ……………お前にも分かるか?」

「ええ。あのプレッシャーは未だかつて感じたことがありませんわ」

「連中はとんでもない存在を復活させてくれたな……………そりゃ、あんだけ強ければ世界も滅ぼせるだろう」

「シンヤさん、本当に大丈夫なんですの?」

「大丈夫だろうがなかろうが、やるしかないだろう。どの道、奴はこの世界を滅ぼす気だ。仮にどこかで隠れていたとしても相対するのは避けられない」

「ですがっ!!」

「そんな顔をするな。俺を信じろ」

俺はそこまで言うとサラにティアを任せ、邪神の方へと歩いていく。この世界に来て初めての格上との戦いだ。死闘になることは間違いない。しかし、逃げる訳にはいかない。俺の望む生活を邪魔させない…………俺の大切な者を死なせない……………何より、ティアをあんな目に遭わせたのが許せない。俺には守りたいものがある。それをこんな奴に奪わせてなるものか…………

「ふんっ、どうやらお前はこの世界ではかなり上位の強さのようだな……………まぁ、これぐらいなら先程よりはまだマシか」

「こんな一瞬でそんなことが分かるのか?」

「造作もないことよ。我にとってこの世界にいる全ての者のステータスを確認するのに2秒と時間はかからん」

「大したものだな」

「褒めても何も出んぞ?…………そうだ。なら、こうしよう。お礼に今から死なない程度の攻撃でお前を痛めつけてやる」

「そうか。なら、俺は………………"神滅刀"!!」

「ぬおっ!良い攻撃だ。我の身体に傷をつけるとは」

「ちっ、本気でやってもこの程度か」

「そんなに序盤から飛ばしていては保たんぞ…………"消滅波"!」

「くっ!"神滅波"!………ぐはっ」

「ほぅ?今のを食らってそれで済むのか」

「余波だけでなんて威力だ…………この化け物が…………危うく腕がなくなるところだった」

「それは当然だ。我とお前ではそもそもスタートラインが違うのだ」

「うるせぇ…………余裕ぶっこきやがって」

「実際、余裕だ」

「……………」

「お前のその目…………かつての勇者を思い出させる……………よし、予定変更だ。ここからは少々攻撃を強くしていく」

「っ!!」

「しっかりと堪えろよ?あっさり終わってはつまらんからな」

――――――――――――――――――――




現在、私の目の前で繰り広げられている戦いは別次元のものであり他の誰であってもそれこそ私やティアですら、到底付け入る隙がない程のものでした。シンヤさんが刀で斬りつけようとすれば、邪神がそれを手で払い、邪神が固有スキルを使おうとすれば、シンヤさんがそれを刀で逸らし……………一方が一方を攻撃してその後、相手からの攻撃を無力化するという流れが出来ています。シンヤさんだからこそ、邪神という化け物じみた存在とここまでやり合えているのでしょう。というよりもシンヤさんがここまで長く戦っているのを私は見たことがありません。それ程、相手が規格外の存在ということになりますが…………

「ぐはっ!」

「シンヤさんっ!!」

私は咄嗟に声を出しました。シンヤさんが邪神の攻撃を避けられず、まともに食らってしまったのです。実は邪神には一切攻撃が通っていませんでしたが、シンヤさんは余波を少しずつ受けていたのです。それによって身体のバランスが崩れ、そこを突かれた形となってしまいました。苦しそうに呼吸をするシンヤさん。見れば、片腕がない状態です。おそらく、邪神の固有スキルか何かによるものなのでしょう。

「ご無事ですの!?今、そちらに…………」

「来るな!!」

「っ!!」

「俺は……………大丈夫だ」

しかし、その言葉は到底信じられるものではありませんでした。私は不安で仕方がなく、嫌な胸騒ぎが治まらなかったのです。そして案の定、その予感は的中してしまいました。なんとシンヤさんはその数分後に……………もう片方の腕を失った状態で倒れてしまったのです。

――――――――――――――――――――





「シンヤさんっ!!」

サラの叫ぶ声が聞こえた。さっき、大丈夫と言ったのにも関わらずこのザマ。全く情けない話だ。俺は何度も続いた邪神の攻撃により、両腕を失った状態で倒れてしまった。ここまで苦戦した相手は自分が元いた世界での戦い以来だった。慢心も油断も驕りも何もかもせず、本気を出して精一杯戦った結果、今倒れているのは自分の方だった。

「この程度か……………がっかりだ」

今度は邪神の声が真上から聞こえてきた。おそらく、とどめを刺そうとこちらに向かってきたのだろう。チラリと顔を見てみると何の感情も抱いていないような興味なさげな様子だった。今まで自分がそういった顔をしたことはあったが逆にされたことはなかった。とても新鮮だった。なるほど、こんな気持ちになるのかと少しだけ分かった気がして。

「と言いたいところだが、お前はよくやった。褒めてつかわそう。我を相手にして、ここまで保つのは中々できることじゃない。それこそ、あの時の勇者達にこれほどの強さはなかった。長い時を経て、随分と強き者がこの世界へと迷い込んだものだな」

「お前…………気付いて」

「当然。だが、そんなことは些細な問題だ。出身や性別、種族など取るに足らん情報だ。この世界は弱肉強食。結局、強い者が正義なのだ」

「…………正論だな」

「さて、そろそろ終わりにしよう。こういうのはあまり時間をかけてもいいものじゃない…………では安らかに逝け」

邪神が俺に向かって手刀を繰り出しているのを見て、俺はゆっくりと目を閉じた。別に諦めた訳ではないが、このまま終わるのかとただただ静かな気持ちがそこにはあった……………直後、走馬灯のようなものが頭の中を駆け巡った。前の世界とこの世界での今までの思い出…………出会った人や物、景色、建物、その全てが一つ一つ鮮明に時間の流れを無視した形で次々と浮かび上がってきた。それと同時に声が聞こえてきた。これは現在、様々な場所でアスターロ教と戦っている者達のものだ。世界各地、知っている者も全然知らない者も……………共通していることは皆、必死で戦っていて最後まで諦めていないことだった。いつか、邪神の脅威が終わることを信じているのだ。勝手だと思った。一体誰がそれと戦っていると思っているんだと。だが、その考えは別に嫌いじゃなかった。次に出てきたのはクランの仲間達の声だった。皆、それぞれの役割を終え、別々の場所から俺の勝利を祈っている。頑張れと、信じていると。それは俺のことを過大評価し過ぎている。俺は何でも出来る訳じゃない。だが、その想いはとても嬉しかった。近くからサラやティアの想いも同時に伝わってくる……………これはこのまま倒れている場合じゃないな。

「ん?何だ……………?」

邪神はどこか言い知れぬ違和感を感じ、寸前で攻撃を止めて後ろへと跳び下がった。そして、それは実に英断だったと言える。そのまま攻撃していれば、邪神の方がタダでは済まなかっただろう。何故ならば………………

「お、お前…………何故立てる!?」

「さてね」

俺が死の淵で皆の声や想いを感じた瞬間、授かった固有スキル。これがとんでもなかったからだ。

――――――――――――――――――――

勇者王
全ステータスが常に1.5倍になる。

大革命
1週間に1度しか使えない。全ステータスを20分間、5倍にする。その後、3日間は全ステータスが半分になる。

大黒柱
自身に起こったステータスの変化が仲間にも影響を及ぼす。

リセット
1日1回しか使えない。自身のステータスを元に戻す。

――――――――――――――――――――




「待たせたな。さっさと第2ラウンドを始めようぜ」

「こ、これはっ!!」

俺は早速、覚えたてのスキルを全て発動して邪神を見据えた。邪神はすぐにそれが危険だと気付いたみたいだ。だが、時すでに遅し。



「どっちに正義があるのか、決めようか」
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