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第7章 vsアスターロ教
第92話 三凶
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冒険者の間で"三凶"と呼ばれ恐れられている存在があった。その正体は癖の強い3人のSSSランク冒険者で一体どこに地雷があるのかは不明であるが、一度怒らせてしまえば誰であろうと手に負えない者達である。それぞれが神出鬼没で気の向くままに行動しており、滅多にその姿を見かけることもないというが、そもそもなるべく関わりたくないと思っている冒険者がほとんどである。この3人は全員ソロとして活動している冒険者であり、普段足並みを揃えて一緒に依頼をこなすことはまずあり得ない。しかし…………
「おい、ルクス!あまり勝手な行動をするな!」
「俺に指図してんじゃねぇ!クラウドの分際で!」
「2人共、落ち着いてよ…………」
「あ?何か文句あんのか、ローウェル」
普段であれば、3人が一堂に会した瞬間、周りの冒険者達は巻き込まれたくないと一目散に逃げ出すところであり、その時点で迷惑を被っている冒険者は多数いる。だが、今回に限っていえば、逆にこれほど心強い存在はない。最高ランクの冒険者達が世界中の人々を恐怖に陥れようと企むアスターロ教の教徒相手に先陣切って戦ってくれているのだ。もし、彼らが敗れてしまえば背後にある街がたちまち戦火の渦に飲み込まれてしまうだろう。それほどの極限状態。実際、彼らが現れるまで迎撃に当たっていた冒険者達は皆、多かれ少なかれ傷を負っており、体力も残り僅かであった。そんな時に颯爽……………ではなく少しだけ騒々しく現れた彼らは最悪の場合、死まで覚悟していた冒険者達の目にはまるで救世主のように映っていた……………疲れ切った冒険者達の耳に響く煩わしい声は一旦置いておいて……………
「おい、あれって"三凶"か?」
「ああ……………とりあえず、命拾いはしたようだ。ん?どうした?」
「いや、本物は初めて見たからよ。ちょっと感動してるんだ」
「そうか、お前は1人も見たことないんだっけ」
「ああ…………あれ?もしかして、お前はあるのか?」
「"雲海"は5年前にちらっとな。"鋼帝"と"炎剣"は今日が初めてだ」
「そうか。にしても只者じゃないな、アイツら。殺気がこっちにまでビンビン伝わってくる……………相当、強いんだろうなぁ」
「かもな」
「ん?ちょっと待て……………さっきからお前、随分とあっさりした反応だな。目の前にSSSランクの冒険者がいるんだぞ?何でそんなに落ち着いていられるんだ?」
「…………以前、これ以上の殺気を感じたことがある。それは俺に向けられたものではなかったが、それでもハッキリと感じられる程、濃密で練度の高いものだった。こんなの比じゃないぐらいにな」
「おいおい…………最高ランクの冒険者を超える程って……………一体、そいつは誰なんだ?ってか、そんな奴、存在すんのか?」
「クラン"黒天の星"のメンバーだ。そいつはクランマスターですら、ないのにも関わらず、その時点で既に"三凶"のそれを超えていた。俺はそこで知ったんだ。今のランクが全てではない。世の中、上には上がいるということを」
「ルクス、君は一体何を焦っているんだい?そんなに最初から、とばしては体力とか色々持たないよ?教徒は世界中に凄い数いるんだ。現に倒しても倒しても次々と出てくる………………まるでGみたいだ」
「うるせぇ!俺は別に焦ってなんかねぇ!」
「いや、だったら、さっきからのこの行動は何だっていうのさ?チームプレイはおろか、自分の身体のことすら考えない1人で突っ走る戦い方…………ハッキリ言って異常だよ?」
「異常上等!さっきから、ずっと身体の火照りが治らねぇんだよ!早くアイツと戦いたくて…………アイツと戦うことを想像しただけでゾクゾクしてどうにかなっちまいそうだ。お前も見ただろ?フリーダムの一件をよ」
「見たよ。確かに僕らのような実力者ならば、なおさら彼らの凄さが分かるけど…………だって、あまりにも速すぎて何が起きたのか分からなかったんだからね。見た感じ、あの娘達は幹部っぽいけど、それでもかなり強そうだったな……………まぁ、あの青年が一番ヤバそうだったけどね。色んな意味で」
「ああ、あんな上玉、俺は生まれてこの方見たことねぇ……………アイツはいつか絶対に俺が仕留める。他の奴に倒される前にな」
「その前にまずはこいつらの相手でしょ?先を見据えるのは良いことかもしれないけど、今は目の前のことに集中しようよ」
「うるせぇ!俺に指図すんじゃねぇ!」
「駄目だ、こりゃ」
フリーダムやシリスティラビンからは遠く離れた場所にある街、ソン。当初から防衛に当たる冒険者達の数は圧倒的に不足しており、ランクも低い者が多数であった。このままいけば、壊滅してしまうのは時間の問題。それでも全力を尽くして、防衛に専念していた冒険者達。しかし、それも長くは続かず徐々に押され始めてしまった。そして、いよいよ死を覚悟する者まで出てき始めていたところ、突如駆けつけた3人の猛者により、状況が好転。勝利への活路が開き、それが冒険者達を奮い立たせることとなる。結果、いくらかの代償は払ったものの、被害は最小限で済み、この一件は街の大勝利ということで幕を閉じた。これは街の歴史上、最も大きな出来事であり、しっかりと後世に語り継がれていくこととなるのであった。
「おい、ルクス!あまり勝手な行動をするな!」
「俺に指図してんじゃねぇ!クラウドの分際で!」
「2人共、落ち着いてよ…………」
「あ?何か文句あんのか、ローウェル」
普段であれば、3人が一堂に会した瞬間、周りの冒険者達は巻き込まれたくないと一目散に逃げ出すところであり、その時点で迷惑を被っている冒険者は多数いる。だが、今回に限っていえば、逆にこれほど心強い存在はない。最高ランクの冒険者達が世界中の人々を恐怖に陥れようと企むアスターロ教の教徒相手に先陣切って戦ってくれているのだ。もし、彼らが敗れてしまえば背後にある街がたちまち戦火の渦に飲み込まれてしまうだろう。それほどの極限状態。実際、彼らが現れるまで迎撃に当たっていた冒険者達は皆、多かれ少なかれ傷を負っており、体力も残り僅かであった。そんな時に颯爽……………ではなく少しだけ騒々しく現れた彼らは最悪の場合、死まで覚悟していた冒険者達の目にはまるで救世主のように映っていた……………疲れ切った冒険者達の耳に響く煩わしい声は一旦置いておいて……………
「おい、あれって"三凶"か?」
「ああ……………とりあえず、命拾いはしたようだ。ん?どうした?」
「いや、本物は初めて見たからよ。ちょっと感動してるんだ」
「そうか、お前は1人も見たことないんだっけ」
「ああ…………あれ?もしかして、お前はあるのか?」
「"雲海"は5年前にちらっとな。"鋼帝"と"炎剣"は今日が初めてだ」
「そうか。にしても只者じゃないな、アイツら。殺気がこっちにまでビンビン伝わってくる……………相当、強いんだろうなぁ」
「かもな」
「ん?ちょっと待て……………さっきからお前、随分とあっさりした反応だな。目の前にSSSランクの冒険者がいるんだぞ?何でそんなに落ち着いていられるんだ?」
「…………以前、これ以上の殺気を感じたことがある。それは俺に向けられたものではなかったが、それでもハッキリと感じられる程、濃密で練度の高いものだった。こんなの比じゃないぐらいにな」
「おいおい…………最高ランクの冒険者を超える程って……………一体、そいつは誰なんだ?ってか、そんな奴、存在すんのか?」
「クラン"黒天の星"のメンバーだ。そいつはクランマスターですら、ないのにも関わらず、その時点で既に"三凶"のそれを超えていた。俺はそこで知ったんだ。今のランクが全てではない。世の中、上には上がいるということを」
「ルクス、君は一体何を焦っているんだい?そんなに最初から、とばしては体力とか色々持たないよ?教徒は世界中に凄い数いるんだ。現に倒しても倒しても次々と出てくる………………まるでGみたいだ」
「うるせぇ!俺は別に焦ってなんかねぇ!」
「いや、だったら、さっきからのこの行動は何だっていうのさ?チームプレイはおろか、自分の身体のことすら考えない1人で突っ走る戦い方…………ハッキリ言って異常だよ?」
「異常上等!さっきから、ずっと身体の火照りが治らねぇんだよ!早くアイツと戦いたくて…………アイツと戦うことを想像しただけでゾクゾクしてどうにかなっちまいそうだ。お前も見ただろ?フリーダムの一件をよ」
「見たよ。確かに僕らのような実力者ならば、なおさら彼らの凄さが分かるけど…………だって、あまりにも速すぎて何が起きたのか分からなかったんだからね。見た感じ、あの娘達は幹部っぽいけど、それでもかなり強そうだったな……………まぁ、あの青年が一番ヤバそうだったけどね。色んな意味で」
「ああ、あんな上玉、俺は生まれてこの方見たことねぇ……………アイツはいつか絶対に俺が仕留める。他の奴に倒される前にな」
「その前にまずはこいつらの相手でしょ?先を見据えるのは良いことかもしれないけど、今は目の前のことに集中しようよ」
「うるせぇ!俺に指図すんじゃねぇ!」
「駄目だ、こりゃ」
フリーダムやシリスティラビンからは遠く離れた場所にある街、ソン。当初から防衛に当たる冒険者達の数は圧倒的に不足しており、ランクも低い者が多数であった。このままいけば、壊滅してしまうのは時間の問題。それでも全力を尽くして、防衛に専念していた冒険者達。しかし、それも長くは続かず徐々に押され始めてしまった。そして、いよいよ死を覚悟する者まで出てき始めていたところ、突如駆けつけた3人の猛者により、状況が好転。勝利への活路が開き、それが冒険者達を奮い立たせることとなる。結果、いくらかの代償は払ったものの、被害は最小限で済み、この一件は街の大勝利ということで幕を閉じた。これは街の歴史上、最も大きな出来事であり、しっかりと後世に語り継がれていくこととなるのであった。
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